Petit Restaurant Giro (大阪・本町)

淀屋橋と本町の中間ほどに位置する雑居ビルの1階のいちばん奥まった、おそらくスナックの居抜き物件と思われる1室にあるPetit Restaurant Giroは、その名の通り小さなフレンチ・レストランで、藤田二郎シェフ(通称ジローさん)がひとりで切り盛りしています。
ジローさんは、今までご本人からお聞きした話などを総合すると、フランスでミシュラン3つ星を獲得する以前のピエール・ガニェールに師事したほか、天皇の料理番のモデルになった店をはじめ国内の複数の店で研鑽を積まれたようです。
ジローさんのべらんめえ調の関東弁での歯に絹着せぬキャラクターは好き嫌いが別れると思いますが、彼が作り出す手間と時間と経験に裏打ちされた技術を注ぎ込んだ繊細かつ大胆な伝統的フランス料理にはファンも多いのです。
我々は今年もクリスマス・ディナーの時期に合わせておじゃましました。
我々がジローさんのクリスマス・ディナーをいただくのは今年で5年連続5回目ですが、初めてジローさんのお店に行ったのは、もうかれこれ15年近く前になります。
ちなみに今年のクリスマス・ディナーは税込10,000円。これでも過去最高額です。

クリスマス・ディナーのメニュー表は、毎年お店の常連さんが作っているとのこと。
何年か前にはコース料金「8,000円」を「800円」とミスプリントしていたこともありましたが(笑)
お酒は、まずはシャンパーニュをボトルでお願いしました(7,000円)。
フォアグラのテリーヌ

ジローさんの前菜の定番であるフォアグラ。
この皿だけでシャンパーニュがどんどん溶けていきます。フレンチ版酒盗である。
トリュフとマッシュルームのコンソメ パイ包み焼き

ジローさんのコンソメは澄んでいてそれでいてとても滋味深い。
トリュフのゴリゴリとした食感と香りも楽しく、周りのパイをコンソメに浸して味変としても楽しめます。
帆立貝のムースリーヌ+天使の海老+鮑 クーリドクルベット

2本目は白ワイン(ボトルで3,800円)。
帆立のムースと天使の海老は2年前のクリスマスもいただいたけど、今年は鮑がプラス。
いわゆるアメリケーヌ・ソースのなんともコクの深さよ。
エゾ鹿のポワレ ソースポワヴラード

3本目は赤ワイン(ボトルで3,800円)。
表面をしっかりと焼き上げながら赤身はきれいなピンクという完璧な火入れ。
胡椒の効いたジビエのソースとの相性も素晴らしいし、上に乗ったマッシュルームの細工もまた。
クリスマス特製デザート

プティフール

デザートもお菓子もすべてジローさんの手作り。
「コーヒーでいいやろ?」と黙っててもエスプレッソが出てくるのもありがたい。
2021年12月に放送されたテレビ番組『オモウマい店』に取り上げられて以降、ランチ営業を取りやめてディナー営業のみに専念できるくらいお客さんが来るようになったのは良いのですが、いっときは問い合わせの電話がひっきりなしだったため店の電話線を抜いていたそうです。どんな店だ。
その『オモウマい店』、テレビ的脚色や誇張もなく普段のジローさんのままでとても面白かった。
クリスマスの時期を除いて原則土日休みのためなかなか行きにくいのが玉に瑕ですが、本当は年2回は行きたいところです。
また一度ジビエの時期に行きたいのですが、まだ果たせておりません。来年こそは。
なお、食べログでは「Petit Restrant Giro」となっていますが、正式な店名は「Petit Restaurant Giro」です。
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- [2022/12/30 23:56]
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焼き鳥 松の (大阪・野江)

自宅からもほど近く、年に2~3回の頻度で通っている焼鳥屋です。
焼鳥業界のここ10年ほどのトレンドとして高級志向化が挙げられますが、当店はそういった時代の空気を取り入れながら、大衆的な雰囲気と価格を維持している点が気に入っています。

生ビールはアサヒ生ビール、通称マルエフです。
以前は当店はサントリーのプレミアムモルツ・マスターズドリームを出していてそちらも美味しかったのですが、マルエフもまた美味しく、お店で飲めることが嬉しいビールです。
当店は焼鳥はおまかせの7串が基本で、お腹に余裕があればその後追加、という流れになります。
我々は7串では足りるわけもなく、毎回追加しています。

焼鳥に行く前のお皿もいくつか注文したいところで、今回は初めてオーダーする数量限定のきもたたきからスタート。
(゚Д゚)ウマー!(゚Д゚)ウマー!
きわめてレアな食感ですが、低温調理により中まできちんと火が通っているのが安心です。

もう1皿は1番・2番・チキン南蛮!(カーネル)
こちらも初めて頼みましたが、粗めのタルタルソースがいいですね。
次回はオーソドックスにもも唐揚げあたりも食べてみたい。

さて、ここからおまかせ串です。
まずはわさび焼き。
淡白なささみとさわやかな刺激のわさびが最適なスターターです。

続いてやげんなんこつ。
ゴリッとした歯ごたえと口の中に広がる脂がたまりません。

3串目はこころ。
ハツですね。絶妙な火入れで、口の中でジュワッとあふれる肉汁で溺死するかと思いました。デキシード・ザ・エモンズです。

箸休めの鬼おろし。
しかし鮨屋で言うガリみたいな位置づけであるのならば、おかわりフリーにしてほしいところです。

4串目は手羽先。
皮目のバリっとした焼き目にもかかわらず身ほどけがよく、骨がするりと外れます。

5串目はねぎま。

そして6串目ははらみ。
ここへ来て、基本中の基本である肉の旨さに気づかされるヤヴァさよ。

おまかせ7串のラスト、のどホルモン。
いいですねこういう希少部位も好きだ。

ここからは追加。先ずはぼんじり。
ぼんぼちとも三角とも呼ばれる鶏の尾っぽの部位で、軟骨と脂身の調和がとても楽しい。
俺はぼんじりが大好きなんだ。

もう1串追加。きも。
きもたたきもそうでしたが、低温調理を駆使した絶妙な火入れは感動ものの、至高の1串。
松のに来たらきもは外せない、絶対にだ。

締めのご飯もの中から、初めてオーダーした手羽にぎり。
塩昆布の塩味がいいアクセントになっています。

締めその2。松のは中華そばも旨いんだ。
実は東天満で "ひよこ" というラーメン屋もやっておられます。
以上、毎回かなり自由に生ビールを飲んで、だいたいひとりアタマ5~6千円ほど。
また3~4ヶ月経って、焼鳥口になってきたらここに戻ってきます。
- [2022/12/25 14:48]
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【ビール】ことことビール THE FIRST TANK

昨年(2021年)京都山城に開設したマイクロブルワリー "ことことビール" の限定商品 "THE FIRST TANK" は、初めて使用する醸造タンクからしか作られない貴重な1本。
ことことビールの醸造所には現在3つのタンクが存在するそうで、今後この商品は、4つめ以降のタンクを増設するときにしか手に入らないということだ。
ビアスタイルはピルスナーで、おそらくことことビールの定番商品のひとつ "黄金色になれ!ピルスナー" と同じものと思われる。
原材料は麦芽(外国産)、ホップ(カスケード)、カラギナン(清澄剤)。ABVは5パーセント。
大手国産メーカーのピルスナーと比べ色は濃くアンバーに近い。
苦みは強めだが程良いもので、そのことが飲みやすさを担保しており、食中酒として最適。
- [2022/12/18 19:59]
- ビール |
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Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022

配信ライブのチケットを購入して視聴するという方式のライブ/コンサートは、コロナ禍以降に消極的選択肢ではあったもののとうに一般化していたもので、しかし僕自身は今回が初めての経験でした。
本日2022年12月11日に世界30の国と地域で配信された坂本龍一のピアノ・ソロ・コンサート "Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022" は、東京・渋谷のNHK放送センター509スタジオにて事前に1曲1曲撮影され、丁寧に編集された60分余の映像作品。
今なお闘病中である自身に、1本のコンサートをやり切る体力がもはや残っていないという理由により、ここでも消極的選択肢ではあったものの、同時に最大効果を得られる方式であるとも言えるものではなかったかと思います。
まるでショパンを思わせる静謐な演奏の表層とはまったく趣を反する自身の表情は、観ている側の魂が揺さぶられる渾身の演奏と言えるもので、自身の代表曲を惜しげもなく披露する今回の選曲も含めて、演奏後に自身が語ったように、まさしく「ここへ来て新機軸」といえるものでした。
そしてこれは完全に僕の言語的ボキャブラリーの貧困さ故にこのような表現しかできないことをご容赦いただきたいし、ご本人には本当に申し訳ないと思うのだけれども、死に往く者から振り絞られる音楽からは揺るぎない生命の躍動を感じるという圧倒的な感動を憶えた、というのが僕の感想のすべてです。
本当に素晴らしいコンサート体験でした。
なお、映像配信後には、来年1月17日に発売されるニューアルバム『12』の全曲視聴が行われました。
ピアノ作品だけではなくシンセサイザーを使ったアンビエントも含め、今回のコンサートと同じく静謐な作品となっています。
Setlist
01. Improvisation on Little Buddha Theme
02. Lack of Love
03. Solitude
04. Aubade 2020
05. Ichimei - Small Happiness
06. Aqua
07. Tong Poo
08. The Wuthering Heights
09. 20220302 - sarabande
10. The Sheltering Sky
11. The Last Emperor
12. Merry Christmas Mr. Lawrence
13. Opus - Ending
- [2022/12/11 20:27]
- パーティー/ライヴ |
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Kamekichi (大阪・谷町四丁目)
年に2~3回の頻度で通っているフランス料理のレストランKamekichi。
場所を大阪在住の讃岐うどん好きの皆さんに伝わるように説明すれば、香川県に本店を置く細麺の名店「一福」の大阪店のある筋を奥まで進んだ最初の四つ辻の左奥がKamekichiです(この説明いるのか)。

11月にコースをいただいた様子を紹介します。
今回はメインに鹿をリクエストしていました。
昨年の秋にいただいた鹿がほんとうに素晴らしかったので。

ワインに迷っていたところ、ソムリエールにご提案いただいた微発泡のロゼをお願いしました。
ジャケがかっこいい。

先ずは北海道産ホタテとサーモンのタルタル、キャビア添え。ソースはカリフラワー。
ホタテとサーモンの甘味とキャビアの塩味のバランスが良くて、早速お酒が進みます。

次に「前菜」として出されたのがサワラ。
僕サワラ好きなんですよ。
絶妙なレアっぽい火入れ。かすかな燻感も食欲をそそります。
上に乗ったリンゴとカブの組み合わせもいいですねぇ。

フォアグラのポワレとスクランブルドエッグ。
ふんだんに散らされた白トリュフの香りがとても良い。
当店のアラカルトのメニューにフォアグラがゴロゴロと乗ったオムレツがあるのですが、それをコースの一皿にアレンジしたような。
当店はアラカルトだと一皿一皿の量が多いので、2人だと色な種類の料理を食べることができず、どうしてもコースでお願いすることがほとんどなので、ひさしぶりにフォアグラと卵をいただくことができて嬉しかった。

アコウ、オマール海老、鱈の白子のブイヤベース。
このお皿が出てきた時は思わず驚きの声がもれました。
実は白子が大好きな我々は、今回予約した際にコース料理に白子を入れてもらえないかとお願いしようとしていたのです。
最終的にはフランス料理に白子を使うかどうかわからなかったという理由でお願いしなかったのですが、こうしてお願いしなくても我々の好きなものを出していただきヒデキ感激。
アコウのしっかりとした肉厚な食感も、オマール海老の口の中ではじけるような弾力も、鱈の白子のとろけるような濃厚さも、本当に素晴らしかったのだけれど、なんといってもブイヤベースの滋味深さよ…!
ちなみに食後にシェフとお話ししたところ、フランスでは魚の内蔵を食べるということは敬遠されがちなのでフランス料理では白子は使わないそうですが、日本のフランス料理では使われることもあるそうです。

ここまででワインのボトルが空いてしまった。
メインに向けて、赤をグラスで頼みました。

そしてメインです。
リクエストしていた鹿は北海道産のエゾシカにカシスのソース。付け合わせは五郎島金時。
今回も抜群の火入れ、そして肉厚!
スペアリブも添えられており、実に野生味のある皿だ。
満足です。

デザートにエスプレッソ(ダブル)をいただくのもいつものいい締めです。
これで1万円のコースですよ。この満足感、毎度ながら実にお値打ちです。今回は特にそのように感じましたけども。
これからも通いますのでよろしくお願いします。
注)食べログ↓では「カメキチ・ビストロ」という店名になってますが、現店名は当記事の通り「Kamekichi」です。
場所を大阪在住の讃岐うどん好きの皆さんに伝わるように説明すれば、香川県に本店を置く細麺の名店「一福」の大阪店のある筋を奥まで進んだ最初の四つ辻の左奥がKamekichiです(この説明いるのか)。

11月にコースをいただいた様子を紹介します。
今回はメインに鹿をリクエストしていました。
昨年の秋にいただいた鹿がほんとうに素晴らしかったので。

ワインに迷っていたところ、ソムリエールにご提案いただいた微発泡のロゼをお願いしました。
ジャケがかっこいい。

先ずは北海道産ホタテとサーモンのタルタル、キャビア添え。ソースはカリフラワー。
ホタテとサーモンの甘味とキャビアの塩味のバランスが良くて、早速お酒が進みます。

次に「前菜」として出されたのがサワラ。
僕サワラ好きなんですよ。
絶妙なレアっぽい火入れ。かすかな燻感も食欲をそそります。
上に乗ったリンゴとカブの組み合わせもいいですねぇ。

フォアグラのポワレとスクランブルドエッグ。
ふんだんに散らされた白トリュフの香りがとても良い。
当店のアラカルトのメニューにフォアグラがゴロゴロと乗ったオムレツがあるのですが、それをコースの一皿にアレンジしたような。
当店はアラカルトだと一皿一皿の量が多いので、2人だと色な種類の料理を食べることができず、どうしてもコースでお願いすることがほとんどなので、ひさしぶりにフォアグラと卵をいただくことができて嬉しかった。

アコウ、オマール海老、鱈の白子のブイヤベース。
このお皿が出てきた時は思わず驚きの声がもれました。
実は白子が大好きな我々は、今回予約した際にコース料理に白子を入れてもらえないかとお願いしようとしていたのです。
最終的にはフランス料理に白子を使うかどうかわからなかったという理由でお願いしなかったのですが、こうしてお願いしなくても我々の好きなものを出していただきヒデキ感激。
アコウのしっかりとした肉厚な食感も、オマール海老の口の中ではじけるような弾力も、鱈の白子のとろけるような濃厚さも、本当に素晴らしかったのだけれど、なんといってもブイヤベースの滋味深さよ…!
ちなみに食後にシェフとお話ししたところ、フランスでは魚の内蔵を食べるということは敬遠されがちなのでフランス料理では白子は使わないそうですが、日本のフランス料理では使われることもあるそうです。

ここまででワインのボトルが空いてしまった。
メインに向けて、赤をグラスで頼みました。

そしてメインです。
リクエストしていた鹿は北海道産のエゾシカにカシスのソース。付け合わせは五郎島金時。
今回も抜群の火入れ、そして肉厚!
スペアリブも添えられており、実に野生味のある皿だ。
満足です。

デザートにエスプレッソ(ダブル)をいただくのもいつものいい締めです。
これで1万円のコースですよ。この満足感、毎度ながら実にお値打ちです。今回は特にそのように感じましたけども。
これからも通いますのでよろしくお願いします。
注)食べログ↓では「カメキチ・ビストロ」という店名になってますが、現店名は当記事の通り「Kamekichi」です。
- [2022/12/03 22:50]
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