ソウル・フラワー・モノノケ・サミット - アジール・チンドン (Soul Flower/Respect/1995)

昔も今も大阪に住んでいる私にとって阪神淡路大震災の被害といったら、部屋に積み上げられていたCDの山とスピーカーが倒れたぐらいのもので、それでも地震直後しばらくは家族でひとつの部屋に集まってTVの地震情報を注視したものでした。その後私は2度寝したのですが、改めて朝起きて、TVに写る神戸の街の惨状を初めて見たときの、背筋の凍るような感覚は今も鮮明に覚えています。
そして、この時期になると必ず聴きたくなる…と言うよりも、自然と頭の中に流れる歌があります。
ソウル・フラワー・ユニオンの「満月の夕」。
被災地で歌うため、電気楽器に依存しているロックバンドの限界にさっさと見切りをつけ、アンプラグドな楽器に持ち替えた彼らの面白いところは、アコースティックギターなどではなく三線やチンドンを手にしたところ。
そんな彼らの被災地を巡る活動の中で、心の底から生まれた煮えたぎる情念を、美しくもドライな、客観的な視点に昇華させた名曲が「満月の夕」だと思うのです。
と、ここまで書いておきながら、実はこのアルバム『アジール・チンドン』には「満月の夕」は収録されていないのですが、元々ロックバンドだったソウル・フラワー・ユニオンの面々が、被災地をドサ回りする別動チンドン・ユニット“ソウル・フラワー・モノノケ・サミット”としての活動を通じて、まさに絶望の土地の中で鍛え上げられたニホンの民謡やはやり歌、労働歌などのレパートリーの中から、ノリが良くてコミカルな部分も感じさせつつ、圧倒的な説得力と強さを持って迫って来る珠玉の9曲が纏められています。
何より、このアルバムを聴くと元気が湧いて来る、そんな1枚。
(※ このエントリを書いてるのは17日の夜ですが、地震の発生した“5:46”でUPしておきます。)
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- [2006/01/17 05:46]
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