Last Front (最後前) - "Chaos" West/Urban Cowboy (Torema/1994) 

紹介が遅くなったけど、タロウさんのふぃーりん☆ナウでもKitsuneのオールカタログレビューがスタートして、いよいよじんわりと輪の広がってきた感のあるオールカタログレビュー、略してA.C.R.です。個人的にはハードテクノ/ハードミニマル方面からの参加も期待したいところですが、JeffのAxisとかPurpose Makerあたりなら全部そろえてる人も多いんじゃないかなあ?

● とれまレコード特集: TRM JPN 007 (1994)

Tracklist:
A1. Chaos West (Summertime Mix)
B1. Urban Cowboy (Original Mix)
B2. Chaos West (Dove Loves Dub Re-Construction)


とれま007番はLast Frontの3枚目、そしてLast Frontのラスト・シングルです。
前2作はフミヤ以外のメンバーの特徴も多いに感じられた作風だったのが、ここに来てフミヤ色の前面に出た、色気も素っ気もないほぼリズムトラックのみの「"Chaos" West」という曲をドロップ。当時の自らのパーティー名を掲げたその曲は、しかしLast Front名義の曲の中で最も鬼気迫るカッコイイものとなっているのは皮肉なところ。暗闇を猛進するかのような連打される力強いビートは、Poodle「Sunshine Club」のリミックスにも通じるものがありますね。曲の後ろで延々流れてる浮遊感ある気持ち悪いシンセが何とも不気味。唐突に波の音で終わり。
B1「Urban Cowboy」は以前のLast Frontに近い感じのシンセ使いで、後半から攻めて来るアシッドもの。B2の卓球によるリミックスは直線的で攻撃的なアシッド・トランスと、B面はアシッド・サイドな感じですね。時代です。

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Armani & Ghost's Three EPs from iTMS Japan 

しーちゃん(荒川静香選手)、金メダルおめでとう!!
しかし(にわか)フィギュア・ファンとしては、トリノ・オリンピック初のニホン人メダリストとかっていうのはまったくどうでも良くってよ。
それにしても、にわかファンの俺ですらこんな有様(?)だから、長野オリンピックの頃からしーちゃんを見続けてたウチの相方なんかはさぞ感慨深いものがあるのだろうなあ。今晩は久し振りにヴィーニョ・ヴェルデでも開けよう。

前回に続き、iTMS (iTunes Music Store) でヘンなものを見つけたのでさくっと購入。あのシカゴのRobert Armaniと、DJ Ghostというひとの共作シングル3枚。DJ Ghostはハードダンス系のひとみたいですね。
Armani、最近目立った動きないなあと思ってたら、ハードダンスに接近してやがりましたか。いや、全然アリだと思いますよ。90年代初頭、シカゴハウスからハードコア・レイヴにアプローチをかけてたArmaniが、現在のレイヴ・サウンドのひとつであるハードダンスに近づくのはもしかするとごく自然なことだったのかも。
音的にはハードコア・ミニマルとでも言うべき独特のサウンドを展開しており、アクが強いので好き嫌いはすっぱり別れそうですが、私みたいな好事家にはたまらないです。ゴリンゴリンのダークでハードなビートに、ミニマルにリフを刻むフーヴァーノイズ!

Armani & Ghost - Airport EP (Dee Vee/2005)

Tracklist:
01. Airport (Edit)
02. Airport (Original)
03. Airport (Gate 21 Remix)


試聴 (iTMS) >>

Armani & Ghost - Funk That (Dee Vee/2005)

Tracklist:
01. Funk That (Extended)
02. Funk That (Extended Instrumental)
03. Funk That (Radio Mix)
04. Funk That (Radio Mix Instrumental)
05. Funk That (Hit Extended Mix)
06. Funk That (Hit Radio Mix)
07. Funk That (Kick It)


試聴 (iTMS) >>

Armani & Ghost - My House/After School EP (Ghoststyle II/2005)

Tracklist:
01. My House (Original)
02. My House (Acapella)
03. My House (Bobby V and Rico's H-Dancemix)
04. After School
05. My House (Original Cut)


試聴 (iTMS) >>

Cracked - The U.S. Remixes EP (TSF/1996) 

緊急告知!
坂本龍一氏、高中正義氏、松武秀樹氏、椎名和夫氏が発起人となり、PSE法に対する電子署名が行われています。
電気用品安全法(PSE法)に対する署名 >>
PSE法については、こちらのサイト等をよくご覧の上、趣旨に賛同して頂ければ是非署名をお願いします。このまま行けば、今年の4月以降、ニホンの電子音楽が少なからぬ影響を受けることは必至だと思われます。

さて、ここんとこ忙しくて、アルバム1枚レビューする体力がありません(笑)。なので、こないだiTMSで見つけたブツ(シングル)を。
Crackedというジャーマン・トランス・ユニットの曲を、Joey BeltramとDamon Wildという2人のNYテクノ・プロデューサーがリミックスしたEP。元々のリリースは10年前で、リリース元のTSFというレーベルは、どうやらハンブルグのSuperstition系列のレーベルのようです。
Damon Wildは個人的に10年以上のファンなので、彼のミニマル・アシッドも捨て難いですが、ここはやはりBeltramでしょ。
ハードでパーカッシヴな、みんなが大好きな昔の荒々しいBeltram節に、アッパーなTB303がビヨビヨビヨビヨ…。ハッキリ言って、Beltram仕事の中でもかなり上位に入ると思います。『Trax Classix』(以前のレビュー >>)好きなひとは是非聴くべき! マジでカッコイイから!
当時はこんなトラック出てたのも知る由もなかったですが、曲単位で1曲150円で買えるのだから便利な世の中になったものだと改めて…。アルバム単位で3曲買っても450円デスYO!
追記 (2006-02-24 18:44)
Damon Wildのリミックス2ヴァージョンに耳障りなノイズが入ってんだけど、試聴ファイルにも入ってたからこれがデフォなんだろうな。いやー「Bang The Acid」を彷彿とさせる地味渋アシッドでカッコイイのに、もったいない…。私以外に買ったひと、居たらどうだったか教えて下さい。
試聴 (iTMS) >>
(オリジナル・ヴァージョンの試聴はこちら (iTMS) から)
Tracklisting >>

ARP-2600 (電子楽器) - Voices Of Planet/Trancer-2600 (Torema/1994) 

● とれまレコード特集: TRM JPN 006 (1994)

Tracklist:
A1. Voices Of Planet (Original Mix)
A2. Trancer-2600 (Original Mix)
B1. Voices Of Planet (Tanzmuzik Brazil Mix)
B2. Trancer-2600 (From Time To Time Re-Construction)


このARP-2600というユニットのメンバーは鈴木光人と西村善樹の2人だったんだけど、鈴木光人はこのシングルを最後にARP-2600を脱退。ちなみにこの鈴木光人は、後に電気グルーヴのエンジニア渡辺高士とOverrocketを結成する人っす(現在はOverrocketも脱退)。
Overrocketにも通じる清涼感のあるクリアーな音色が聴きやすいトランシー・アシッドの「Voices Of Planet」は、『とれまクラシック』にも収録。
「Trancer-2600」はディープ・アシッドで、こちらの方が実はドラッギー。ドロドロですわ。
で、だ。ヤヴァイのがTanzmuzikによる「Voices Of Planet (Tanzmuzik Brazil Mix)」! 凶悪で悪夢感むき出しの狂った破壊的なシンセ・ノイズが脳みそをぐちゃんぐちゃんに潰してまわるような、そんなトラック(って、これじゃ全然わからんがな)。個人的に、Tanz仕事の中ではベスト。
最後の「Trancer-2600 (From Time To Time Re-Construction)」は、TransonicやDub Restaurantのコンピに参加し、Subvoiceの001番として12インチをリリースしたFrom Time To Timeによるむちゃくちゃ抜けのいい音質のアシッド・トランス。その正体はまりんこと砂原良徳とジュン・タナカという人の2人組! From Time To Timeは自身のレーベルからアルバムもリリースしていて、中古でもたまに見かけるから、ノーマークだった人は買ってみては? (いつかレヴューします。)

このEP、改めて聴くと全編アシッドでしたな。それにしてもだ、ARP-2600=“電子楽器”って、もう投げやりにしか思えないよ…。

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Poodle (愛玩犬) - Sunshine Club/Crush Balloon -Remix- (Torema/1994) 

lapinさんのecritsでも、Thomas Bangalterのレーベル“Roule”のオールカタログ・レヴューが始まってます。Rouleというとフレンチ・ディスコな認識しかなかったのですが、試聴させてもらうと、実はテクノ寄りでカッコイイ曲がたくさん出てたんですね! これは12インチ探さないと…。コンピCDとか出ないのかなあ。
ちょっとずつ広がるオールカタログ・レヴューの輪、吾こそはと思うあなたも参加してみませんか?(笑)

● とれまレコード特集: TRM JPN 005 (1994)

Tracklist:
A. Sunshine Club (Chaos Mix) Remix and Additional Production by Last Front
B1. Crush Balloon (Dove Loves Dub Re-Construction) Remix and Additional Production by Dove Loves Dub
B2. Crush Balloon (ARP-2600 Trancid Mix) Remix and Additional Production by ARP-2600


で、とれま特集です。005番と006番は『とれまクラシック』とほぼ同時期のリリースだったと思う。ちなみに005番からカタログコードが“TRM JPN~”に変わりました。これは020番まで続きます。
それにしても、愛玩犬! プードルだから愛玩犬…。この頃野田努がしきりにネタにしてましたが、このセンスはサイテイですね、悪いけど。
Poodleは関西で活動してたダンスポップ・ユニットで、メンバーはヴォーカリストのArisaとLast Frontの井出保。「Crush Balloon」のオリジナル・ヴァージョンは『とれまクラシック』に収録されてたけど、Pizzicato Fiveみたいなポップ・ハウスでしたな。Poodleはこの他に自主制作っぽいカセット・シングルを持ってて、それは何故かテクノポップみたいな感じでした。

で、このシングルは「Sunshine Club」をLast Frontが、「Crush Balloon」をDove Loves Dubこと石野卓球と、とれま006番でデヴューしたARP-2600が、それぞれリミックスを手がけとります。
「Sunshine Club (Chaos Mix)」はLast Frontの特徴であるドリーミーなシンセと、おそらくフミヤ仕事と思われる硬質なキックとハットの連打!連打!連打! 深夜のClub Rocketsでみんなが両手を上げてギャーッ!!ってなってる風景が思い出されます。
「Crush Balloon (Dove Loves Dub Re-Construction)」はArisaのヴォーカルの一部分をミニマルに繰り返しながら、重量級の脱4つ打ちビートが打ち鳴らされる地味渋トラック。
「Crush Balloon (ARP-2600 Trancid Mix)」はアシッド・トランス、と言うよりはトランシー・アシッド。ヴォーカルをいちばんマトモに残してるのがこのリミックスでした。次回はこのARP-2600について。

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Dublee - Deviation EP (Epsilonlab/2005-12-09) 

大ちゃん(高橋大輔選手)は8位でしたか。
メダルは無理でも6位までには入ってくれるだろうと期待していたのでちと残念。まだ寝ぼけながら今朝の生放送を1回観ただけですが、あの世界一と評価された美しいステップも若干生彩を欠いていたように見受けられたのは気の所為だったでしょうか。まあでもオリンピック初出場で8位なら頑張った方ではないか、というのが吾家の意見です。
さて、次はいよいよ女子ですな。
(以上、フィギュアスケートよもやま話のコーナーでした。)

ネット・レーベルEpsilonlabからリリースされた、ラブリーなダブリー(笑)のEP。Dubleeと言えば先日2ndアルバム『Pseudo Harmonia』(以前のレヴュー >>)を紹介したばかりですが、いかにもネット・レーベル受けしそうなハウシー・ミニマルな作風だったのでネット・リリースしてないかと探してたところ、タイミング良くACOWOさんが紹介してくれました(ありがとうございます!)。
ポコポコした軽やかでキレイなシンセ音が心地良い「Twin」に、アーティスト名の通りダビーでベースラインがグルーヴィーな「Gallop」と、どのトラックもクリック/ミニマル好きには自信を持ってオススメ出来る一品です。
この若い才能は、今後間違いなくシーンの中心に躍り出ると確信しています!

ダウンロード・ページ >>
Tracklisting >>

VA - Electronic Planet Vol.1: Torema Classics (Torema/TDK!/1994) 

● とれまレコード特集: TDCD-1036 (1994)

Tracklist:
01. Last Front - Joker
02. Hazel - Exotribe
03. Tanzmuzik - Daen
04. "Peg" Hitoshi - Old Memories
05. Total Decay - Dimension
06. Poodle - Crush Balloon
07. ARP-2600 - Voices Of Planet
08. Efectahead - Late Pack
09. Last Front - "Chaos" West (Summertime Mix)


たった半年ちょっとの期間にたった4枚の12インチ・シングルを出しただけの大阪のいちインディー・レーベルのコンピレーションをメジャー・カンパニーがリリースするなんて、当時はやっぱりみんな狂ってたんじゃないだろうか。もうすぐテクノがクる、ニホンのカルチャーが変わる、と本気で信じてたヤツらと、それを商売にしようとしたたかに狙いを定めてたヤツらの、シナジーによる熱病。今から振り返るとそんな時代だったような気がする。
93年から94年にかけてはニホン発のテクノ・レーベルが雨後のタケノコの如く生まれた時期で、今現在も残ってるレーベルもあればなくなっちゃったレーベルも多いけど、この時期に立ち上げられたレーベルを順不同でざっと挙げると、元TriggerのTransonic、大阪のとれま、福岡のSyzygy、東京のFrogman、Yellowを母体としたEast Edge、DJ YamaのSublime、佐久間英夫のSubvoice、MoodmanのDub Restaurant…(他にもあったと思うけど)、とまあ、そんな時代だったと。

94年7月にリリースされたこの『とれまクラシック』と題されたコンピレーション、当時聴いたときはなんか期待と違ってイマイチだったんですけど、今回久しぶりに聴いてみてもやっぱりイマイチでした、悪いけど。何か中途半端というか寄せ集めというか、それぞれのシングルで、あれ程クラブ・ミュージックとしてのこだわりと革新性を求めていたレーベルのはずなのに、そういった匂いが全くと言っていい程感じられないんです。
まあtrk 01とtrk 09はそれぞれとれま002番と007番で、trk 07は006番、trk 06は005番のオリジナルなんだけど、その他の曲はどうもこうも、Last Frontの宮城健人(そう言えばこのひとも元シークレット・ゴールドフィッシュでした)によるHazelの曲も、Tanzmuzikのトラックでさえも…。
ただ、007番として後日リリースされたtrk 09をCDで聴くためだけに、中古で適価なら買ってみても良いと思います。この「"Chaos" West」という曲は、Last Frontとしての最高傑作だから。

(ジャケ画像はDiscogから拝借)

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Los Hermanos/Electrofunk/Galaxy 2 Galaxy - Submerge Live In Japan (Submerge/2006) 

2005年2月13日、恵比寿リキッドルーム。そう、ちょうど1年前、伝説は現実となって顕現した。
Los Hermanos、Mr.De'率いるElectrofunk Band、そしてURのテック・フュージョン・バンドとしてのGalaxy 2 Galaxy…。この3組のSubmerge軍団のライヴ・セッションが選り抜きで収録されたのがこの『Submerge Live In Japan』である。
このアルバムは、Los HermanosとGalaxy 2 Galaxyの持つ豊潤な音楽性とプレイヤーとしての高度な技術を余すことなく味わい、感じ取ることの出来る至極の瞬間が熱い歓声と共に真空パックされており、伝説の一部分をヴァーチャルで体感出来る誠にありがたい1枚。世のテクノ・ファン、ブラックミュージック・ファンは必聴!

…と、固い前置きはコレくらいで、私はあえて今回、Electrofunk Band featuring Mr.De'に注目したいと思います。
未だにたまに勘違いされることがあるみたいなんだけど、Mad MikeはURのボスであると同時にSubmergeの副社長であるわけなんだけど、実はSubmergeの社長はElectrofunkレーベルのボスでもあるMr.De'そのひとなのです。なので、この『Submerge Live In Japan』と題されたCDにもElectrofunk Bandは収録されて当然の立場、と言うか、彼がいなければ今のSubmergeのビジネス的な飛躍はありえなかったし、もっと言えばURのセルアウトも彼の仕組んだことなのではなかったかとつい邪推してしまったり…。
まあそれは蛇足として、このライヴでは、元々ゲットーベースのレーベルだったElectrofunkからのクラシックが、ユルめのアレンジとツインMCで演奏されていて、これがデトロイトの根の部分を現している、どファンキー・サウンド。期待度低かっただけに(笑)よけいにカッケー! ここで盛り上がってるクラウドはよくわかってると思う。

まあでも、やはり圧巻だったのはGalaxy 2 Galaxyだったんだけど、ともかく「Hi-tech Jazz」に尽きる。あのコズミックなシーケンスが入った瞬間鳥肌が立ったし、藤原大輔のサックスがあのフレーズを吐き出した瞬間涙が出た。歓声が爆発したのも当然で、あの場に居合わせたひとたちが心底うらやましくてなりません。
これは確かに伝説であり、CDからとは言え、その瞬間を少しでも聴くことが出来ることを幸せに思わなければならない。

以前のレヴュー: Galaxy 2 Galaxy - A Hi-Tech Jazz Compilation>>
以前のレヴュー: Los Hermanos - On Another Level >>

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Tanz Muzik (踊音) - Muzikanova/Pique-A (Torema/1994) 

Richie Hawtin目当てにハードディスク・レコーダーに録画してたトリノ・オリンピックの開会式を観ましたが、アシーッドな「Substance Abuse」が鳴り響いてたあたりがそうだったのかな? 期待して観てたので、正直「これだけ?」という感じでした。

● とれまレコード特集: TR JPN 004 (1994)

Tracklist:
A1. Muzikanova (Original Mix)
A2. Pique-A (Original Mix)
B1. Muzikanova (Paradubs Mix) Remix by Last Front
B2. Pique-A (Mangahead Re-Construction) Remix, Additional Production by Y.Sunahara


Tanz Muzikは京都の山本アキヲと佐脇オキヒデによるプロジェクト(アキヲは元シークレット・ゴールドフィッシュ!)。個人的にTanzと言えばとれまというイメージがものすごく強かったんだけど、実はとれまからのオリジナル作品はこのシングル1枚だけなんだな。
「Muzikanova」のトライバル・トランスは、後に故Casper Poundをも魅了したほどのダンスチューン。そして「Pique-A」はメランコリックな長編ハード・エレクトロ。Tanzのエレクトロはほんっとにカッコイイです。大好き。
B面にはLast FrontとMangaheadによるそれぞれの曲のリミックスを収録。Last Frontのは原曲のトランシーなフレーズを残しながらも、フミヤ色の強いミニマル節(当時まだミニマルというタームは一般的ではなかったですが)。一方Mangaheadは、今回はまりんのソロ・ワーク。エレクトロニックな芸風の時代のまりんが作るブリープ・アシッドは最高! オリジナルはエレクトロだったのが、切迫感ある4つ打ちハード・トランスに作り変えられていて、これが全く持ってスバラシイ。

それにしてもTanz Muzik=“踊音”って…。ヒネりなさい!ヒネりなさい!(笑)

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Dove Loves Dub (優愛再) - Tokyo Tone/0990 (Torema/1994) 

● とれまレコード特集: TR JPN 003 (1994)

Tracklist:
A. Tokyo Tone (Original Mix)
B1. Tokyo Tone (Toner Mix) Remix by Tanz Muzik
B2. 0990 (3rd Movement)


とれまの003番、“優愛再”ことDove Loves Dubは、知ってる人にはどうってことない情報なんだけど石野卓球の変名。当時Mangaheadについてはラジオや雑誌でも明かされてたけど、このDove Loves Dubについては結構ひた隠しにされてた印象があります。
ところで002番からしばらく、ジャケットに貼られたステッカーにそれぞれのユニット名の漢字表記が併記されるようになったんだけど、これが微妙に間違ってる臭くて笑えます。前述した通りDove Loves Dubは“優愛再”で、Last Frontは“最後前”(笑)。これは008番まで続きますのでお楽しみに!

A面「Tokyo Tone」はブレイクビーツ・テクノ。と言ってもジャングルっぽいのじゃなくて、ハウス・テンポの4つ打ちにブレイクビーツが乗っかってるもの。それにピコピコ系のシンセがHapp"E"系。当時は実はあんまり好きじゃなかったこの曲(と言うのも、やっぱりこの頃卓球には電気グルーヴの「新幹線」みたいなアシッド・トランスを期待してたんですよね)、今回久しぶりに聴いてみたらすごいツボ。ちなみにこのトラックは卓球のソロ1stアルバム『Dove Loves Dub』(以前のレヴュー >>)で「TKO Tone」というタイトルでリメイクされてます。
B1「Tokyo Tone」のTanz Muzikリミックスは、深海に沈み込むかのようなハード・エレクトロ。ってそれじゃDrexciyaじゃん。時報のようなピコピコ系シンセのおかげでDrexciyaと違ってカラフル。でも悪夢系だわな。Tanz Muzikについての説明はまた次回に。
B2「0990」は卓球のダブ趣味全開。電気のアルバムには1曲必ずダブの曲を入れると言ってた頃の卓球らしい作品。

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Last Front (最後前) - Joker/Dream Punk (Torema/1994) 

● とれまレコード特集: TR JPN 002 (1994)

Tracklist:
A. Joker (Original Mix)
B1. Dream Punk (Original Mix)
B2. Joker (Mangahead Re-Construction) Remix, Additional Production by TackQ Ishino


とれまの002番です。カタログ・ナンバーも“TR JPN ~”になりました。そういえば前回書き損ねたんやけど、001番のカタログ・ナンバーの“PT”って何の略だったんだろ。
で、002番はLast Frontの2nd EPで、Last Frontは今作から田中フミヤと井出保に宮城健人を加えた3人組になりました。リリースは94年の、確か春先くらいだったような記憶が…。
この002番は次回以降に紹介する003番と004番の3枚同時リリースで、私は当時心斎橋のBig Step2FにあったWAVEで、店舗の床に無造作に置かれた段ボール箱に入ってるのを見つけて購入。あっ、確か同じ箱にSubvoiceの001番From Time To Timeも1枚だけ入ってて、その4枚をレジに持ってったんだった!
002番からしばらくは、レーベル面なんかに“In Association With Frogman Records”の文字が。Frogman Recordsは93年12月に立ち上がったばかりで、Frogmanにもやはり野田努が関わってたし、レーベル立ち上げのパーティーのゲストが田中フミヤだったりして(これがフミヤ初の東京でのDJ!)、お互い協力関係にあったんだよな。FrogmanにはUKディストリビューションの人脈もあったし。
あと、この頃とれまレコードの事務所(?)は、ニホンのリジュボア(リスボン)こと大阪の天王寺にあったみたいです。

「Joker」、「Dream Punk」ともにプログレッシヴ・ハウスっぽいリフが入ってるのが時代を感じさせるものの、ミニマルな構成はいかにもDJが作りましたって感じで、フミヤは昔から一貫してたんだなあ。
「Joker (Mangahead Re-Construction)」はMangahead名義なんだけど、やはり卓球のソロ・ワーク。オケショットみたいなリフがこちらも時代を感じさせるものの、ジャーマン・トランス系の浮遊感あるシンセとアシッドっぽいブリープ・シンセの組み合わせがカッコイイです。唐突に仮面ライダーか何かの歌のサンプリングで終わり(ゴメン、何の歌か知らない)。
追記 (2006-02-10 20:00)
《 > ∥ ● 》のやみなべさんが、この歌は昔の特撮ドラマ『ロボット刑事』の主題歌だと教えてくれました。ありがとうございました!
私は『ロボット刑事』自体知らなかったんだけど、キカイダーみたいなもんかな…?
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Adam Beyer - Fabric 22 (Fabric/2005) 

先月からSouthern Fried特集をされていたmats3003さんに続いて(?)、この度shooterさんもLoopa特集を始められたみたいです。Loopaは自分も追っかけてた時期があるのでついつい期待しちゃいます。頑張って下さい。
でも、私のとれま特集は今回早速お休みです。もし待ってた方おられましたらスイマセン…。

あのスウェーデンのズンドコ・ハードテクノ・トラッカーAdam Beyerまでもがクリック/ミニマルに転向したと言う、ある意味話題作なミックスCD『Fabric 22』、あまり期待せずに聴きました。
最近、かつてのハードテクノ/ハードミニマル系のDJがこぞってクリックに流れているのはよく言われていることですが、特にBeyerはマチュさんから“尻軽”の称号を授けられるほど。
かつてバームンガムのRegisが「Speak To Me」というたった2小節の極端なハードミニマルでテクノシーンに衝撃を与えた頃「次のシングルはRegisスタイルなんだ。」と実にあっけらかんと語ったり、デトロイト・リ=リヴァイヴァルが起こればデトロイティッシュな新レーベルを立ち上げたりと、実に期を見るにつけ敏な節操のない御仁です。

さて、先ず声を大にして言いたいんやけど、これはクリックではないです!
て言うか、俺はこれをクリックとは呼びたくない。
確かにカキコキピキパキしたクリック系の音色が多用されてはいるものの、低域の鳴りはハードテクノそのものの轟音っぷりで、これは言うなれば“クリックっぽい音色を取り入れたハウスのテンポのハードテクノ”でしかない。
とは言え、この手の組み合わせって実は今までなかったものかも知れないし、昨年Plus 8から出した自身の12インチ『A Walking Contradiction』もそんな感じの芸風だったし、だいたいこのミックスCDの終盤戦のノリの良さなんてさすが、なかなか簡単に出せるものではない、そんな風に感じました。

試聴 >>
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Last Front - Green Tower (Torema/1993) 

● とれまレコード特集: PT 001 (1993)

Tracklist:
A. Green Tower (Original Paradise Mix) mixed by Fumiya Tanaka
B1. Green Tower (Ninjahead Mix) remixed by TaQ Ishino
B2. Green Tower (Hazel Deep Mix) remixed by Takehiko Miyagi


1993年のとれま設立に関わったのは田中文也のほか、Last Frontのメンバー井出保と宮城健人、ライターの野田努、そして電気グルーヴの石野卓球とされており、レコーディングからプレス費用まですべて田中文也が借金して捻出したというとれまの記念すべき1st EP『Green Tower』は、93年11月にリリース。
500枚という希少プレス数と石野卓球がリミックスで参加しているのとで、店頭に並んでから1週間で売り切れたらしいが、国内のプレス工場に持ち込んだため出来上がりまでに数カ月かかった上、500枚全て売り切っても赤字という、それがとれまのスタートであった。
しかもレーベル面、裏表逆に貼られてるし…。

この田中文也と井出保のユニットLast Frontの「Green Tower (Original Paradise Mix)」、音楽的には今聴くと、アシッドが少々入ったプログレッシヴ・ハウスで、当時フミヤはとれまを“テクノ”にはこだわらない“ダンス”レーベルにしたいと言っていたことを思い出した。
B1でリミックスを担当しているNinjaheadというのは石野卓球と砂原良徳によるユニットなんだけど(つまり当時の電気グルーヴからピエール瀧を引いたもの)、ここでは卓球1人によるプロダクション。オリジナルのトリッピーな部分を抽出したかのようなアシッドなトラックとなっている。フミヤファンの私がひいき目に見ても、オリジナルよりカッコイイのは確か。
B2は、後にLast Frontに加入することになるHazelこと宮城健人による、ブリープからギターサウンドに変化する謎のリミックス。

この12インチ、前述したように500枚しかプレスされておらず、わざわざ書かなくてもわかるだろうけどレアです。私はぎりぎりリアルタイムでなかったため、後にン万円出して中古で手に入れましたけど、今でも探してる人は多いんじゃないかなあ。よって自慢レコードです。

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【INDEX】 とれまレコード特集 

先日予告し(てしまっ)た通り、今日からちょっとづつ、私の思い入れ強い某レーベルのオールカタログ・レヴューをやって行きます。
そのレーベルの名は“とれまレコード”。
ご存知番長の異名を取る、DJの田中フミヤ率いる、1993年設立のテクノ/ダンス・レーベルであります。

ルールとしては、今回取り上げるのは“とれま”のカタログのみ。他レーベルからのフミヤ作品やミックスCDなどは省きます。ただし94年にメジャーから出たとれまのコンピCDは含みます。また、サブレーベル“Untitled”のカタログも今回は除外します。
ジャケ/レーベル写真は、基本的に自分でスキャンもしくはデジカメ撮影したものを使います、めんどくさいけど。よそから借りて来たときは、その旨明記するつもりです。
なお、取り上げるのは年代順で以下の通り。
それではよろしくお願いします。


とれまレコード Discography

PT 001: Last Front - Green Tower
TR JPN 002: Last Front - Joker/Dream Punk
TR JPN 003: Dove Loves Dub - Tokyo Tone/0990
TR JPN 004: Tanz Muzik - Muzikanova/Pique-A
TDCD-1036: VA - Electronic Planet Vol.1: Torema Classics
TRM JPN 005: Poodle - Sunshine Club/Crush Balloon -Remix-
TRM JPN 006: ARP-2600 - Voices Of Planet/Trancer-2600
TRM JPN 007: Last Front - "Chaos" West/Urban Cowboy
TRM JPN 008: Dove Loves Dub - Reiko/Tomoko/Three Synthesizers
TRM JPN 009: Hitian Twin - Jajuvka
TRM JPN 010: Akio Milan Paak - Fakir/Big Bird/Tarqui
TRM JPN 011: Fumiya Tanaka - Jack Knife/Billy/Middle Knife/Animal Attack
TRM JPN 012: Fumiya Tanaka - Micro EP
TRM JPN 013: Speaker - Speaker
TRM JPN 014: Mickiee - Mickiee House
TRM JPN 015: Akio Milan Paak - Lamborghini EP
TRM JPN 016: Karafuto - Karafuto/Funk Taxi/Funky Squad
TRM JPN 017: Speaker - Vein/Mine
TRM JPN 018: Fumiya Tanaka - Time EP
TRM JPN 019: Akio Milan Paak - Gulcia EP
TRM JPN 020: Fumiya Tanaka - Midnight EP
TRM LP 001: Fumiya Tanaka - Unknown Possibility Vol.1
TRM 021: Fumiya Tanaka - Move EP
TRM 022: Fumiya Tanaka - Player EP
TRM LP 002: Fumiya Tanaka - Unknown Possibility Vol.2
TRM 023: Fumiya Tanaka - Floor.People.Tension.EP
TRM CD 001: Fumiya Tanaka - DJ Mix 1/2 [Mixed.Sound.Space]
TRM 024: Fumiya Tanaka - Unknown Possibility Vol.3-1

2006-08-26 12:20 追記:
TRM 025: Fumiya Tanaka - Unknown Possibility Vol.3-2
TRM 026: Karafuto and Yoshiki - Patch Works EP 1

とれまレコード特集完結(2006/10/18)以降(順次追記します):
TRM 027: VA - FC Chaos EP 1
TRSCCD-01: Fumiya Tanaka - mur mur: conversation mix
TRSCDVD-01: Fumiya Tanaka - via
TRM028: Fumiya Tanaka ‎- Unknown Possibility Vol 3-3
TRMCD002: VA - 20th
TRM029: Fumiya Tanaka ‎- 20th

Mathias Schaffhäuser - Love & Business (Ware/2001) 

今日は節分でしたな。
昨年の節分のときに、ジャーマン・ミニマルハウスの佳作、Mathias Schaffhäuserの1st『Lido Hotel』を紹介したのですが、その時から、来年の節分にはMathias Schaffhäuserの2ndアルバムを紹介しようと心に決めていたのです(ウソです。今日思いつきました)。
そんなわけで、今日は1年越しの2nd『Love & Business』を紹介します。

前作は今は亡きForce IncのサブレーベルForcetracksから出てましたが、今作から自身のレーベルWareからのリリースとなります。
まあ、とりあえずは1曲目の「Hey Little Girl」でしょ。この曲はSven VäthのミックスCDにも収録されたりしましたけど、おセンチな男性ヴォーカルもので、ドスポスドスポスといった塩梅のメロディアスなミニマルハウス。
ほかにもクリック/ミニマルハウスを基調に、チルな曲調のものや、1stに引き続きRegina Janssen (from Donna Regina) が歌う曲もあったりなんかして、元々ポップ畑出身のひとだけあって、ミニマルながらもポップで聴きやすいのがミソといったところではないでしょうか。

さて、来年の節分にはMathias Schaffhäuserの3rdアルバム『From 4 To 6 AM』を紹介するのでお楽しみに!
とか言いながら、実は3rd以降のアルバムは持ってません。手っ取り早いのはKOMPAKT-MP3とかでカード決済で購入&DLだと思うんだけど…。

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Dublee - Pseudo Harmonia (Mule Electronic/2006) 

ドイツ●KOMPAKTディストリビューション傘下Mule MusiqのサブレーベルMule Electronicから、名古屋在住クリエイターDubleeの2ndアルバム。
ニホン流通盤のみ3ヵ月先行発売のうえ、Thomas Fehlmann翁によるリミックス収録、さらにタワレコで買うとライヴCD-Rまで付いてくるとあっては、そりゃあ買っちゃうでしょ! まあ私はこのアルバムでDubleeの音楽に初めて触れたんだけど、タワレコ店頭で試聴して即買いでしたわ。
角の丸いカラフルなウワものとしっかりめのビートがなんとも気持ちの良いクリック/ミニマル・ハウス。家聴きにはもちろん、フロアでも使えそうなところが良いですな。でもジャケットは逆にモノトーンな童話っぽい感じで、それも良い感じ。
さらに一緒に付いて来たライヴCD-Rは、アルバムよりもマッシヴなドライヴ感があって、これまた素晴らしい出来。

もうすぐKaitoの2ndも出るというヒロシワタナベもそうだけど、U.S.B.のMexico(過去レヴュー1st >> 2nd >>)とかHulot(未レヴュー)とか、ニホン人ってこのテの作風がやっぱりお得意なのかな。単純な西洋人は持ち合わせておらんであろう、わび、さび、もののあはれ、幽玄、なんていう叙情的な感覚が、海外でも評価される要因のひとつなのかも。

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Thomas Brinkmann - Rosa (Ernst/2000) 

ハイ、まだ生きてます(笑)。
昨日の追記なんだけど、タイミング的には、自民党及び公明党は、ライブドアを耐震強度偽装問題を世間から隠匿するために利用したんでしょうな。何せあのヅラの姉歯元一級建築士はじめヒューザーなど関わりのある企業は全て創価学会系だそうですから。職業柄、耐震強度偽装事件には無関心ではいられないんですが、みんなもっと、アメリカ政府からの圧力による1998年の建築基準法改定とそれを押し進めた売国的な政府を批判すべきじゃないのかなあ。
あ、マジで消されるかも、俺(←小心者)。

Hideさんの‥microbeat homepage‥Thomas Brinkmannの2000年のアルバム『Rosa』再発のニュースを見て、久し振りに引っぱり出して聴いてみました。
なので、今日取り上げるつもりだったDubleeの2ndはまた次回にでも。

いわゆる“クリック・ハウス”ってタームは、Mille Plateauxのコンピレーション『Clicks + Cuts』(2000) から生まれたとするのが定説ですが、それと同時期に、その名も『Klick』(2000) というアルバムを発表していたBrinkmannは、やはりクリック・ハウスのオリジネーターのひとりであることは間違いないでしょ。
で、このアルバムは、BrinkmannがErnstから出してた女性の名前をタイトルにした12インチのシリーズをコンパイルしたものなんですが、あれぇ~?、コレ、こんなにわかりやすい、聴きやすいアルバムだったっけかなぁ~。
まぁわかりやすいとは言っても、キャッチーなメロディーが乗ってるわけでもバキバキのハードなトラックってわけでもない、ディ~プなミニマル・テクノなんですが、思ってたよりもフロア・ユースな曲が多くて、かんなりグル~ヴィ~です。
特にアルバム後半戦はボトムもどっしりとしてきて、よっく聴くとヘンな音がピュンピュン行き交いながらも、ベースラインが地面を這いずる、無機質だけどもファンキーなハウシー・トラック満載で、これは今聴いても、と言うか今こそカッコイイんではないかな。
オリジネーターはやはりひと味違うという好例。再発した今の機会にぜひ。

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