Joi Lau - 3 UR Mind

Title: 3 UR Mind
Label: Klasse Wrecks
Catalog#: WRECD1
Format: CD
Released: 2021
漫画家のアシスタントをしていたという1990年に劉祖兒(Joey Lau)の名前で香港のドメスティック・チャートでアルバム・ヒットを果たしたポップス歌手による、プライベートで録りためていた100曲以上の中から発掘・選曲されたインストゥルメンタル作品集。
コンパイラーを勤めたリリース元のKlasse Wrecksを主宰するMr. HoとJoi Lauが香港のアンダーグラウンドなクラブで知り合ったことから今回のリリースにつながったということで、Joi Lauにとっては実に30年以上ぶりのセカンド・アルバムということになる。
Klasse Wrecksといえば香港とベルリンを拠点にオールドスクールなテイストのハウスやテクノをリリースしており、本作はレーベルカラーに絶妙にマッチするともしないとも言える一筋縄ではいかないダンス・トラックが8曲編まれている。
ブレイクビーツやエレクトロのビート、あるいは地下テクノっぽい轟音4ビートのトラックのみならず、複雑で民族的なビートやベースドラムの一切入っていないトラックまであり、上物もアシッド・シンセや効果音的なものから、読経のような声や中近東っぽいリフやメロディーを使用していたり、はたまた曲の展開もミニマルではなく(何を思ってこうなったのか理解し難いくらいに)多彩。
それぞれの曲がいつの年代に作られたのかは定かではないものの、インナースリーブに掲載されているセルフ・ライナーノーツによると(中国語の繁体字と英語で書かれているので正確に理解できていないかもしれないが)、コロナ禍に突入した2020年に作成された最近の曲もいくつかあるようだ。
一貫して言えるのは、一般的なハウスやテクノといったダンスミュージックのマナーを意識せず自由に作られていることが本作のオリジナリティにつながっているということと、その個性も単にオリエンタルとかエキゾチックと換言できるほど単純なものではないということ。
今後既存のシーンに受け入れられることにより彼の音楽の個性が希釈されていくおそれもあるけれど、ありふれた現行のテクノに魅力を感じなくなってしまった変わったもの好きの向きにはお勧め。
Tracklist:
01. All I Need Is
02. Bipolar (Dark Zone Version)
03. Desert Core (Extended Version)
04. Exotic Beat
05. Funky S
06. Ignore Obstacles
07. Its Just Like That
08. The Wall
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- [2022/11/26 14:38]
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junyamabe - Serenade EP

Title: Serenade EP
Label: jnymb
Catalog#: jnymb-2
Format: 12"
Released: 2017/10
junyamabeのプライベートレーベルjnymbの、2年ぶりとなる2nd。
紙製インナースリーブのみでの流通と運が良ければステッカー付きという装丁は1stと同様だ(僕は1stにステッカーが付いてなくて枕を濡らしたけど2ndには無事付いてました。今回のステッカーは交通系ICカードに貼るタイプのもの)。
本作ではあからさまに(良い意味で!)ダンスフロアを狙ってきたという印象で、僕は諸手を挙げて歓迎いたしたく。
繊細でエモーショナルなウワモノに走るグルーヴのA1、跳ねたボイスサンプルにボトムヘヴィなビートが気持ち良いA2、いずれも極上のテックハウスだ。うん、ハウスなんだけどテックハウスと呼んだほうがよりしっくりとくる。
B1は雪煙る中にキラキラとしたダイヤモンドダストが舞う情景が浮かぶ、初期デトロイト/ピュアテクノっぽさのある物語性の高いトラック。
ファンの贔屓目を抜きにしても、このレコードは山辺さんの最高傑作を上書きしたんじゃないかな。家宝。
Tracklist
A1. sail_away
A2. Lets Show Them!
B1. hakuei (no one there)
- [2017/10/24 20:23]
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James Ruskin - Point 2

Title: Point 2
Label: Tresor
Catalog#: Tresor 145
Format: CD
Released: 2000
3年以上放置していたけど、当blogでは "CDで聴くハードミニマル" という連作レビュー企画をやっておりましてな。
企画を始めた2009年当時、テクノはまだまだミニマル全盛で、90年代末に隆盛を誇ったハードミニマルなんてすっかり忘れ去られて蚊帳の外状態でした。そんな中、アナログ中心のシーンであったにもかかわらず、あえて手に入りやすいCDというメディアに限定してレビューを続けることによって、ハードミニマルの復権を願うという、壮大な目的を内に秘めてこの企画を始めました。
そして2014年。
CDも決して手に入りやすいメディアとは言えなくなり、Berghainに代表されるベルリン地下テクノの影響で、ハードミニマルはいつの間にか、すんなりと、あっけなく、拍子抜けするくらいに、テクノの中心に返り咲いている。
本来ならそういった現在進行形の新型ハードミニマルをもっともっと当blogで紹介していくべきところなんですが、歴史を振り返ることも有益なことだろう、と半ば自分に言い聞かせ、停止していたシリーズの更新を再会したいと思います。
と言っても、紹介したいCD作品の枚数も残りわずかなので、もう少しだけおつきあいを。
ということで。
CDで聴くハードミニマル 第15回
舞台はUKに戻ります。
Surgeonとの共作シングル『Sound Pressure』(1998年) で一気に名前の売れた印象の強いJames Ruskin。スタイルとしてはJeff Millsフォロワーと言えると思います。
このアルバムはTresorからとなる2nd。
自身のレーベルBlueprintからの1st『Further Design』も、2nd同様Tresorからとなる3rd『Into Submission』も、それぞれ素晴らしいミニマル・テクノなんだけど、この2ndの特徴は、土着的なパーカッションやヴォイス・サンプルが前面に押し出されているトライバル・ミニマルだという点ですね。
トライバルというタームは、ハードミニマル後期においてきわめて重要なキーワードとして機能することになります。その話はまたおいおい。
![]() | Point 2 (2000/06/06) James Ruskin 商品詳細を見る | ![]() | Point 2 - Germany [12 inch Analog] (2000/06/06) James Ruskin 商品詳細を見る |
Tracklist
01. Before The Calling
02. If
03. Subject
04. Detatched
05. Version
06. Eight 3
07. Connected
08. From Over The Edge
09. Coda
10. If (Loft Mix)
- [2014/06/09 20:25]
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Jackmaster YOSHIKI - Jackmaster YOSHIKI is Dead

Title: Jackmaster YOSHIKI is Dead
Label:
Catalog#:
Format: MP3
Released: 2013/05/05
[試聴/ダウンロード]
[Amazon.co.jp] [iTunes Store]
アシッド・コンピTB or not TBシリーズ(過去記事1・過去記事2・過去記事3)なんかの首謀者であるtecraがJackmaster YOSHIKIの名前で発表した作品のコンピレーション(のダウンロード版)。一応このリリースを持ってアシッド的な作風のものは一区切りとのことだ。
アルバム全体をおおまかに分けると、ブリーピーなミニマル、レイヴィーなハード・アシッド、グルーヴィーなアシッドハウス、の順に収められている。収録曲は微妙に既発曲のヴァージョン違いだったりもするが、やはり僕は後半のアシッドハウス集に勢いと魅力を感じてしまう。
僕は、彼に限らず、ネットや同人イベントで作品を発表している何人かのひとたちの音楽を、昔からテクノを聴いているようなひとたちにも届いて欲しいとずっと思ってるけど、なかなかその断絶を埋める力にはなれなくてもどかしさを感じることがある。
逆説的ではあるけど、テクノに関しては、ネットでフリーで音楽を公開するよりも、ヨーロッパなどのレーベルからリリースされないと、より広い層には聴かれないという状況がある。tecraさんには以前、確か『braille ep2』のデモを聴かせてもらった時だったと思うが、ネット・リリースじゃなくて海外のレーベルに送ってみたら、と言ってみたことがある。あの侘寂が滲出したようなミニマル・ダブはちょっとほかで聴いたことがないものだったからだ。それに対しては、まだそこまでのスキルがないので…、みたいに返された。僕は、そういうの同人根性って言うんですよ悪い意味で、と思ったけど、めんどくさくなってそこで会話(Twitterのメッセージ)は終わった。
まぁ僕なんかに言われるまでもなく、みんな海外の(に限らず、だけど)レーベルにデモを送ったりしてるのかも知れないけど、て言うか、そういう旧来の手法を嫌ってネット・リリースを選んでいるひともいるんだろうけど。
余計なお世話か。
あと、このコンピと同時に、コンピには未収録の同タイトルのトラックも公開されている。これがどぎついレイヴィーなアシッド・チューンなのであわせて聴きたい。
ところで「ヤサイマシマシッド」を改めて聴いて気づいたけど、これってきっと「ムジナ2」だよね?(笑)
Tracklist:
01. Glay Stork
02. Orange
03. ヤサイマシマシッド
04. Otoha Clash
05. Buff Clan
06. Pyper Luw
07. ときめきTonight
08. Kick It!!
Jackmaster YOSHIKI is Dead by tecra/Jackmaster YOSHIKI
Tracklist:
01. Jackmaster YOSHIKI is Dead
- [2013/05/22 12:28]
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Johannes Heil - Lifesigns EP

Title: Lifesigns EP
Label: Figure
Catalog#: FIGURE44
Format: MP3
Released: 2013
[試聴]
[Amazon.co.jp] [iTunes Store]
Johannes Heilが2013年2月にLen FakiのレーベルFigureから出したシングル。
Johannes Heilは、2000年前後にハードミニマルを好んで聴いていたひとたちなら名前を憶えていることだろう。Heiko LauxのレーベルKanzleramtからハードテクノやエレクトロを量産していたドイツのプロデューサーで、近年はCocoonあたりでぬったりとしたミニマルをやっていたが、イマイチぱっとしなかった。
で、今回はFigureからのリリースということもあり、かつてのハードテクノの手法に再び立ち返った作風となっている。ベルリン地下テクノ主流の "ハードなミニマル" ではなく "ハードミニマル" になってしまってるのはご愛嬌といったところか。しかしこれ、昔の自身の作品よりもよっぽどミニマリスティックになっていて、特に#4「Lifesigns Pt. 2」なんて往年の雰囲気バリバリ。勝手にJohannes Heil復活で賞をあげます。
Tracklist:
01. Lifesigns Pt. 3
02. Lifesigns Pt. 4
03. Lifesigns Pt. 1
04. Lifesigns Pt. 2
- [2013/03/17 22:00]
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