Reinhard Voigt [minimal techno/house] 

Reinhard Voigt - Im Wandel Der Zeit (●KOMPAKT/2001)

2001年に●KOMPAKTから出た、ラインハルト・フォイトのいまのところ最新アルバム(多分)。
実験モノ、アンビエント、音響と色々やってきたうえで本名名義の2ndアルバムとして満を持してリリースされた感がある、ハウシーなグルーヴのミニマルなテクノとでも言ったらいいのでしょうか、ドイツっぽい固~いキックとエレクトロニックな音色が実にカッコいいです。
実験的なトラックは影を潜め、代わりにダンスフロアのド真ん中を狙って来た感じです。
みんなこれを待ち望んでたんでしょ! とでも言わんばかりに。
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Reinhard Voigt [ambient] 

Reinhard Voigt - Premiere World (Profan/2000)

プロファンの(いまのところ)ラスト・リリースは、ラインハルト・フォイトの本名名義によるゴシック・アンビエント作品集。
シュトゥルムの2ndのようなどんよりとしたダウナー音響ではなく、かと言ってまったり和むにはちょっと重たいかもしれないけど、クラブミュージックとしてのアンビエント = チルアウトミュージックとしては忠実に作られている気がします。
本当はもう少しHapp"E"感が欲しいところですが、フォイト兄弟のアンビエント・アルバムのなかではいちばん好きです。

ラインハルト・フォイトはKron名義のアルバムもザ・モダニストのハーヴェストから出してるんだけど、これは未聴です。
おそらく音響っぽいのをやってるはずなんだけどなあ。

Forever Sweet (Reinhard Voigt, Tobias Thomas, Michael Mayer) [german house] 

Forever Sweet - Geben & Nehmen (Ladomat 2000/1998)

はい、ようやくここまでたどりつきました。
Michael Mayer『Touch』のレヴューを書いたあと、実はこのアルバムのことを説明しておかないとレヴューが補完できないことに気づき、それならばとマイク・インク(ウォルフガング・フォイト)から●KOMPAKTまでの道筋を追って来たケルン特集もようやくひとつめのヤマ場です。(長すぎるっちゅーの!)

さてこの『Geben & Nehmen』は、ラインハルト・フォイト、トビアス・トーマス、そしてミヒャエル・マイヤーの3人からなるフォーエヴァー・スウィート唯一のアルバムです。
当時ニホンでも人気のあったジャーマン・ハウスのレーベル、ラドマート2000からのリリース。
実験君だとばかり思っていたラインハルト・フォイトがこんなダンスフロア直撃仕様の、ポップで艶っぽいハウスを作るなんて思ってもみませんでした。
(1曲目「Don't Speak」ではABBAをサンプリング!)
でも後から思うと、このアルバムで見られるポップ感覚って、実はミヒャエル・マイヤーの仕事だったんだよなー。

いずれにせよ、このアルバムは全曲ハズレなし! ドイツのクラブ・ミュージック史上にこっそりと残る裏名盤であることに間違いありません。
現在の●KOMPAKTが好きで未聴の方、中古盤屋で見かけたら速攻ゲットしてください。

Sturm (Reinhard Voigt) [ambient] 

Sturm - Sturm (Mille Plateaux/1999)
Sturm - Sturmgesten (Mille Plateaux/1999)


ラインハルト・フォイトはシュトゥルム名義でも2枚のアルバム・リリースがあり、いずれもアンビエント/音響ミニマルをやってます。
兄ウォルフガングのM:I:5に呼応したのがペンタックスだとしたら、同じくGasに呼応したのがこのシュトゥルムでしょう。
レーベルも同じミル・プラトーで、どう考えても偶然とは思えないと言うか、この頃のラインハルトはまだまだ兄の後ろにくっついて走ってた印象があります。

しかし、シュトゥルムの音楽も叙情的な音響に溢れていますが、Gasの音楽には希薄に感じられた希望の光のようなものが感じられます。
特に1stのラストの曲は、キラキラした音色とユルめのビートが織りなす極上のディープハウス。
ラインハルト・フォイトの最高傑作です。
アルバム『Sturm』をどこかで見かけたら、この曲のためだけに買っても損はないと断言しておきましょう。

でも2ndは一転して、終始どんよりと暗いんだよなあ・・・。

Pentax (Reinhard Voigt) [click/deep minimal] 

Pentax - Das Album (Profan/1997)
Pentax - Konkret (Profan/1999)


ケルン特集第2部スタートです。

まずは、兄ウォルフガング・フォイトM:I:5よりも若干跳ねたグルーヴが感じられないでもない、ラインハルト・フォイトによるペンタックスの1stと2nd。
プロファンのコンピに収録されたスウィート・ラインハルト名義の曲よりも地味というか、取っ付きにくさがありますね。
実験的すぎて難解に感じられます。

ノイズまじりのユルめの4つ打ちのリズムに、ベースラインとも言えない重低音がミニマルに鳴り続ける。
ただそれだけの音楽ですよ(特に2nd)。
しかしクラブでデカイ音でかかるとかなりの威力を発揮するものと思われます。

それにしてもプロファンのアートワークは秀逸です。
どのリリースもミニマムなデザインで統一されていて、大好きでした。
プロファンのミニマムなアートワークは初期●KOMPAKTにも受け継がれていると思います。
ほとんどのデザインにウォルフガング・フォイトが関わっていたらしいので当たり前と言えば当たり前ですが。

ピエール瀧とベートーベン [taki] 

Pierre Taki & Beethoven - Live at Liquidroom (Ki/oon/2004)

昨年10月に行われた "ピエール瀧 presents 7 Hours Deluxe" におけるスペシャルバンド、ピエール瀧とベートーベンのライヴDVDを買いました。
観るまでは、また瀧のことだからおちゃらけたくだらないバンドでお茶を濁したものだとばかり思っていましたが、実力派のミュージシャンたちが瀧の周りを固めており、実はめちゃくちゃカッコ良かったです。

やっぱ生のバンドっていいなあ。パワーあるなあ。
でも一番良かったのは、「キラーポマト」のシカゴハウスっぽい打ち込みのトラックに、生のドラムやベースがカオス状態でかぶさってくる瞬間でした。
鳥肌立ちましたよ。
これを生で見た人がうらやましいです。

 01 運命 (Intro)
 02 オールナイトロング
 03 俺が畳だ! 殿様だ!
 04 ちょうちょ
 05 さびしがりやの瀧
 06 バカ正則
 07 元祖・力医師
 08 キラーポマト
 09 モテたくて・・・
 10 富士山
 11 ガリガリ君

ピエール瀧とベートーベン are
 ヴォーカル:ピエール瀧
 ギター・ベートーベン:ブラボー小松
 ベース・ベートーベン:ジニームラサキ
 ドラム・ベートーベン:吉村由加 (ex.DMBQ)
 シンセサイザー・ベートーベン:砂原良徳


ピエール瀧オフィシャルサイト >>

Los Hermanos [detroit techno] 

Los Hermanos - On Another Level (Submerge/Cisco/2004)

今回ケルン特集はお休みして、そんなことよりも事件事件!!

UR(アンダーグラウンド・レジスタンス)ポッセのロス・ヘルマノスのアルバムが出ました! しかもニホン盤!
URの音源がライセンス・リリースされるなんて、この10数年なかったことですよ。
特にニホン盤が出たのなんか、UR『Revolution For Change』 (Alfa/1992) と、X-101『X-101』 (Alfa/1992) 以来だと思います。

当初URは海外へのライセンスにかなり積極的だったのですが、ヨーロッパのメジャーレーベルにさんざん惨い目に遭わされて以降、かたくなに自主流通、インディペンデントを貫き通してきました。
そんなURのパートナーに選ばれたニホンのCISCOには頭が下がります。
星川さんの血のにじむような(?)努力があったことでしょう。

さて、音のほうはと言いますと、いかにもデトロイトテクノらしい、わかりやすいデトロイトテクノといったところです。
Galaxy 2 Galaxy直系のフュージョンテクノ(融合っていう本来の意味じゃなくてジャズのフュージョンね)あり、デトロイトテクノお得意のラテンのコード進行や、フリージャズを思わせるフリーキーなメロディーあり。勿論ねばっこいファンクネスにもあふれています。
テクノ好き、ダンスミュージック好きだけでなく、ジャズ好き、黒人音楽好きにこそ是非聴いてもらいたい傑作です。

CISCOは来年URのボス、マイク・バンクスのアルバムを控えてるというウワサもありますが、調子に乗ってGalaxy 2 GalaxyシリーズやAcid RainシリーズのCD化にも踏み切って欲しいところです(←妄想)。


追記 (2004-12-18 15:02)

妄想が現実に!!(笑)
マイク・バンクスのアルバムはGalaxy 2 Galaxyのコンピレーションだそうです。
しかもCD2枚組。リリースは来年2月11日!
Tracklisting >>

Gas (Wolfgang Voigt) [ambient] 

ウォルフガング・フォイトはGas名義ではアンビエントをやっていて、

 『Gas』(Mille Plateaux/1996)
 『Zauberberg』(Mille Plateaux/1997)
 『Königsforst』(Mille Plateaux/1999)
 『Pop』(Mille Plateaux/2000)

と4枚のアルバムを出しています。
実は一番多作な名義だったりするわけですが(アルバムとしては)、残念ながらボクは1999年の3rd以外は未聴です。

Gas - Königsforst (Mille Plateaux/1999)

このアルバムは、アブストラクトなシンセサイザーの音響に、緩やかに深く打ち鳴らされるベースドラムの曲で始まりますが、アルバムを聴き進むにつれ、ベースドラムの音は深化し、あとは暗闇に沈み込むかのような音響だけが残ります。
非常に叙情的な響きなんだけど、アトモスフェリックと言うよりはディープ。
このひとの音楽は、何故こんなにも「死」を思わせるものが多いのだろう。

Burger/Ink (Jörg Burger & Wolfgang Voigt) [minimal house] 

Burger/Ink - [las vegas] (Harvest/1996/Matador/1998)

ザ・モダニストことヨルグ・バーガーと、マイク・インクことウォルフガング・フォイトがタッグを組んだアルバム。
ここでは柔らかい音色の心地良いミニマル・ハウスをやってます。
そして、アルバム・ラストのチルなブレイクビーツ曲がスバラカシイです。

1996年にヨルグ・バーガーのハーヴェストからリリースされましたが、ボクが持ってるCDは1998年に何故か米マタドールからライセンス・リリースされたものです。
ま、中身は一緒ですけどね。

M:I:5 (Wolfgang Voigt) [deep minimal] 

M:I:5 - Maßstab 1:5 (Profan/1997)

ウォルフガング・フォイトの数ある名義の中でも、最も実験的なダンストラック(ここ重要!)を作るのがこのM:I:5。
出た当時は、「こんな音楽需要ないよな。」などと思ったものですが、クリック/ミニマルが一大潮流となったイマの耳で聞くと、意外とすんなり聴けたことに驚きです。
時代の流れって恐ろしいですね!

ある程度でかい音で聴かないとわかりませんが、必要以上にレヴェルの上げられたベースが、チキチキとジャストなグルーヴのリズムを打ち消すぐらいブイブイ鳴ってます。
かと言っても、ハードな訳では全くなく、あくまでディープで密室的な音楽です。

Studio 1 (Wolfgang Voigt) [deep minimal/click house] 

Studio 1 - Studio 1 (Studio 1/1997)

この前、プロファンがクリックハウスの元祖と書きましたが、厳密には同じくマイク・インク = ウォルフガング・フォイトの、このスタディオ・アインのシリーズこそが元祖クリックでしょう。
出て来た当時は、エレクトロニックにしたベーシックチャンネル (BC) という程度の扱いというか、完全にBCフォロワーという位置づけでしたが。

このCDは、色別に10枚連続リリースされた12インチシングルから10曲を選りすぐったコンピレーション。
淡々としたスキマのある地味なリズムとグルーヴィーなベースラインが非常に気持ちよく、いくらでも聴ける感じです。
後にリッチー・ホウティンがこのアイディアをパクって、"コンセプト1" シリーズをスタートさせます(12インチの連続リリース、最後にコンピCDという形態も同じ)。

Thomas Brinkmann - Studio 1 Variationen (Profan/1997)

こちらは、トーマス・ブリンクマンが手がけたスタディオ・アインの "ヴァリエーション"。
ウソか本当か、自作の2本アームのターンテーブル(つまり1枚のレコードの2カ所から同時に音が出る)を使っているらしいです。

スタディオ・アイン・シリーズの淡々とした感じにスモーカー分が加わった感じ。
かなりダビーでこれまた気持ちいいです。

ちなみに前述したリッチー・ホウティンの "コンセプト1" シリーズですが、同じくトーマス・ブリンクマンによる "ヴァリエーション" をCDアルバムとしてリリースしています。
よっぽどスタディオ・アインに影響を受けたのでしょうな。
負けじとウォルフガング・フォイト、今度は全51枚の7インチ・シリーズ、"クラウゼル"(別名:週刊マイク・インク)を開始させました。
ひょっとして負けず嫌い?

Love Inc. (Wolfgang Voigt) [minimal house] 

Love Inc. - Life's A Gas (Force Inc./1995)

今年●KOMPAKTから出たニューアルバム。

・・・とウソ書いても、初めて聴く人はおそらく信じてしまうであろう。
何がすごいって、9年前にこんなミニマルハウス作ったマイク・インク = ウォルフガング・フォイトは天才ですよ。
ケルンの表番長、さすがです。

ジャーマントランス・ブームの終焉とシカゴハウス・リヴァイヴァルに上手いこと乗っかってヒットした、ラヴ・インク名義の「R.E.S.P.E.C.T.」と「New Jack City」に続いてリリースされたのが同名義のこのアルバムですが、シングルで見せたゴツゴツした感じは控えめに、緩やかなトラックが多く、当時はそんなに評価されなかったような気がします。
しかしいま聴くと、ここからケルンのテクノ/ハウス・シーンが始まったことがよくわかります。
歴史に隠れた重要作ですな。

アルバムのラストを飾るタイトル曲「Life's A Gas」は、人生の終わりを感じさせる、何とも言えない気持ちにさせられる長編アンビエント。
圧倒されます。

Profan [techno/click house] 

VA - Kompakt 1 (Profan/1996)

マイク・インク = ウォルフガング・フォイト主宰のレーベル "プロファン" 唯一のコンピレーションCD。
このレーベルがクリックハウスのルーツであることは間違いないと思われます。

当時、とれまレコードのバースデイパーティーで来阪したマイク・インクのエレクトロニックな音色の妙技と、チャカポコしたグルーヴのライヴにすっかりやられてしまい、次の日早速このCDを買いにCISCOまで走ったのを覚えています。

全13曲ハズレなしですが、中でもM:I:5「Autogen」とSweet Reinhard「Stille H?nde」の2曲は最高!!
エッジの効いた電子音と跳ねたりジャストだったりするグルーヴで心も体も踊らせます。
(M:I:5はウォルフガング・フォイト、Sweet Reinhardはラインハルト・フォイトの変名な訳ですが。)

このレーベル、現在は●KOMPAKTのサブレーベルという扱いのようです。
2000年以降リリースがありませんが、もうやめてしまったのでしょうか。
Tracklisting >>