Takkyu Ishino - Cruise (Loopa/2010) 

Takkyu Ishino - Cruise
Label: Loopa / Ki/oon Records (LPA054CD / KSCL 1614)
Format: CD
Released: 2010-08-18
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今年のわが家のべランディングは、バジル、タイム、ミニトマト、水菜、ルッコラ、すべてダメだった。さらに室内に緑をと思って買ったベンジャミンまでも枯れた。ゴーヤに力を注ぎすぎたのか、それとも今年の暑すぎる "異常気象" の所為なのかな。

卓球先生6年振りのソロ作品が変化球のないストレートなテクノ・アルバムだということで、テクノ好きの皆さんからはずいぶんと高評価を得ているようです。僕はミニ・アルバムのリリース情報を知ったとき、その内容がテクノ・アルバムになると知ってさっぱり音の想像がつかなかったのですが、それは、卓球先生はアルバムになるとついついサービス精神を発揮してしまってディスコだったり80's NWだったりといったテイストをおそらく手癖で盛り込んでしまうという思い込みが僕の中にあったからにほかなりません。
で、実際に聴いてみた感想。
ナニこれ、テクノやん!!
・・・いやまぁテクノなのは当たり前なんですが。精神的なこととかではなくて、音楽的に狭義のテクノだとでも言おうか、いや、この音楽をテクノと呼ばず一体何をテクノと呼ぶんだ。
パーカッションとヴォイスサンプルがトライバルな(登呂ビート!)「Feb4」は、名曲「Polynasia」をイマのBPMとグルーヴでリメイクしたかのようだ。ホーン系の音をカットアップしたミニマルトラック「Spring Divide」はダブだと思ったらアシッドだった。「SpinOut」はレイヴィーなフレーズの明け方トラック。ホーンの音と巻上公一の声をサンプリングした「Hukkle」が、いちばん今までの卓球先生の印象に近いユーモラスな曲かな。まるでTechnasiaかSpirit Catcherかと見まごう、開いていく感覚が気持ち良い「Arek」は、実は卓球先生の得意とする音のひとつ。ラストの「Y.H.F.」ではシンセのメロディーと4つ打ちから脱しようとするビートが遊び回る。どの曲も閉じてる感じがなくて開放的で、丸くて心地が良いくせにやたらと音圧のあるキックと、突き刺さるようなシャープなハットが気持ち良過ぎる。そう、これをテクノと呼ばず一体何と呼ぶんだ本当に。
年内には本作とはテイストを異にするフルアルバムが出るという話ももれ聞こえているが、この芸風のテクノトラックをもう少し聴きたいよなぁ。
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いしわたり淳治&砂原良徳+やくしまるえつこ - 神様のいうとおり (Ki/oon/2010) 

いしわたり淳治&砂原良徳+やくしまるえつこ - 神様のいうとおり
Label: Ki/oon Records (KSCL 1588)
Format: CD
Released: 2010
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砂原良徳が元スーパーカーのひと(よく知らない)と結成した新ユニットの第1弾シングル。ヴォーカリストとして相対性理論のひと(よく知らない)が参加。ということで、僕は砂原良徳の新曲として聴きました。
一聴して砂原のそれとわかる、透明感があり、なおかつエッジの鋭い音像。素晴らしく気持ち良過ぎる。メロディを補完するシンセラインと、何よりヴォーカルがなければもっと良いのに。ゼッパチ・ヴァージョン(砂原風チップチューン?)も面白い!
さて、来月にはいよいよ砂原良徳の本当の新作『Subliminal EP』がリリースです。アルバム『Lovebeat』(未レビュー)から9年・・・。長かった。本当に長かったよ。
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Influx - Rising Higher (Railyard Recordings/2008) 

Influx - Rising Higher
Label: Railyard Recordings (RYR017)
Format: 12"/MP3
Released: 2008
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何ともわざとらしく白々しい北京オリンピックの開会式を観ていると気分が悪くなったので、ビールを飲みながら、ひさびさにJeff Mills『Exhibitionist』のDVDを観ていました。

90年代前半、今は亡きCasper Pound率いるロンドンのRising High Recordsとそのサブ・レーベルのSaphoよりリリースしていたJames BernardによるユニットInfluxの超ひさびさのシングルは、NYのRailyard Recordingsから。
Casper Poundはジャーマントランスを "世界で最も優れたダンスミュージック" であると規定し、自身のRising High Recordsにおいて、彼独自のドラッギーな感覚により選別された独製トランスを次々とリアルタイムで全世界に紹介していったという、90年代のテクノの隆盛に大きく貢献した人物であります。結局ドラッグの食い過ぎで死んじゃったんですけど。
今回のInfluxのシングルのタイトルは『Rising Higher』。サイドBの曲名は「Caspar's Ghost」。何とも意味深と言うか、まんまと言うか、本作は故Casper PoundとRising High Recordsへのオマージュなのだ、きっと。収録曲は、2曲ともCasper PoundとRising High Recordsが活動の全盛期としていた90年代前半当時に戻り切ったかのようなアシッドトランス。ドラッギーなシンセがサイケデリック感覚を誘発しつつも、現在のミニマルを通過したとも取れるシンプルかつクールな感覚を持ち合わせた長編ロングトリップ。懐かしいのに新しい!!
今年はレイヴアシッドトランス/ディープトランスがクル!?
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I-F - Mixed Up In The Hague Vol.1/2 (Panama Racing/2006) 

I-F - Mixed Up In The Hague Vol.1
Label: Panama Racing (PR-001)
Format: CD-R
Released: 2000/2006
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I-F - Mixed Up In The Hague Vol.2
Label: Panama Racing (PR-002)
Format: CD-R/MP3
Released: 2006
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90年代に「Space Invaders Are Smoking Grass」がヒットしたオランダのエレクトロ・アーティスト "I-F" こと、Ferenc E. van der Sluijsによるオールドスクールなイタロディスコ・ミックス。おそらくは自身のレーベルだと思われるPanama Racingより、2006年にCD-Rでリリースされた2枚。ただし、Vol.1については2000年にCDでリリースされたものの再発盤。
僕がこのあたりのエレクトロやイタロディスコのクラシックにあまり明るくないというのもあるのだろうけど、かなり↑マニアックと思われる選曲。Vol.1のほうはまだGiorgio Moroder「Chase」とかKraftwerk「Tour De France」とかA Number Of Names「Sharevari」といった有名曲が所々に配されていて安心するのですが、Vol.2なんてもうわからんよ僕は。それでもグッとクル曲や流れなんかはVol.2のほうかも知れん。
ところで、この2枚のミックスCDの音源も含むI-Fの膨大なDJミックスのMP3ファイルが、以下のページに存在します。さすがに僕は時間がなくて全然聴けてないけど、とりあえずは今回紹介した2枚あたりから聴いてみてはいかがでしょ。

RobotDJ.net > I-F MIXES >>
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InK - InK PunK PhunK (Ki/oon/2007) 

InK - InK PunK PhunK
Label: Ki/oon Records (KSCL 1154-5)
Format: CD+DVD
Released: 2007
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年末公開の映画『グミ・チョコレート・パイン』のエンディング曲を電気グルーヴが書き下ろすそうですね。って、ケラのblogに書いてました。原作も好きな作品なので(って言うかオーケンの本は全部好き)これは観に行かなきゃあ。

さて、これは実は何度も書きかけては途中でストップを繰り返していた記事です。石野卓球と川辺ヒロシという、ほのかな加齢臭ただよう40男ふたり組によるゆる~い2ndアルバムを聴いて。
さすがベテランだけあって、小器用にバラエティに富んだスタイルの楽曲を取り揃えてますが、共通するのは90年代前半を思い出すようなキラキラしたジャパニーズテクノの感覚。
それにしても、この手の逆説的だが "何でもあり" なかつての王道テクノのサウンドが、今現在、ものすごくカテゴライズしにくい状況にあることに気付いてびっくりした。
今やテクノと言えば、Richie Hawtinをヒエラルキーの頂点とするミニマルか、シュランツみたいなハードテクノかのどちらかだもんなあ、両極端(ニホンではデトロイトテクノも依然人気ありますが)。つまりは、この10数年の間に、ジャンルとして細分化に細分化を重ねた結果、シーン自体がものすごく先細ってしまったのが今のテクノの現状なのだろう。
別に昔は良かったとか書くつもりはないし、今のミニマルは大好きだけど、シーンが細分化される以前はドラムンベース(ジャングル)もインストゥルメンタル・ヒップホップ(トリップホップ)もアンビエントもエレクトロディスコも "テクノ" だったし、別にテクノという呼び名にこだわりたいわけでもないけど、共通の旗のもとに様々な方向性の音楽と様々な方向性のリスナーが同居し、お互いに壁を作るわけでもなく、交流と同化と分離を繰り返していたよなあ。90年代のテクノシーンとは、言わば "テクノ" の名の下に自然発生的に集まった共同体のようなものだったわけで、ルーツも現在の立ち位置も目的地もそれぞれ違う者たちが、同一のタームのもと不思議とまとまっているように思えた。
そもそも "シーン" と呼ばれるものの正体は共同体幻想にほかならないと思うのですが、別にテクノに限らず、いまのクラブミュージックにはそれがずいぶんと希薄になってるんじゃないかなあと感じてなりません。みんながそれぞれの細分化されたジャンルの殻の中に閉じこもってる感じ。それが悪いことか良いことかは実際のところよくわかりませんが。
まあ、僕が言いたいのは、しつこいようだけど昔は良かったということではなくて、そんな風に自分で周りに壁を作らずにあれこれと聴いてみた方がもっと楽しいよ、ということと、今のそういった風潮を敏感に捉えていたり意識的であったりするDJやアーティストだけが今後生き残るのだろうな、ということだ。そしてこういうアルバムを作った卓球はやっぱり "わかってる" のだと思う。それは今年のWIREのメンツを見れば明らかでしょう。
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