推理作家ポー 最期の5日間 

推理作家ポー 最期の5日間 | 映画

『推理作家ポー 最期の5日間』は、1849年10月7日にボルティモアで変死したエドガー・アラン・ポーの死の謎を、大胆なフィクションを織り交ぜて描くミステリー。
原題は『The Raven』。ポーの詩『大鴉 (The Raven)』の引用で、邦題はわかりやすくはあるけど、やっぱりダサイよなぁ。
19世紀のアメリカの街を表現するためにブダペストなどでロケが行われており、ゴシックでどこか陰鬱な空気感がエドガー・アラン・ポーの世界と非常にマッチしている。
ポーの作品を模倣した連続殺人事件の謎を追うというストーリーで、細部にわたってポーの作品からの引用がされているので、あらかじめエドガー・アラン・ポーの短編集などを読んでおいたほうがより楽しめると思う。
オチというか犯人像の病理はけっこう現代的かなという気はしたけど。

黒猫・アッシャー家の崩壊―ポー短編集〈1〉ゴシック編 (新潮文庫)黒猫・アッシャー家の崩壊―ポー短編集〈1〉ゴシック編 (新潮文庫)
(2009/03/28)
エドガー・アラン ポー

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モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編 (新潮文庫)モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編 (新潮文庫)
(2009/04/25)
エドガー・アラン ポー

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おおかみこどもの雨と雪 

映画「おおかみこどもの雨と雪」

僕は『時をかける少女』も『サマーウォーズ』も観ていないので細田守監督の過去作品との比較はできないのですが、この映画は、あちこちで言われている通り、子どもの成長物語であると同時に母親の成長物語であるのですね。花、雨、雪の誰に感情移入するかによってこの映画の印象は変わってくると思う。僕が感じたのはやはり母親の偉大さですかね。あと、子離れ出来ない親が見たらたまんないだろうなぁ、とか。
SF(おとぎ話)の設定上で、人間の普遍的な営みである子育てと親子の成長を、ディテールにこだわってていねいに描いた、良い映画だと思います。このテーマには、やはりというか3.11以降の視点が見られるし、富野由悠季が絶賛したのも納得の、アニメーション映画の新しい時代のスタート地点のひとつになりえる作品かもしれないと思いました。

おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)
(2012/06/22)
細田 守

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劇場公開映画「おおかみこどもの雨と雪」オリジナル・サウンドトラック劇場公開映画「おおかみこどもの雨と雪」オリジナル・サウンドトラック
(2012/07/18)
高木正勝

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ステキな金縛り 

三谷幸喜監督最新作 映画『ステキな金縛り』公式サイト >>

ある殺人事件の容疑者の弁護を引き受けることになったダメ弁護士が、容疑者のアリバイを唯一証明することが出来る "落武者の幽霊" を法廷の証人台に立てるというコメディ。
弁護士の宝生エミを深津絵里が、落武者の幽霊こと更科六兵衛を西田敏行が好演。その他のキャストも実に豪華、無駄に(公式サイトのCHARACTERSを見てください)。

三谷幸喜の法廷ドラマとしては『12人の優しい日本人』を思い出すが、あれはそもそも1950年代のアメリカ映画『十二人の怒れる男』へのオマージュなのに対し、近作は三谷幸喜のオリジナルなんですが、まぁ、もうこんなの、設定だけで面白いに決まってるじゃないか。いつだったか予告編を見たときから観に行くのは決めていましたよ僕ぁ。

笑いはもちろんのこと、ミステリあり、最後にほろっと泣かせるハートウォーミングな部分ありで、これはもうニホン映画の良心にしてエンターテインメントの極致だと言って良いんじゃないか。
ぜひとも公開中に劇場で観て、みんなで笑って過ごしましょう。


「ステキな金縛り」オリジナル・サウンドトラック「ステキな金縛り」オリジナル・サウンドトラック
(2011/10/05)
サウンドトラック

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モテキ 

映画『モテキ』公式サイト >>

『モテキ』はコミックもドラマも見ていないし、特に興味もなかったのだけれど、生前のrei harakamiが出演していると聞いたのと、Twitterのフォロワーさんたちの評判が良かったので、余ってる相方の職場の共済会のチケットを使って、特に予備知識もなく観てきました。

森山未來は、この劇場版ではナタリーに入社した音楽ライターで、一応ニホンのサブカル系音楽が好きだという設定なんだけど、まぁ、そこにはあまり突っ込まないでおきますわ(この映画で言う "サブカル" の定義がよくわからん・・・)。
でも、劇中に色んなニホンのミュージシャンが出てくるのを見ることができるのが楽しかったな。あと、森山未來が着ているTシャツとか部屋に置いてるグッズなんかの小道具のマニアックさも。もっと細かいところ見直すためにもういちど観てみたいような気はします。

コクリコ坂から 

コクリコ坂から 公式サイト >>

『コクリコ坂から』は、宮崎吾朗第2回監督作品。宮崎吾朗監督の処女作『ゲド戦記』については僕は結構こき下ろした方だと思うけど(過去記事)、それから5年、申し訳ないけど期待値低いまま観に行きました。

本作は東京オリンピックを翌年に控えた1963年の横浜が舞台。前作のような架空の世界を描くファンタジーではないので、当時の映画などの文献(映像)を参照した世界の作り込みがきちんと描かれ、表現できている。戦後の混乱期の記憶と、学生運動前夜の学園闘争を絡めながら、海と俊の恋心を主軸に描いている。ストーリーや演出にはベタな部分も多いし、過去のジブリ作品を意識したと思われるツギハギも鼻につくが、それでもカルチェラタン取り壊し反対運動の顛末とか、海と俊の出生の秘密の解き明かしとか、観客をダレさせずに最後まで作品中に引き込む魅力を持っている。そしてそれらを支えているのはスクリーン外にまで渡る作品世界のディテールの作り込みだろう。あと、前作に引き続き起用された手島葵だけど、今作の歌はどれも良いです、ほんわかしてて。
まとめとしては、正直言って驚いた。吾朗ちゃん、頑張ったよ!
『耳をすませば』の甘酸っぱさが好きなひとにはぜひ観てもらいたい作品だ。