Especia SPICE Tour @ 味園ユニバース 2017/03/12 

堀江系ガールズグループからアーバン幻想ジェネレータの終焉へ。

2017年3月末で解散することが発表されている女性ボーカルグループEspeciaのラスト(?)ツアー "SPICE" Tour。
古巣大阪ではグループと縁の深い味園ユニバースで行われた。



2016年6月25日の活動再開からわずか8ヶ月をもってピリオドを迎えるいわゆるEspecia第二章。僕は "SPICE" Tour大阪公演の3日前にあたる3月9日に行われたタワーレコードNU茶屋町店のインストアイベントでようやく初めて観ることができた。

活動再開以降のグループとしての高い評価はTwitterなどで目にしてはいたものの、初めて観たEspecia第二章は、その状態の良さに驚かされた。
第一章についてもそれほど回数を観てきたわけではなかったけれど、その音楽性に寄り添うようなボーカルの安定感が、まるで違うグループかのように成長を見せており、もうすぐ解散してしまうという状況フィルターを抜きにしても、彼女たちの音楽にもっと触れていたいという気持ちになって。

気づけばツアーのチケットを取っていた。



"SPICE" Tour大阪は、フルバンドでのステージ。
味園ユニバースというゴージャスな会場におとらない、甘くきらびやかな楽曲の数々とダイナミックな演奏、そしてムーディーでしなやかさという新たな武器を得たEspeciaのメンバーたち。

ときにアカペラで、ときにフェイクを入れ、伸びやかで、そしてパワフルな声量を自在にあやつり、しかも3人がそれぞれソロをつとめることができるという稀有なボーカルグループ。
これが(ライブでのボーカルの不自由さがなければ最高なのにと思わざるを得なかった・笑)あのEspeciaなのか…。



解散ツアーというネガティブな感情は、ことパフォーマンスの部分においてはほぼ表に出ることはなく(MCで涙を見せたりといった場面はあったけど)、そのおかげもあってなのか、僕がいちばん思い入れのあった5人時代のEspecia(通称E5pecia)の元メンバーたちがステージに上げられるという事故のような出来事があっても、大阪なのでもしかするとそんなことが起こり得るんじゃないかと前日に夢想して泣きそうになってたこの僕が、(40代を迎え語彙力が衰えているとは言え)ただ「ヤバイ!!」としか言えなかったし、祝祭的なライブの雰囲気のなかで感じていたのは、ただひたすら

ヤバイ!!
楽しい!!
Especia最高!!
音楽最高!!

という感情だけだった。
そう、ここにいるのは僕が本当に観たいと思ってやまなかったEspeciaだったんだ…。



それだけに、この1年ほどのEspeciaは結局何がやりたかったんだろうと思ってしまうのが正直なところだし、重たい事情がおそらく複数あるのだろうけれど、もうすぐ終わってしまうことがほんとうに残念で、悔しい。

あと5年、いや3年続いていたら、Especiaはとんでもない高みにまで登っていたであろうことは、今回のライブを体験したあとだと想像に難くない。
そんな可能性が潰えてしまうのはもったいないの一言なので、どうか楽曲の容れ物としてのグループ存続を、もしくは数年後のEspecia復活を、心からうったえたい気持ちでいっぱいです。



ともあれ、僕がEspeciaと出会ってからは3年にも満たない期間だったけど、楽しい時間だった。今は感謝しかない。ありがとう。

…っていつか思えるようになるのかなぁ。僕にはまだ無理だ(笑)



Especia "SPICE" Tour @ 味園ユニバース 2017/03/12 セットリスト
Intro (GUSTO)
X・O
Funky Rock
Danger
Aviator
Rittenhouse Square
嘘つきなアネラ
Mistake
きらめきシーサイド
海辺のサティ
(MC)
トワイライト・パームビーチ
FOOLISH
ナイトライダー
Boogie Aroma
アバンチュールは銀色に
(MC)
Ternary
No.1 Sweeper
(Encore)
Bayblues
YA・ME・TE!
YA・ME・TE!
YA・ME・TE!
(2nd Encore)
ミッドナイトConfusion (Pureness Waterman Edit)
No.1 Sweeper

水曜日のカンパネラ ワンマンツアー2016 SUPERMAN @ なんばHatch 2016/11/23 

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僕にとっては4ヶ月振り、通算9回目の水曜日のカンパネラのライブは、配信限定シングル『SUPERKID』(過去記事)の発売と合わせた全国ツアー "SUPERMAN" の7公演め(全10公演)。会場はなんばHatch!
2015年のミナホ出演時(過去記事)に、「昨年はHatchの通路で歌ったけど今年はステージに上がることが出来て嬉しい。」と言っていたコムアイさん。今年はとうとうワンマンでHatchのステージに立ってしまいましたね。僕はとても感慨深い。

開演前のアナウンスでは、子供連れのお客さんに対して2階席のチケットがなくても2階席でスタンディングで観てもいいよと案内したり、男性客の後ろに女性や子どもがいたら入れ替わってあげるように促したり、ライブ中は男性は絶対に倒れないよう注意(?)があったり、これまでのライブにはなかった、より細やかな配慮が見られるようになった。
これは、数日前の名古屋のライブの際に会場のお客さんからクラウドサーフが起こったことに対して、Twitter上で公式(Dr.F)とファンを交えた議論があり、それが反映されたものだと思われる。
その際の公式の発言は、という感じで、僕はこの公式の考えに共感するし、こういう考えのひとが水カンを率いていることをとても頼もしくも感じた。
もうひとつ今回の開演前のアナウンスで驚いたのは、禁止事項を動画の撮影のみとし、写真の撮影を禁止しなかったこと。これまでのライブでも写真撮影OKの時間を設けることはあったけど、ライブ中の撮影全面解禁はここ最近ではとても珍しいことではないだろうか。

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さて、会場では舞台に向かって右側頭上のバルコニー部分に発光する大きな "S" の文字のオブジェが用意されており、おそらくコムアイさんはあそこから登場だな、などと話していたら、はたして「アラジン」のイントロとともに、MVでも着ていた全身モップのような衣装を身にまとったコムアイさんが登場。
そのまま歌いながら2階席を横断し、2曲目の「シャクシャイン」でようやく登壇。

今回のお客さんは、僕の周りだけなのかどうかわからないけど、これまで僕が経験した水カンのライブの中でいちばん盛り上がっていた。ステージを縦横無尽に踊りまくり、時にはフロアや2階席をもステージに変えてしまうコムアイさんは、いつの間にか歌唱に不安定な要素がほぼなく、今まで僕が観たなかでいちばんプロっぽいステージングを魅せた。雑に言うと、"ちゃんと" していた。
MCにおいても、最近あったことをグダグダ話すスタイルではなく、初めてのお客さんが多かったからか、水カン結成の成り立ちを改めて話したりと、ここでも "ちゃんと" していた。
メジャーデビューから数ヶ月を経て、コムアイさんのパフォーマーとしての意識が明確に変わってきている証左を見たような気がする。

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今回のセトリとしては、『シネマジャック』(過去記事)から1曲、『わた鬼』(過去記事)から2曲、『トライアスロン』(過去記事)から3曲すべて、『ジパング』(過去記事)から5曲、『UMA』(過去記事)から3曲、そして『SUPERKID』から3曲すべてと、やはり2015年の作品である『トライアスロン』と『ジパング』の楽曲が現在の水カンのライブを支えていると言えそうだ。

そんな中、『シネマジャック』収録の「ミツコ」をピークタイムにドロップしたことは、非常に大きな意味があると思う。かつてはライブで必ず演るほどの水カンのキラーチューンだったこの曲も、次々とキラーチューンが生み出される水カンの進化の速さに飲み込まれ、最近はライブで演らないことも増えてきた。しかし今回のライブでは、セトリ全17曲の中でいっちばん盛り上がっていた。
1年前のツアージパング(過去記事)で「ミツコ」を聴いたときは、『ジパング』楽曲との音圧の差に寂寥の感を抱いたものだったが、今回、そこが改善されていて、ものすごくかっこ良かったんだ。
(この件、後日ケンモチさんに確認してみました。)もうひとつ、今ツアーでは「桃太郎」でライブを締めることがほとんどになっていたところ(全公演のセトリを確認できなかったので、おそらく)、大阪では「桃太郎」の後に「ドラキュラ」が用意されていた。ついこないだまでライブのラストを飾るド定番曲だった「ドラキュラ」が、今ツアーでは披露されていないことにとても驚いたが、昨年のミナホの舞台で "大阪の歌" と紹介していたことからも分かるとおり、コムアイさんの中では大阪で「ドラキュラ」はどうしても外せなかったのだろう(そしたら「カーネル」も演ってよ、と思うのは甘えすぎなのかな)。
やっぱり水カンのライブは "血ぃ吸うたろかぁ〜" ってみんなで合唱して終わらないとね。

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今回のライブ、僕にとって最高の水カンのライブがアップデートされたかもしれない。愛と楽しさのみがぶち込まれる90分間は、濃密で、短かさや物足りなさはまったく感じず。
また、例えば「桃太郎」では既にお馴染みとなったコムアイがウォーターボールに入るクラウドサーフ(通称コムボール)では、曲の終わりぴったりにステージに戻るなど、ライブ慣れやステージングの意識の高さも感じるようにもなり、水カンのライブにおける不安材料はかなり払拭された印象。
来年、2017年3月8日に行われる日本武道館公演 "八角宇宙" は本当に見逃せないと思う。行ける人は絶対行っといたほうがいいと思うよ、たぶんゼッタイ。

水曜日のカンパネラ ワンマンツアー2016 SUPERMAN @ なんばHatch 2016/11/23 セットリスト
01. アラジン
02. シャクシャイン
03. ディアブロ
04. 雪男イエティ
05. ライト兄弟
06. ナポレオン
07. チュパカブラ
08. ツイッギー
09. ウランちゃん
10. ユタ
11. カメハメハ大王
12. ラー
13. ミツコ
14. ユニコ
15. 松尾芭蕉
16. 桃太郎
17. ドラキュラ

田島貴男 ひとりソウルツアー2016 @ 梅田クラブクアトロ 2016/11/13 



僕が日本の音楽シーンの中で稀代のメロディメーカーだと認めるソングライターは何人かいるけど、田島貴男はそのひとりだ。
正直言って90年代のOriginal Loveに対してはあまり熱心なリスナーではなかったけど、近年の田島貴男の発する熱量には大いなる魅力を感じざるを得なかった。
というわけで、初めてのOriginal Love/田島貴男のライブです。

今回のひとりソウルツアーは、その名のとおり、自らのボイスパーカッションやコーラスをルーパー・エフェクターで重ねながらギターを弾き(時には叩き)、ハーモニカを吹き、歌い、踊る、ひとりソウルスタイルでのライブだ。
客電が落ち、ステージに登場した田島さんは、手にしたリゾネーターギター(National Style-1)のメタルボディをバコバコどつきながら弦をかき鳴らして叫び、唸りを上げ、スロットルはいきなり全開に。このひと、このテンションのまま最後までいくんだろうかと思ってたら、本当に最後までこのテンションのままいっちゃいました。そのテンションに呼応するかのように、僕たちのいた1階フロアは完全にダンスフロア化。
Original Love 25周年ということで最初期の楽曲と最新作『ラヴァーマン』からの楽曲が多め、あの曲やあの曲といった有名曲ももちろん、というセットリストで、およそ2時間半のオンステージは、独壇場という言葉を体現しているかのようでした。何よりその圧倒的な田島さんの熱量に当てられてしまって、僕はもうずっとウワーーーッてなりっぱなしでした。いやぁなんだかすごいものを見たなぁ。

ライブで聴きたいと思っていた「サンシャイン日本海」(Negicco提供曲のセルフカバー)や「Automatic」(宇多田ヒカルのカバー)も聴けたし、幕間のリズム講座(今回はポリリズムのワークショップでした)や物販紹介コント(?)も面白かった。
冒頭で、僕は田島さんのことをソングライターだと書いたけれど、今回のライブで感じたのは、田島さんは情熱とテクニックを合わせ持った強烈な個性を持ったプレイヤーだったということ。ここ数年先生に付いて習ってるというジャズギター(Archtop Tribute AT175 Classic Advance)を持ったときは特に如実にそれを感じたなぁ。
田島貴男ひとりソウルツアー、ダンスのためのソウルショウ、熱すぎました。でも次回はバンド形態のライブも観たいなぁ。

水曜日のカンパネラ ワンマンライブ2016 未確認ツアー @ 京都 萬福寺 2016/07/18 

僕にとっては7ヶ月振り、通算8回目の水曜日のカンパネラのライヴは、メジャー・デビューEP『UMA』(過去記事)の発売を記念した全国ツアー "未確認ツアー" の最終公演。場所は京都府宇治市の黄檗萬福寺。
ツアー・ファイナル、しかも会場はお寺というロケーションと、スペシャル感が半端なく、しかも超ひさしぶりの水カンのライヴということもあり、僕は当日を心待ちにしておりました。

ちなみに、前回のライヴ(過去記事)から7ヶ月も空いたのは、今年2月のワンマンライヴ "NANIWA!" のチケットをあえて取らずに "1回休み" を入れたからですが、これにはまったくネガティヴな意味合いはなく、逆に今後も末永く水カンのファンとしてい続けるための、完全にポジティヴな休憩であったことをここに記しておきたく。

さて、会場の黄檗萬福寺に到着すると、シネマTを制服のように着そろえた若い女の子たちや、コムアイさんみたいなファッションの若い女の子たちがたくさん。
あれ、水カンのライヴの客層ってこんなんだったけ…。僕の知ってる水カンのライヴはもっとこう、おっさ(以下自主規制)

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えー、いきなりだけど、今回のライヴを観終わって感じた、今後改善が必要と思われる点をみっつほど。
あっ、と…。本来この手のライヴレポにおいては、ライヴの良かった点、楽しかった点を逐次述べたあと、最後に指摘事項を申し添えるという構成が一般的だと思うのですが、そうすると読後感にネガティヴな印象を引きずってしまうおそれがあり。しかし僕がこの記事で伝えたいのは、あくまでも今回のライヴがいかに良かったか、いかに楽しかったかということなので、あえて、先に指摘事項だけ済ませておきたい。もちろんこれはdisでもなんでもなく、健全な批判こそがアーティストのさらなる成長の助けになると信じてやまないからだ。

ひとつめは、水カンのワンマンライヴでは不名誉な恒例行事と言ってもいい、開演時間の遅れについて。
今回の萬福寺でも入場開始が20分遅れ、開演時刻は30分の遅れを見せた。開演が予定よりも遅れる理由が毎回同じなのかそれとも違うのかはわからないが、どうも偶発的に起こるトラブルとかではなく慢性的な原因を抱えているように思える。特に、今回のように屋外の炎天下で長時間にわたってお客さんを待たせるのはとても危険だ。
ちなみに僕の真後ろにいた若いカップルは、彼氏が水カン好きで彼女が初めて水カンのライヴに連れて来られた、といった様子だったが、開演時間が延びるに従い彼女の機嫌がみるみる悪くなっていき、険悪な雰囲気にこちらもいたたまれなくなるほどだった笑(笑うんかい・笑)。

ふたつめは、ひとつめとも関連するのだけれど、ライヴ本編の時間の短さについて。
今回のライヴはMCやアンコールを含めて、実質80分程度しかなかった。演ったのは全15曲。未確認ツアーの他の会場と比べても3曲ほど少なくなっている。
この3曲が、開演時間が押したために削られたのか、それとももともとの予定通りだったのかは定かではないが、ワンマンライヴである以上、やはり120分間をひとつの目安としてほしいところだ。コムアイさんの体力的な問題なのかはわからないが、まだまだワンマン慣れしていないといった印象を拭えない。
初めて来たお客さんは、えっこれでおしまい!?って絶対がっかりすると思うんだよなぁ。僕も未だにがっかりしているけど。

みっつめは、不可解なセットリストについて。
今回、宇治のお寺でライヴを演るということがわかって、ほとんどの水カンファンは "あの曲" を演るだろうと思っていただろうし、期待もしていたはずだ。また、7月の夕刻、蝉の声が鳴りやまない中30分も待っていると、どうしても "あの曲" のイントロを思い浮かべずにはいられなかっただろう。
しかし結局 "あの曲" は演らなかった。
宇治のお寺などという会場を押さえておきながら "あの曲" を演ることを思いつきもしなかったとすれば、残念ながら水カンチームは無能だ。しかし決してそんなことはないだろう。きっとあえて演らなかったのだ。ファンの期待を逆手に取ってあえて裏切ってみせたのだ。わざとハズしたのだ。スカしたのだ。
思えば、昨年11〜12月のジパングツアーのときも、アルバム『ジパング』(過去記事)において重要な位置を占めていたはずの「西玉夫」と「マッチ売りの少女」の2曲を、ツアーの全日程を通してセットリストから除外していた(その2曲は今年2月のNANIWA!とOEDO!において始めて披露された)。
だが、そんな90年代のサブカルにありがちな逆張りの態度は、今後さらに大きなステージを目指すであろう水カンにとってはむしろ障害にしかならないと思う。ファンの期待に向き合って正面突破を図る実力とアイディアは、すでに水カンには備わっている。水カンはもっとファンの期待に対して意識的に正面から応えることによって、より大きなポピュラリティを得るようにしたほうがいいと思う。

以上、重ねて言うけどdisじゃないのよ。これはあくまで僕の水カン愛なんですよ。そこんとこよろしくお願い申し上げ!

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ライヴは、「ラー」のイントロとともに、建築用移動式足場のローリングタワーに乗ったコムアイさんとカレーメシくんが会場後方から登場してスタート。

ステージは本堂前の月台と呼ばれる舞台のようなスペースに設営されており、とても広くて奥行きがある。しかしそのせいで、コムアイさんが舞台中央後方の定位置に陣取ると、ただでさえ小さいコムアイさんは僕の立ち位置からは例のMacBookを乗せている台の後ろに隠れてしまって、ほぼほぼ見えなかった。
しかも僕の立ち位置が、背中に松の木、目の前に灯籠、という状況で(そりゃそうだ、ここは境内だもの)、背中や首筋にチクチクと刺さる松の葉の痛みに耐えつつ、灯籠に空いた穴の隙間からコムアイさんをのぞき見るという、なんともレベルの高いプレイを強要される羽目に。

しかしコムアイさんは会場中を縦横無尽に動き回るので、実際のところはモウマンタイ。
「小野妹子」で、コムアイさんの "フロムジャペン! フロムジャペン!" の歌声とともに登場した萬福寺の僧侶たちが、客席中央に設けられた花道を合掌したまま隊列を組んで練り歩く様は、これ…が…遣隋使…と、絶句と大爆笑を同時に経験することが出来た。この強烈な画ヅラこそが僕にとっての今回のライヴのピークであったと言えよう。

屋外で聴く水カンのトラックは、重低音がピーカンの空に響き渡り、最高に気持ちが良かった。
と同時に、僕は屋外で水カンを見るのが今回で2度目だったが、今回1500人の聴衆の前で響き渡った「ユタ」でゆらゆら踊りながら、200人ほどのお客さんだったタワレコマルビル店のインストアライヴ(過去記事)で聴いた「ユタ」を思い出し、感慨深くて涙が出そうになった。

メジャー・デビュー作『UMA』に収録の外部プロデューサーによる楽曲については、特に「フェニックス」の印象が良かった。CDで聴いたときはいまいち良さの分からなかったラテンハウスだったが、屋外でその大箱向けサウンドの本領を発揮したと言えよう。

2匹のイエティが登場したり、さなぎの着ぐるみのコムアイさんが羽化したり、「チュパカブラ」のMVの登場人物が登場したり、沙悟浄がきゅうりを投げたりと、とにかく情報過多な演出がまったく飽きさせることなく。
今回に限ってはコムアイさんのMCも自虐的でキレキレで、つい先日発売されたフライデーの記事を読み上げ、「ここに書いてあるのは全部事実です!」とあらためて告白。かつて岡村靖幸は "Baby 週刊誌が俺について書いていることは全部嘘だぜ" と歌ったが、これが俺たちのコムアイさ。リアル・ロックスターさ。
2月のNANIWA!で初お目見えとなり、水カンのライヴではいまや定番の演出となっている、ウォーターボールを使ったクラウドサーフィングも登場した。僕もコムアイさんの入ったウォーターボールを追いかけて、追いかけて、追いかけて…

かつて僕が水カンのライヴで感じていた多幸感は祝祭的に昇華され、"なんだかよくわからないもの" だった水曜日のカンパネラは、いつの間にか、"似たものがどこにも思いつかない唯一無二のなんだかよくわからないもの" になっていた。
水カンはまだまだ大きなところを目指すだろうし、実際に想像もしなかったような大きなところに立つことができるだろう。
僕は彼女たちがどこまで行ってしまうのか、見続けたい。これからも確認していきたい。そう心に誓っています。

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水曜日のカンパネラ ワンマンライブ2016 未確認ツアー @ 京都 萬福寺 2016/07/18 セットリスト
01. ラー
02. シャクシャイン
03. ディアブロ
04. 小野妹子
05. 雪男イエティ
06. フェニックス
07. チュパカブラ
08. ウランちゃん
09. バク
10. ユタ
11. 猪八戒
12. ユニコ
13. ツチノコ
14. 桃太郎
15. ドラキュラ

小沢健二 魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ @ Zepp Namba 2016/06/05 

Kenji Ozawa 小沢健二 Official Site ひふみよ >>

小沢健二は魔法使いだ。

魔法にはいくつかの種類がある。
そして小沢健二の使う魔法は、他のアーティストがあまり使うことのないタイプのものだったかもしれない。

小沢健二6年ぶりの全国ツアー、魔法的。大阪公演の2日目を見てまいりました。個人的にも6年ぶり、そして2度目の小沢健二のライヴでした。

過去記事:ひふみよ 小沢健二コンサートツアー二零一零年五月六月 @ 神戸国際会館 2010-06-06 (2010/06/09)

今回は、ツアーのサブタイトルの通りのシンプルなバンド編成で、ホーンセクションは無し。代わりにメンバー紹介の際に "アナログ機材" と称される、テルミン、電子パーカッション、チューブラーベルなどを操るバンドメンバーがいた(ちなみにそのひとはかつて「今夜はブギーバック」をカヴァーしたこともある某ユニットのメンバーである。こんなところでその姿を見ることになるとは思ってもみなかった)。

披露された全17曲のうち、7曲が新曲。
それらの新曲は歌詞がスクリーンに投影され、またアンコールにおける斬新な趣向の演出の効果もあり、初めて聴く曲ばかりであるにもかかわらず、馴染みにくさを感じることはごくごくわずかにおさえられた。
逆に、残りの10曲の既発曲は、今回のツアーのバンドに特化された新しいアレンジに改変されていることから、新鮮さと若干の戸惑いを持って目の前に現れた。
つまり新曲と旧曲がお互いに歩み寄りを見せることで、おおよその中間点に落ち着いてバランスし、それなりの統一感を持って観客に迎え入れられることに成功していた。

新曲は、1997年頃の一連のシングル作(『Buddy/恋しくて』『指さえも/ダイスを転がせ』『ある光』『春にして君を想う』 )などと似た空気感があり、なおかつそこに現在の、父親となった小沢健二から紡ぎだされる歌詞によってアップデートされた楽曲という印象。
20年近く行き先を迷いさまよった方向性が、紆余曲折を経て1997年と2016年がようよう直結した、という新曲群。これらは音源化するのかしないのか…。僕は、しないんじゃないかと思ってる。それか、もしもする場合はライヴ音源をそのまま出すとか。

エスノな頭飾りを身に着け、顔にペイントを施した小沢健二の声は、20数年前よりも太く、力強さを感じるものだった。
しかしその佇まいや一挙手一投足(両手を握りしめて胸の前でキュッとするポーズとか、ギターを弾きながらぴょんぴょん跳ねる動きとか)には可愛らしさと若々しさが全快の、"変わらない" 小沢健二そのものであった。青年47歳。

そんな至福の時間は、アンコールの最後の言葉によって唐突に終わる。
「これが最後のカウントダウンです。」「ごー、よん、さん、にー、いち…。」

「日常に帰ろう。」

魔法が、解けた。

こんな残酷で、観客を一気に突き放す言葉があるだろうか。
逆説的に言えば、この言葉によって初めて、僕達はライヴ中に小沢健二の魔法にかかっていたことを知るのだ。

小沢健二の帰る日常とはどんな景色なのだろう。
自分の日常も美しいものにしていかなければいけない。そんなことを思う。

しかし、今から思い返すと、本当はあの言葉で魔法が解けたのではなく、実はあの言葉で魔法にかけられたのかもしれない。
甘いライヴの時間を再び希求する気持ちと同様に、美しい日常を希求する意識を芽生えさせられたのかもしれない。次のライヴを観るまで。
そんなことも思う。

これが小沢健二が使った魔法の正体なのかもしれない。

ところで "Gターr ベasス Dラms キーeyズ" ってサブタイトルを見ると、どうしても真保☆タイディスコの "住m場syo着るmのからまって" を思い出してしまうのは僕だけ?

セットリスト
01. 昨日と今日
02. フクロウの声が聞こえる
03. シナモン (都市と家庭)
04. ホテルと嵐
05. 大人になれば
06. 涙は透明な血なのか? (サメが来ないうちに)
07. 1つの魔法 (終わりのない愛しさを与え)
08. それはちょっと
09. ドアをノックするのは誰だ?
10. 流動体について
11. さよならなんて云えないよ
12. 強い気持ち・強い愛
13. 超越者たち
14. 天使たちのシーン
15. 飛行する君と僕のために
16. ラブリー
17. その時、愛
(アンコール)
18. シナモン (都市と家庭)
19. フクロウの声が聞こえる