水曜日のカンパネラ IN THE BOX TOUR @ Zepp Osaka Bayside 2017/07/19 

水曜日のカンパネラ2017年の全国ツアーIN THE BOX TOUR。
大阪は全16公演のうちの14公演めということで、やっとモーターのコイルがあったまってきたところだぜ。

開演前から水音のSEをミックスしたドローンやダーク・アンビエントといった音楽が流れており、客電が消えてから流れてきたイントロも、そんな世界観と同一のダブ・テクノ。
森のようなもしくは深海のようなアーチ状の舞台オブジェから登場したコムアイさんが歌い始めたのは、1stアルバム『クロールと逆上がり』に収録されていた「ゴッホ」だった。
完全にリアレンジされ刷新した最初期の楽曲を初めて体感することができていきなり泣きそうになったが、同時に僕はオリジナルのアレンジも大好きなんだよなぁとも思ったり。

今年のアルバム『SUPERMAN』やそれ以降に配信された最新曲、昨年のアルバム『UMA』、一昨年の『ジパング』から中心に配された楽曲はライブ用にエディットされており、さらにPA卓に陣取ったケンモチさんと松橋氏の手によりリアルタイムで音の抜き差しやEQの操作が行われている。
今年の3月8日に行われた日本武道館公演以降にもっとも変化したのがこの部分で、以前のようなステージ端にぽつんと置かれたMacBookのiTunesからカラオケが流されるのとは違って、ライブ感が格段に増している。
今回僕はPAブースの真横でライブを観ていたが、途中で音の同期がズレたか何かでオフビートになった箇所があって、一瞬ケンモチさんと松橋氏も「おおっ!?」となってたけどすぐさまリカバーしていた。実際には4拍くらいの時間だったのではないかな。こういうところもエレクトロニック・ミュージックのライブの醍醐味と言える。

コムアイさんの声は長丁場のツアーの過酷さの表れなのかガラガラで痛々しかったけどそれも喋っているときだけで、歌い始めるとコムアイさんのボーカルは澄んでいて伸びやかで、この人は本当にプロのパフォーマーに成長したんだなぁと畏敬の念を抱いてしまった。
アンコールを除く本編の全15曲はMCもほとんどなく、ほぼノンストップで一気に突っ走った印象があり、その濃密な時間に当てられて本当にあっという間に感じた。

ただ、ライブの演出に関しては、何を意味あるいは意図しているものなのかがあまり判然としないところが多かったので、もう少しコムアイさんのアイディアを翻訳することができて、実際の演出にカタチ作ることができる舞台演出のプロが必要なのかもしれない。
アンコールのラストは再び『クロールと逆上がり』収録曲の「マルコ・ポーロ」をダブ・テクノに改訂したもので、再びアーチ状の舞台オブジェから登場したコムアイさんを見て、これはもしかしたら死と再生を意味していたのかなぁと思った。

かつて僕の愛した、数百人規模の暗くて天井の低いライブハウスで、グダグダのMCとグダグダのパフォーマンスなのにやたら多幸感に溢れたなんだかわからない水曜日のカンパネラのライブはもう二度と見ることはかなわないが、大きく成長を遂げた彼女たちがこれからどんな風景を見せてくれるのか、僕はこれからも追い続けたい。

水曜日のカンパネラ IN THE BOX TOUR @ Zepp Osaka Bayside 2017/07/19 セットリスト
01. ゴッホ
02. 嬴政
03. チャップリン
04. オードリー
05. メロス
06. バク
07. ウランちゃん
08. ユタ
09. ピカソ
10. ライト兄弟
11. ツチノコ
12. シャクシャイン
13. 世阿弥
14. ユニコ
15. 桃太郎
(Encore)
16. 一休さん
17. アマノウズメ
18. マルコ・ポーロ

Somethinn featuring DJ Funk @ Circus Osaka 2017/03/31 


D.J.Fulltono、Keita Kawakami、Hiroki YamamuraによるパーティSomethinnがシカゴの特殊ハウスのリビングレジェンドDJ Funkを招聘。DJ Funkはここ最近なにげに頻繁に日本の地を踏んでいますね。
なお、DJ Funkについての説明は、2014年のベスト盤『Gold』のレビュー(過去記事)を参照してください(われながらよく書けた文だ3枚も書いた)。
僕は1995年にDJ FunkのミックスCD『Freaky Style』(SoundCloud)を聴いてゲットーハウスの洗礼を受けて以来のファンで、待望の初Funkとなります。ほんとに20年以上生でFunkのDJを聴ける機会を待ってた。僕待ってた。

2時頃にブースに入ってきたDJ Funk。意外といいガタイしてるんだな、というのが第一印象。
曲をかけ始めるとDJブースの前に出てきてマイクを持って歌う歌う。DJソフトウェアの操作中でマイクを持たないときも、自らの曲のボイスサンプルに合わせてノリノリで口を動かす。かかるのはほぼほぼ知ってる曲のみ(※個人の感想です)。全身を使ってフロアを煽るが、そこから垣間見えるのは彼の旺盛なサービス精神と、本質的にエンターティナーたろうとする姿勢だ。
僕はFunkがDJブースにいる2時間、もう楽しくて楽しくてずっと踊り続けていたけど、初めて実際に体験したDJ FunkのDJは、むしろショウであり、彼はクラブDJというよりは、ジョージ・クリントンなどの系譜にある人物であるように感じた。

自身の出番が終わったあともDJブースで踊ったり、フロアに降りてきてお客さんと写真を撮ったり談笑したりと、めちゃくちゃフレンドリーなひとで、まさにPump Itマンでした。来年も大阪来てくれるかなぁ。

Especia SPICE Tour @ 味園ユニバース 2017/03/12 

堀江系ガールズグループからアーバン幻想ジェネレータの終焉へ。

2017年3月末で解散することが発表されている女性ボーカルグループEspeciaのラスト(?)ツアー "SPICE" Tour。
古巣大阪ではグループと縁の深い味園ユニバースで行われた。



2016年6月25日の活動再開からわずか8ヶ月をもってピリオドを迎えるいわゆるEspecia第二章。僕は "SPICE" Tour大阪公演の3日前にあたる3月9日に行われたタワーレコードNU茶屋町店のインストアイベントでようやく初めて観ることができた。

活動再開以降のグループとしての高い評価はTwitterなどで目にしてはいたものの、初めて観たEspecia第二章は、その状態の良さに驚かされた。
第一章についてもそれほど回数を観てきたわけではなかったけれど、その音楽性に寄り添うようなボーカルの安定感が、まるで違うグループかのように成長を見せており、もうすぐ解散してしまうという状況フィルターを抜きにしても、彼女たちの音楽にもっと触れていたいという気持ちになって。

気づけばツアーのチケットを取っていた。



"SPICE" Tour大阪は、フルバンドでのステージ。
味園ユニバースというゴージャスな会場におとらない、甘くきらびやかな楽曲の数々とダイナミックな演奏、そしてムーディーでしなやかさという新たな武器を得たEspeciaのメンバーたち。

ときにアカペラで、ときにフェイクを入れ、伸びやかで、そしてパワフルな声量を自在にあやつり、しかも3人がそれぞれソロをつとめることができるという稀有なボーカルグループ。
これが(ライブでのボーカルの不自由さがなければ最高なのにと思わざるを得なかった・笑)あのEspeciaなのか…。



解散ツアーというネガティブな感情は、ことパフォーマンスの部分においてはほぼ表に出ることはなく(MCで涙を見せたりといった場面はあったけど)、そのおかげもあってなのか、僕がいちばん思い入れのあった5人時代のEspecia(通称E5pecia)の元メンバーたちがステージに上げられるという事故のような出来事があっても、大阪なのでもしかするとそんなことが起こり得るんじゃないかと前日に夢想して泣きそうになってたこの僕が、(40代を迎え語彙力が衰えているとは言え)ただ「ヤバイ!!」としか言えなかったし、祝祭的なライブの雰囲気のなかで感じていたのは、ただひたすら

ヤバイ!!
楽しい!!
Especia最高!!
音楽最高!!

という感情だけだった。
そう、ここにいるのは僕が本当に観たいと思ってやまなかったEspeciaだったんだ…。



それだけに、この1年ほどのEspeciaは結局何がやりたかったんだろうと思ってしまうのが正直なところだし、重たい事情がおそらく複数あるのだろうけれど、もうすぐ終わってしまうことがほんとうに残念で、悔しい。

あと5年、いや3年続いていたら、Especiaはとんでもない高みにまで登っていたであろうことは、今回のライブを体験したあとだと想像に難くない。
そんな可能性が潰えてしまうのはもったいないの一言なので、どうか楽曲の容れ物としてのグループ存続を、もしくは数年後のEspecia復活を、心からうったえたい気持ちでいっぱいです。



ともあれ、僕がEspeciaと出会ってからは3年にも満たない期間だったけど、楽しい時間だった。今は感謝しかない。ありがとう。

…っていつか思えるようになるのかなぁ。僕にはまだ無理だ(笑)



Especia "SPICE" Tour @ 味園ユニバース 2017/03/12 セットリスト
Intro (GUSTO)
X・O
Funky Rock
Danger
Aviator
Rittenhouse Square
嘘つきなアネラ
Mistake
きらめきシーサイド
海辺のサティ
(MC)
トワイライト・パームビーチ
FOOLISH
ナイトライダー
Boogie Aroma
アバンチュールは銀色に
(MC)
Ternary
No.1 Sweeper
(Encore)
Bayblues
YA・ME・TE!
YA・ME・TE!
YA・ME・TE!
(2nd Encore)
ミッドナイトConfusion (Pureness Waterman Edit)
No.1 Sweeper

水曜日のカンパネラ ワンマンツアー2016 SUPERMAN @ なんばHatch 2016/11/23 

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僕にとっては4ヶ月振り、通算9回目の水曜日のカンパネラのライブは、配信限定シングル『SUPERKID』(過去記事)の発売と合わせた全国ツアー "SUPERMAN" の7公演め(全10公演)。会場はなんばHatch!
2015年のミナホ出演時(過去記事)に、「昨年はHatchの通路で歌ったけど今年はステージに上がることが出来て嬉しい。」と言っていたコムアイさん。今年はとうとうワンマンでHatchのステージに立ってしまいましたね。僕はとても感慨深い。

開演前のアナウンスでは、子供連れのお客さんに対して2階席のチケットがなくても2階席でスタンディングで観てもいいよと案内したり、男性客の後ろに女性や子どもがいたら入れ替わってあげるように促したり、ライブ中は男性は絶対に倒れないよう注意(?)があったり、これまでのライブにはなかった、より細やかな配慮が見られるようになった。
これは、数日前の名古屋のライブの際に会場のお客さんからクラウドサーフが起こったことに対して、Twitter上で公式(Dr.F)とファンを交えた議論があり、それが反映されたものだと思われる。
その際の公式の発言は、という感じで、僕はこの公式の考えに共感するし、こういう考えのひとが水カンを率いていることをとても頼もしくも感じた。
もうひとつ今回の開演前のアナウンスで驚いたのは、禁止事項を動画の撮影のみとし、写真の撮影を禁止しなかったこと。これまでのライブでも写真撮影OKの時間を設けることはあったけど、ライブ中の撮影全面解禁はここ最近ではとても珍しいことではないだろうか。

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さて、会場では舞台に向かって右側頭上のバルコニー部分に発光する大きな "S" の文字のオブジェが用意されており、おそらくコムアイさんはあそこから登場だな、などと話していたら、はたして「アラジン」のイントロとともに、MVでも着ていた全身モップのような衣装を身にまとったコムアイさんが登場。
そのまま歌いながら2階席を横断し、2曲目の「シャクシャイン」でようやく登壇。

今回のお客さんは、僕の周りだけなのかどうかわからないけど、これまで僕が経験した水カンのライブの中でいちばん盛り上がっていた。ステージを縦横無尽に踊りまくり、時にはフロアや2階席をもステージに変えてしまうコムアイさんは、いつの間にか歌唱に不安定な要素がほぼなく、今まで僕が観たなかでいちばんプロっぽいステージングを魅せた。雑に言うと、"ちゃんと" していた。
MCにおいても、最近あったことをグダグダ話すスタイルではなく、初めてのお客さんが多かったからか、水カン結成の成り立ちを改めて話したりと、ここでも "ちゃんと" していた。
メジャーデビューから数ヶ月を経て、コムアイさんのパフォーマーとしての意識が明確に変わってきている証左を見たような気がする。

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今回のセトリとしては、『シネマジャック』(過去記事)から1曲、『わた鬼』(過去記事)から2曲、『トライアスロン』(過去記事)から3曲すべて、『ジパング』(過去記事)から5曲、『UMA』(過去記事)から3曲、そして『SUPERKID』から3曲すべてと、やはり2015年の作品である『トライアスロン』と『ジパング』の楽曲が現在の水カンのライブを支えていると言えそうだ。

そんな中、『シネマジャック』収録の「ミツコ」をピークタイムにドロップしたことは、非常に大きな意味があると思う。かつてはライブで必ず演るほどの水カンのキラーチューンだったこの曲も、次々とキラーチューンが生み出される水カンの進化の速さに飲み込まれ、最近はライブで演らないことも増えてきた。しかし今回のライブでは、セトリ全17曲の中でいっちばん盛り上がっていた。
1年前のツアージパング(過去記事)で「ミツコ」を聴いたときは、『ジパング』楽曲との音圧の差に寂寥の感を抱いたものだったが、今回、そこが改善されていて、ものすごくかっこ良かったんだ。
(この件、後日ケンモチさんに確認してみました。)もうひとつ、今ツアーでは「桃太郎」でライブを締めることがほとんどになっていたところ(全公演のセトリを確認できなかったので、おそらく)、大阪では「桃太郎」の後に「ドラキュラ」が用意されていた。ついこないだまでライブのラストを飾るド定番曲だった「ドラキュラ」が、今ツアーでは披露されていないことにとても驚いたが、昨年のミナホの舞台で "大阪の歌" と紹介していたことからも分かるとおり、コムアイさんの中では大阪で「ドラキュラ」はどうしても外せなかったのだろう(そしたら「カーネル」も演ってよ、と思うのは甘えすぎなのかな)。
やっぱり水カンのライブは "血ぃ吸うたろかぁ〜" ってみんなで合唱して終わらないとね。

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今回のライブ、僕にとって最高の水カンのライブがアップデートされたかもしれない。愛と楽しさのみがぶち込まれる90分間は、濃密で、短かさや物足りなさはまったく感じず。
また、例えば「桃太郎」では既にお馴染みとなったコムアイがウォーターボールに入るクラウドサーフ(通称コムボール)では、曲の終わりぴったりにステージに戻るなど、ライブ慣れやステージングの意識の高さも感じるようにもなり、水カンのライブにおける不安材料はかなり払拭された印象。
来年、2017年3月8日に行われる日本武道館公演 "八角宇宙" は本当に見逃せないと思う。行ける人は絶対行っといたほうがいいと思うよ、たぶんゼッタイ。

水曜日のカンパネラ ワンマンツアー2016 SUPERMAN @ なんばHatch 2016/11/23 セットリスト
01. アラジン
02. シャクシャイン
03. ディアブロ
04. 雪男イエティ
05. ライト兄弟
06. ナポレオン
07. チュパカブラ
08. ツイッギー
09. ウランちゃん
10. ユタ
11. カメハメハ大王
12. ラー
13. ミツコ
14. ユニコ
15. 松尾芭蕉
16. 桃太郎
17. ドラキュラ

田島貴男 ひとりソウルツアー2016 @ 梅田クラブクアトロ 2016/11/13 



僕が日本の音楽シーンの中で稀代のメロディメーカーだと認めるソングライターは何人かいるけど、田島貴男はそのひとりだ。
正直言って90年代のOriginal Loveに対してはあまり熱心なリスナーではなかったけど、近年の田島貴男の発する熱量には大いなる魅力を感じざるを得なかった。
というわけで、初めてのOriginal Love/田島貴男のライブです。

今回のひとりソウルツアーは、その名のとおり、自らのボイスパーカッションやコーラスをルーパー・エフェクターで重ねながらギターを弾き(時には叩き)、ハーモニカを吹き、歌い、踊る、ひとりソウルスタイルでのライブだ。
客電が落ち、ステージに登場した田島さんは、手にしたリゾネーターギター(National Style-1)のメタルボディをバコバコどつきながら弦をかき鳴らして叫び、唸りを上げ、スロットルはいきなり全開に。このひと、このテンションのまま最後までいくんだろうかと思ってたら、本当に最後までこのテンションのままいっちゃいました。そのテンションに呼応するかのように、僕たちのいた1階フロアは完全にダンスフロア化。
Original Love 25周年ということで最初期の楽曲と最新作『ラヴァーマン』からの楽曲が多め、あの曲やあの曲といった有名曲ももちろん、というセットリストで、およそ2時間半のオンステージは、独壇場という言葉を体現しているかのようでした。何よりその圧倒的な田島さんの熱量に当てられてしまって、僕はもうずっとウワーーーッてなりっぱなしでした。いやぁなんだかすごいものを見たなぁ。

ライブで聴きたいと思っていた「サンシャイン日本海」(Negicco提供曲のセルフカバー)や「Automatic」(宇多田ヒカルのカバー)も聴けたし、幕間のリズム講座(今回はポリリズムのワークショップでした)や物販紹介コント(?)も面白かった。
冒頭で、僕は田島さんのことをソングライターだと書いたけれど、今回のライブで感じたのは、田島さんは情熱とテクニックを合わせ持った強烈な個性を持ったプレイヤーだったということ。ここ数年先生に付いて習ってるというジャズギター(Archtop Tribute AT175 Classic Advance)を持ったときは特に如実にそれを感じたなぁ。
田島貴男ひとりソウルツアー、ダンスのためのソウルショウ、熱すぎました。でも次回はバンド形態のライブも観たいなぁ。