VA - 2 (Elektro Music Department/2000) 

VA - 2
Label: Elektro Music Department (EMD CD02)
Format: CD
Released: 2000
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Elektro Music Departmentからもう1枚、2000年にリリースされたコンピレーションCDを紹介します。と言っても、Discogsで見たところ、曲を提供しているほとんどがKotaiガラミのユニットなんですが。
前回取り上げたKotai + Moのアルバム(過去レビュー >>)同様、意図的に情感を排除したかのように無機質で、コツコツと冷たいコンクリートを叩いているような楽曲が並ぶ。しかし、その中でもベースラインだけは、まるで地の奥底から絞り出される呪詛のようにビリビリと痺れる。
この後、一時期、Kotai/Elektro Music Departmentは何故かエレクトロディスコに接近するのですが(「Sucker DJ」がヒットしました)、今聴くとそのことを予感させていたとも思わせるディスコっぽいベースを使ったトラックなんかも収録されており、Kotai + Moのアルバムなんかと比べると比較的クラブミュージックの既存のフォーマットにも寄り添った(色目を使った?)作風をそこはかとなく感じたりもします。
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Kotai + Mo - Elektro Music Department (Elektro Music Department/1998) 

Kotai + Mo - Elektro Music Department
Label: Elektro Music Department (EMD CD01)
Format: CD
Released: 1998
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今夜はEllen Allienに行きたかったのですが、仕事で遅くなったのでやんぴ。長らくクラブ遊びもしておりません。

ベルリン地下テクノと聞いて思いつくのがこのレーベル、Elektro Music Department。
KotaiことKlaus Kotaiにより1995年にリリースが開始されたこのレーベルは、おそらくまだディープ・ミニマルといった概念がなかった頃から、まさしくディープ・ミニマルとしか言いようのない、深海の奥底に沈み込んだ分厚いコンクリートの箱の中で打ち鳴らされているかのような、深く、くぐもった音響のミニマリスティックなエレクトロ/テクノを世に送り出している。レーベルのロゴやジャケット、ラベル等のミニマムなデザインはいかにもドイツ的。
ちなみに、現在ドイツを代表するミニマル/テックハウスのレーベルであるTraum Schallplatten等を主宰するTriple RことRiley Reinholdも、RRR名義でリリースの経歴がある。

Kotai + MoはKlaus KotaiとMo LoschelderによるElektro Music Departmentの看板ユニットで、本作は1998年のアルバム。
まったくフォーマット然としていなくて、どこにもおさまらない、おさまりドコロの悪さは今聴いても変わらない。ただ、これもリスニング仕様ではなく、あきらかにフロア仕様の音。フロアのサウンドシステムで聴いたらどんなことになるか、いちど体感してみたいもんです。
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VA - Cabinet Classics & Unreleased Classics 1994-2005 (Plus 8/2006) 

VA - Cabinet Classics & Unreleased Classics 1994-2005
Label: Plus 8 Records Ltd. (plus8091cd)
Format: CD×2
Released: 2006
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blogの引越しツールっておそらく各社取り揃えられてると思うのですが、mixi日記から移行できるFC2のツールが発表されたのは1週間前。mixiの規約改定問題もあり、これは正に期を見るにつけ敏な対応だと思った今日この頃。

2006年にJohn AcquavivaとRichie HawtinのPlus 8からリリースされた、ベルリン地下テクノのレーベルCabinet Recordsのコンピレーション。CabinetはRichie HawtinがDJ時に永年愛用しているという、90年代から活動している(していた?)アンダーグラウンドなレーベルだそうです。僕はその存在自体知りませんでしたが、先日中古屋で見つけて、Plus 8からだということと、Todd Bodine(過去記事 >>)のトラックが1曲入ってるってことで購入。
CD1の#09、Compass 3「Messinger」は、Richie Hawtin『DE9: Transitions』(過去レビュー >>)に収録。また、#02のCab Drivers「Elwico」は、田中フミヤ『mur mur: conversation mix』(過去レビュー >>)にも収録。
音数少なめで、音の粒子も若干粗めの、モノトーンなミニマルハウスというのがその基本的な音楽性ですが、低音、特にキックの音圧が半端じゃない。おそらく、フロア強度は抜群だと思われる。古い曲は今から14年前のものも含まれるようだが、まったく古びてなくてびびる。いや、むしろ昨今のミニマル全盛のテクノシーンにおいてこそ、その存在意義を発揮するかも知れん。90年代半ばにこんな先鋭的な音楽を出していたレーベルがあったなんて、ノーチェックでした。Mike InkのProfan(過去記事 >>)とかと同時期!
ちなみにCD2にはアシッドハウスものが3曲も入っており(#01、05、08)、そのことも個人的に好感度大です。
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VA - Expansion | Contraction (m_nus/2007) 

VA - Expansion | Contraction
Label: m_nus (MINUS 58 CD)
Format: CD/MP3
Released: 2007
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世界選手権の男子FSは地上波でも生放送だったので、"でぃーぷこりあん会"(これについては後日相方のblogを参照 4/9リンク追加)から帰宅後、ビール~マッコルリ~チャミスル~赤ワインのおかげの頭痛とともにTV観戦。高橋大輔が表彰台を逃したのは残念だったけど、ジェフリー・バトルが優勝したのにはもっと驚いた。でも心情的にはジュベールが優勝するよりもカタルシスがあったし、良かったんじゃないでしょうか。

同じく昨年リリースされた、m_nusの7曲入りコンピレーションCD。前作『Nothing Much』(過去レビュー >>)がレーベルの活動の総括的な意味合いが強い作品だとすれば、今作はレーベルの現在進行形の姿を映し出した作品だと言えそう。実際、タイトルからは、過去のレーベルコンピ『Minimize To Maximize』(過去レビュー >>)や『min2MAX』(過去レビュー >>)と同じコンセプトを踏襲した連作の最新作であることが想像に難くない。
このコンピでいちばん光ってるのはやはりDubfireですな。SEとエフェクトで展開を作って徐々に上げていく長尺のプログレッシヴ・ミニマル。そのほかも地を這うようなドープなミニマルで抜きん出たトラックばかりなんですが、そうかなるほど、m_nusの音楽って、つまるところアシッドハウスの進化形なんですね。もともとRichie Hawtinが90年代初めのアシッドリヴァイヴァル期に出て来たひとなので当たり前と言えば当たり前なんですが、トラックの構造やドラッギーな効果やなんかにやはりアシッドハウスの系譜を感じる。まぁm_nusのミニマルはアシッドハウスからはかなり遠くまで来た音楽ではあるけれど、そう思って聞くと得心できる箇所も多々あります。
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VA - Nothing Much (m_nus/2007) 

VA - Nothing Much
Label: m_nus (MINJPCD001)
Format: CD×2/MP3
Released: 2007
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世界選手権、浅田真央が世界女王! 高橋大輔も今年は優勝を狙える位置にいるので、史上初の男女優勝もあり得るかも!?

Richie Hawtinのm_nus10周年を前にして(今年2008年が10周年)ニホンのファンのために編まれたというコンピレーション(その後収録曲を若干差し替えてヨーロッパ・リリースもされましたが)。何度かこのblogでも書いているように、個人的にはRichie Hawtinがミニマルのオリジネーターだとは認めてはいないのですが、それでもこの10年、m_nusがミニマル・シーンの一翼を担い、育て、そして牽引してきたのはまぎれもない事実だと思います。
CD1は、Richie Hawtin/m_nusお得意のディープミニマル中心の選曲にあって、やはりニューウェーブ/エレクトロディスコ色の強い「Minus Orange」が目立つ。僕も含め、テクノファンならたいてい思い入れのあるトラックだとは思うのでクるものはあるんだけど、さすがにちょっと古さも感じるので、僕としては比較的最近の作品であるLoco Dice「Seeing Through Shadows」あたりが気持ち良く聴ける。前回紹介したCadenzaのコンピレーションには何故か1曲も入ってなかったRicardo Villalobos絡みのトラックも2曲収録。アブストラクトです。
CD2はTroy Pierceの手によるm_nus音源を使用したDJミックスで、こちらはヨーロッパ盤と同内容のドープ・ミニマル。ズブズブ・・・。
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【ワイン】 Casa de la Ermita 2003 

フィギュアスケートの世界選手権が始まってますが、女子ショート、荒れましたね~。浅田真央は今年は優勝しても全然おかしくないと思う。中野友加里にもこのまま表彰台をキープしてほしいところです。

昨年のいつだったか、友人夫婦と梅田のスペインバル風のワインバーで飲んで美味しかったスペイン・ワイン、カサ・デ・ラ・エルミータ(今回飲んだのは、後日その友人から頂いたものです)。
以前ワインに詳しい方とお話をしている際、当方の "ヴィーニョヴェルデと餃子が合う" という主張に対し、"赤ワインとかつおのたたきが合う" と教えて頂いたのを思い出して、試してみました。
このカサ・デ・ラ・エルミータのオーク樽からと思われるスモーキーな香りと、かつおのたたきのスモーキーな香りがマッチしていて、なかなか旨かったです。

VA - Cadenza Contemporary 01 & Classics (Cadenza/2007) 

VA - Cadenza Contemporary 01 & Classics
Label: Cadenza (CADCD02)
Format: CD×2/MP3
Released: 2007
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ひとくちにミニマルと言っても、その中にはエレクトロハウス寄りのミニマル、テックハウス寄りのミニマル、プログレッシブハウス寄りのミニマル(いま人気あるのはこれかな)、それからクリックハウス、ディープミニマル、ダブ・ミニマル、あとディープハウス寄りのミニマルなど、普段この手の音楽を聴かないひとからするとほとんど違いのわからないながらも振れ幅は確かに存在するのですが、僕が個人的にミニマルのど真ん中だと思うのは、実はこのLuciano率いるCadenzaの音だったりします。
と言っても僕がCadenzaの作品で持ってるのは今のところVillalobosとLucianoとSchneider, Galluzzi, SchirmacherのEPだけなんですが、統一されたアートワーク同様、そのサウンドにも繊細でオーガニックな揺らぎが感じられます。しかし繊細とは言いながらも、腰の強い骨太のグルーヴを併せ持っており、フロア強度も申し分ない。
Luciano自身によるレーベル音源を使用したDJミックスのCD1も素晴らしいのですが、それよりもレーベル最初期の01番から06番のEPから1曲ずつ時系列に抜き出した6曲入りのCD2が恐るべき内容。これを聴いてしまうと、もうこれ以上の進化はミニマルには必要なかったんじゃないかと錯覚してしまうくらい最高水準の、珠玉の、珠玉としか言いようのないミニマル・トラックスが集められている。アッパーとダウナーの相互作用でバランス良過ぎ。聴いてると、脳内麻薬物質の血中濃度がぐんぐん上がる様が体感出来る。
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VA - Dead Man's Hand: Poker Flat Recordings Volume 6 (Poker Flat/2008) 

VA - Dead Man's Hand: Poker Flat Recordings Volume 6
Label: Poker Flat Recordings (PFRCD20)
Format: CD×2/MP3
Released: 2008
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昨夜の『ケータイ大喜利』はおもしろかったですね。ここ数回、ちょっと低調なまま続いていたので、久しぶりに痛快でした。ちなみに僕はまだ一度も読まれたことありません(たまに送ってます・笑)。

Steve Bug率いるPoker Flat Recordingsのレーベル・コンピレーション第6弾。Steve Bugはもはや言うまでもない、独テックハウス/ミニマルのベテランであり重要人物ですが、CD1はSteve Bug選曲による既発のトラック10曲、CD2はCléの手によるレーベル音源を使用したDJミックスとなっています。
ミニマルのディープハウス化という傾向についてはbigflagさんの記事で初めてその存在を知ったのですが(Moodmanのレビューが発端だそうで)、特にCD2のCléのミックスにはそういった流れを感じ取ることが出来る。例えばSteve Bugのミックスがクールで無機的なのに対し、このCléのミックスは、音色はエレクトロニックながらも、どこか有機的なテックハウス/ミニマル。この2つのミックスは、同じPoker Flatというレーベルをはさんだ表裏一体の関係にあるように思います。
ただ、ディープハウス寄りのミニマルなんて以前からあったと思うし、それが特別新しい流れだとかは僕には思えないんですけど、どうなんでしょうね。
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Triple R - Selection 6 (Trapez/2008) 

Triple R - Selection 6
Label: Trapez (Trapez CD9)
Format: CD/MP3
Released: 2008
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某外資系大型輸入盤店の懸賞でPioneerのカナルタイプのイヤホンが当たったので、とりあえずTechnicsのでかいモニター用ヘッドホンを持ち歩かなくてもよくなりました(参照記事 >>)。使ってみた感想は、ま、安物なのでもう少し音の分離が良ければなあとは思いますが。

ケルンでジャーマン・テックハウス/ミニマルのレーベルTraum Schallplatten、Trapez、My Best Friendを主宰する(うちのひとりである)Triple RことRiley Reinholdが、Trapezの音源を紹介するミックスCDシリーズがこの "Selection"。以前(5~6年前?)はTrapezも今よりアンダーグラウンドな存在だったので、レコ屋でこのシリーズを見たときはProfan/●KOMPAKTのパクリくらいにしかに似てるなあとしか思いませんでしたが。Trapezは彼らの3つのレーベルの中でも、機能的なダンストラックに特化したレーベルだという印象があります。ミニマムなデザインもかっこいい。
硬いリズムが跳ねつつ、感情を排したかのようなシンセのリフに追いかけられるような64分。最近はテクノ/ミニマルでも彩りのあるメロディーの情感的なものばかり聴いていたので、こういうソリッドでちょっとモノトーン気味な、しかしストイック過ぎないテクノ/ミニマルには心を鷲掴みにされてしまいます。ガツンと来た~!
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Sven Väth - Sven Väth In The Mix: The Sound Of The Eighth Season (Cocoon/2007) 

Sven Väth - Sven Väth In The Mix: The Sound Of The Eighth Season
Label: Cocoon Recordings (COR MIX 019)
Format: CD×2/MP3
Released: 2007
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Cocoon Recordingsというテクノ界の『笑っていいとも』的な(育てるとかはしないで、ちょっと遅れて売れてるタレントを根こそぎ持って行く)レーベルを主宰するSven Väthが定期的にリリースしているDJミックスCDシリーズ "Sven Väth In The Mix" もこれが8作目。近年のSvenのちょっとダサいという各所の扱いは、Eye Q/Harthouseを主宰していた当時、95年あたりのジャーマントランスが落ち目になってきた頃のSvenと重なるものがありますが(デジャヴ?)、今回のミックスも別に悪くはないです。
1枚目の聴きドコロは中盤J.T.C.「Take 'Em Off」~Steve Rachmad「Moog On Acid」のアシーッドな部分と、 終盤Worthy「Irst_te? (Claude VonStroke rmx)」以降の怒濤のブリープ・ミニマルの洪水。たまらんとです。
2枚目にはなんだか懐かしい名前を発見。René et Gastonって! Fresh Fruit Recordsですよ。DJ Zki & Dobre、Jark Prongo、Tomba Vira、そしてThe Good Men、どれも彼らの変名ですよ。「Meluche Ideale」は昨年リリースされたRené et Gastonとしては8年振りのシングルだそうで、相も変わらずの作風のダッチハウス。変わってなくて安心。
全体として情感あるシンセのメロディーが特徴のトラックが1曲1曲長めに使われており、ミックスそのものを聴かせると言うよりは、最新トラックの紹介といった内容。ジャーマントランスは昔取った杵柄だけあって、Svenの面目躍如たるところではないでしょうか。
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宮S (MBC/2007/韓国) 

『宮S(クン・エス)』は、現在の韓国に皇室が存続しているという設定のもと、普通の女子高生から皇太子妃となったチェギョンと皇太子シンの恋愛模様(縦軸)やら宮中の覇権争い(横軸)やらを描いたドラマ『宮(クン)』(過去レビュー >>)の続編・・・ではなく、現在の韓国に皇室が存続していたら、という設定のみ再利用したパラレルワールド的な別の物語。
今度の主人公は仁川(インチョン)の中華料理屋の出前持ち、フ。彼には本人も知らない出生の秘密があり、実は皇位継承第一位の皇太弟だったことから宮中に呼び戻されることとなる。その結果皇位継承第二位へと繰り下がってしまったフのはとこにあたるジュンと、その周りのおとなたちの宮中を舞台にした皇太弟資格争いが巻き起こる。これが今回の横軸。そしてフと、フの幼なじみでたまたま宮中の女官となっていたスニの恋愛関係にジュンも加えた三角関係。これが縦軸。
物語の構造、セット、衣装、音楽、脇役のキャスト、小道具と、様々な面で前作『宮』と意識的にオーバーラップさせるよう作られている。と言うのはこの『宮S』、『宮』の制作会社から独立した人間が新たに立ち上げた会社が、『宮』の制作会社に無断で作ったドラマなんですね。いかにも韓国らしい逸話ですが、本国韓国でのTV放送は裁判沙汰の真っ最中に放送されていたらしく(裁判はその後和解)、その影響もあったのかなかったのか、大ヒットした前作には遠く及ばない低視聴率で放送を終える結果となったようです。ドラマの出来自体も、各所の評判を僕が知る限りあまり芳しくない。
でもでも、こうしてDVDを観た結果、僕はすごい面白かったけどなあ。全20話、最後まで一気に観ることが出来た。特に宮中の権力闘争の模様を描く横軸部分は前作よりも良く出来ていたと思う。前作よりも話数が少ない分、必要なエピソードが必要な箇所にコンパクトに纏められていて無駄がない。結果、進行がテンポ良く感じる。確かに縦軸部分の描き込みは少しぬるい気はするけど、まあこれは許容範囲内でしょ。『宮』が面白かったひとには『宮S』もオススメです。
ところで、以前オリジナルの『宮』の続編の話も流れていたけど、あれはその後どーなったのでしょーか。

宮S~Secret Prince宮S~Secret Prince
(2007/11/02)
SE7EN.ホ・イジェ.カンドゥ.パク・シネ

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Gui Boratto - Addicted Vol.2 (Platipus/2007) 

Gui Boratto - Addicted Vol.2
Label: Platipus (PLATCD165)
Format: CD×2/MP3
Released: 2007
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●KOMPAKTからのアルバム『Chromophobia』(過去レビュー >>)で一躍テクノ/ミニマル・シーンの中心に躍り出たブラジルのGui BorattoによるDJミックス。リリース元のPlatipusはUKのレーベルで、90年代前半から活動しているジャーマントランス~サイケデリックトランスの老舗。Union Jackの「Two Full Moons And A Trout」というトラックが大ヒットしたことで古いテクノファンにはお馴染みのハズ。
アルバム『Chromophobia』はミニマル以降のビート感覚にトランスめいた情感ある世界を組み合わせた傑作でしたが、DJはどんな感じなんだろうと思って聴いてみたところ、これが期待を裏切らないディープ・トランス。艶やかなエレクトロニックな音色と彩りのあるメロディがじわりじわりと恍惚の世界に導いてくれるので、リスナーはただここに身を委ねるだけで良い。Robert Babicz、Minilogue、Daso、Radio Slave、Sascha Funke、SuperMayerといったエレクトロミニマル好きには馴染みのアーティスト達のトラックが並ぶ中、このミックスのいちばんの聴きドコロは、やはりGui Boratto「Hera」~The Field「Over The Ice」がメドレーになるCD2の終盤。このベタ過ぎる曲順は本人じゃないと許されないですよ。ここがピーク。最高に気持ちいい。
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The Field - Sound Of Light (Heartbeats International/2007) 

The Field - Sound Of Light
Label: Heartbeats International (HEART101)
Format: MP3
Released: 2007
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スウェーデンのAxel WillnerによるプロジェクトThe Fieldは、ドイツを代表する、否、現在のテクノ/ハウス・シーンを代表する(と言っても過言ではない)レーベルである●KOMPAKTより、昨年『From Here We Go Sublime』(過去レビュー >>)という傑作アルバムを発表して一躍シーンの寵児となった。もともとAxel Willnerは、2001年頃からPorte、Cordouan、Lars Blek等の名義で、ドイツのネットレーベルであるSubsourceや、スウェーデンのCD-R専門レーベルであるGarmonbozia Productionsなどから、その揺らめくオーロラのようなレイヤー掛かったサウンドを基調とするアンビエント作品を発表しており、4つ打ちのビートを取り入れたダンスミュージックに転向した後も、他のアーティストには見られないゆるやかなサウンドスケープで独自の世界を紡ぎ出している。
本EPにはスウェーデンのストックホルムにあるデザイン・ホテル "nordic Light hotel" のためにAxel Willnerが書き下ろした長尺(1曲およそ15分)の4曲が収録されていて(60分超)、コンセプトはその名の通り "光の音"。CD盤は300枚の限定リリースだったが、MP3等のファイルにより広く販売されている。
楽曲の基本はアルバム『From Here We Go Sublime』の収録曲と同様に、8拍もしくは16拍で交互に繰り返されるコードが最大の特徴である、清涼感ある幽玄なミニマル・トラックだが、裏打ちのベースラインがエレクトロディスコ調の#2「Day」など新機軸も見せている。その中でも、深夜のオーロラの凶暴なまでに唐突なゆらめきを見事に音に表した(かのような)#4「Night」が素晴らしい。
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Mick Wills - XII (Sweet Smelling Surfaces/2008) 

Mick Wills - XII
Label: Sweet Smelling Surfaces (sss055)
Format: MP3
Released: 2008
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フランスのネットレーベルSSS (Sweet Smelling Surfaces) の最新作は、Mick WillsによるDJミックス作品。Mick Willsについてはまったく知らなかったのですが、DJ HellのInternational Deejay Gigolo Recordsから数枚のEPをリリースしているドイツのひとだそうです。
80年代のオールドスクールなシカゴハウス、とりわけ、ハウスミュージックにRolandのドラムマシンTR-909が取り入れられる以前、エレクトロ・ヒップホップなんかに使用されていたのと同じRolandのTR-808というドラムマシンを使用していた時代の、エレクトロときわめて親和性の高いシカゴハウスがミックスされている。ゆえにラストはニューウェイヴィーなエレクトロディスコにつながっていく。
このあたりのサウンドはシカゴハウス好きの中でも好き嫌いが分かれるところで、かなりマニアックな部類に入ります。僕はと言えばこの手のサウンドも大好きで、音圧のあるTR-909の音も大好きだけど、このTR-808の味のあるボテボテとしたキックやちょっとチープなスココンと鳴るスネアの音に、なんとも言えない魅力を感じてしまうのです。
80年代に生まれたエレクトロ(ヒップホップ)とハウス(ディスコ)の接点。テクノの歴史を知るうえでも、いちどは聴いておきたい時代のサウンドです。
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Lucio Aquilina - Magic M (Cocoon/2007) 

Lucio Aquilina - Magic M
Label: Cocoon Recordings (COR 12 041)
Format: 12"/MP3
Released: 2007
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TrapezよりデビューしたAquilina & VenturiのLucio Aquilinaによる、もっかヒット中(?)のCocoonからのシングル(Cocoonはテクノ界の『笑っていいとも!』ですな)。先日紹介したM.A.N.D.Y.『Fabric 38』や、もうすぐ発売されるEllen Allien『BoogyBytes Vol.04』といったミックスCDにも収録。
#A「Magic M」は、ブリブリしたベースラインにフィルタリングかましたアシッドな浮遊感(ただし低空飛行)のある長いイントロから、コロコロした音色の幽玄なメロディーを奏で出すトリッピーなミニマル。#B「My Cube」も同じ系統のトラックだが、おとなしめのメロディーと丸いキックが気持ち良い。
若干あざとさを感じないでもないけど、好きにならずにはいられないエレクトロミニマル・トラックスです。
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Agoria - At The Controls (Resist/2007) 

Agoria - At The Controls
Label: Resist Music (RESISTCD106)
Format: CD×2/MP3
Released: 2007
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ResistのミックスCDシリーズ "At The Controls" 第四弾は、フレンチ・エレクトロニカ/テクノのシーンで独自の立ち位置を保つAgoriaが担当。Agoriaと言えばフランスのデトロイト・フォロアーみたいな言われ方をよくされていますが、これにはいつもピンと来ない。本人はデトロイト・テクノに強く影響を受けているらしいけど、どちらかと言うと熱(ソウル)よりは冷(クール)な佇まいに美麗でゆるやかなサイケデリアといったイメージなんだけどな。
このミックスではエレクトロニカ、ミニマル、ダブステップ、ロック、アッパーなトラック、ダウナーなトラック、明るい曲、暗い曲と、さまざまなジャンルやスタイルの曲が使われているが、そのことをほとんど意識させないくらい刹那的な影のある美しい空気に包まれている。しかも全体の印象として陰鬱さを感じさせないところが稀有。いやあ、"At The Controls" 過去四作の中でも、衝撃だったJames Holdenの一作目を抜く最高傑作かもしれない。
"Fuse"、"Fabric"、"Sessions"、"BuggedOut!" などシリーズ化されたミックスCDはたくさん出ているけど、"At The Controls" はプログレッシヴ・ハウス通過後のミニマルという主軸を上手く貫いていてなかなか秀逸なシリーズだわ。次回どんなDJを連れてくるのかが楽しみ。
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Claude VonStroke - At The Controls (Resist/2007) 

Claude VonStroke - At The Controls
Label: Resist Music (RESISTCD96)
Format: CD×2/MP3
Released: 2007
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外山恒一氏が現在自身のblogで連載(?)している『ファシズム入門』が読み物としてもなかなか面白いです。

ResistのミックスCDシリーズ "At The Controls" 第三弾は、いわゆる "ゲップ・トラック" こと「Deep Throat」がヒットして、アルバム『Beware Of The Bird』はニホン盤もリリースされたサンフランシスコのClaude VonStrokeが担当。
テクノ(ミニマル)シーンでは総じてシリアスでストイックなトラックが好まれる傾向にあるものの、ときおり06年の「Deep Throat」のような一発芸的なネタものがオーバーグラウンドのシーンでバカンと売れることがある。07年のそれに当たるのはSamimの「Heater」だろうけど、「Heater」はこのミックスにも収録。そもそも「Heater」はClaude VonStrokeがリミキサーとして参加しているし、こういうのは不思議と繋がって行くものだなあ。
アルバム『Beware Of The Bird』が割とアメリカンな明るさを感じさせるミニマルトラック集だったのに対し、本作はヨーロピアンな恍惚感と高揚感の強いミックスとなっている。シカゴハウス的なゲットー感覚が潜んでいるのはオリジナルアルバムもこのミックスも同じ。細かくアシッドに変化する音フェチ的なシンセサウンドが多用されていてたまらんものがあります。
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M.A.N.D.Y. - At The Controls (Resist/2006) 

M.A.N.D.Y. - At The Controls
Label: Resist Music (RESISTCD81)
Format: CD×2/MP3
Released: 2006
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ウインクひとつでiPod操作、阪大チーム「こめかみスイッチ」を開発 >>
これ、確かにものすごい便利なんだろうけど、僕は右目のウインクが苦手です。果たしてウインクできないひと(いるのかな)はどーするんだろうか?

その第一弾をJames Holdenが飾ったResistのミックスCDシリーズ "At The Controls" の第二弾。CD1はダンス・サイド、CD2はリスニング・サイド、とどこかで読んだ記憶があるのだが、実際のところ、2枚ともさして印象は違わない。ミニマルだけでなく生音やヴォーカル・トラックを各所に使いながらも、基本的には正当派ハウスミュージックが好きなんだろうなという部分がそこはかとなくにじみ出ているのを感じるミックス。
しかし、おそらく2枚組というボリュームがそうさせているのだろうけど、僕としては幅広い音楽性とかヴァラエティ豊かなとかはいらんのです。もっと最初っから最後までビキビキいわせ続けてくれても良かった(もちろん悪いわけないんだけどさ)。改めて聴くと『Fabric 38』(過去レビュー >>)ほどドラッギーな感じはしないなあ。
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M.A.N.D.Y. - Fabric 38 (Fabric/2008) 

M.A.N.D.Y. - Fabric 38
Label: Fabric Records (FABRIC 75)
Format: CD/MP3
Released: 2008
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三浦和義タイーホのきっかけが彼のblogだったというニュースを見て、改めてblogってすごいんだなあと思ったのですが、そのblogと言われているページがこれ。いや、これはblogでもなんでもないだろう・・・。

今やエレクトロ・ハウスの代表的なレーベルとなったGet Physical Musicを、Booka ShadeやDJ T.らとともに主宰する2人組DJユニットM.A.N.D.Y.が "Fabric" に登場。
意外やラテン・トロピカルなイントロから幕を開けるが、その後はエレクトロニックな艶のあるビキビキでブリブリでピキパキなエレクトロ・ハウスっぽいミニマルもしくはミニマルっぽいエレクトロ・ハウス攻め。ミックス自体は決してシームレスと言うわけではないけど、選曲の流れと音そのものの快楽指数の高さが文句なしに気持ち良い時間を与えてくれる。最後はダブでシメ。
このミックスはサイケデリックと言うよりはドラッギーですな。好み!
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