電気グルーヴ - ORANGE (Ki/oon/1996) 

orange.jpg電気グルーヴ - ORANGE
Label: Ki/oon Records (KSC2 142)
Format: CD
Released: 1996
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楽しかった電気グルーヴのライヴから1週間あまりが経ちました。この1週間、電気熱の冷めやらないうちに過去のアルバムをランダムに聴き直したりして過ごしてたのですが、そん中で、今回のライヴに一番近いテイストのアルバムって、『YELLOW』(2008) でも『J-POP』(2008) でもなく、実は『ORANGE』だったというお話。
この『ORANGE』というアルバム、リリース当時はあまり良いとは思わなかった。と言うのも、個人的に、『Flash Papa Menthol』(1993) でテクノ(ガバ/ハードコア)に衝撃を受け、『VITAMIN』(1993) でアシッド・リヴァイヴァルの洗礼があり、さらに『DRAGON』(1994) でテクノ道を突き進む、といった右肩上がりだった(と感じていた)電気グルーヴのアルバムのクォリティが、この作品で初めて下落した、という印象を受けたからです。今から思うと、アルバムを総合的に判断していたと言うよりは、やはり "テクノ" として聴いていた、電気グルーヴにクラブトラックとしてのテクノを求めてしまっていた、それが原因だったのではないかと。だから当時のこのアルバムん中でいちばん好きだったのは「反復横飛び」と「スマイルレス スマイル」やし、「Tシャツで雪まつり」に関しては好きなんだけどあざとい自己パロディだなぁと少々シニカルに捉えていたことを思い出します。
で、今回このアルバムからライヴで演ったのは「誰だ!」と「キラーポマト」と「スコーピオン」の3曲ですが、「キラーポマト」に関してはシングルCD『』(1995) のカップリング曲「ポマト」が原型なので、実質この時期の曲としては2曲だけ。それでもライヴ全体の印象がこのアルバムに近かったとはこれいかに。
『ORANGE』って当時はやっぱりイマイチで、『A (エース)』(1997) で少し盛り返したって印象が強かったのですが、今回改めて聴き直してみると、実は『A (エース)』の原型はすでに『ORANGE』の時点で出来上がっていて、この2作はほぼ共通の空気感を持っていることを今更ながらに発見。ちなみに『A (エース)』から演った曲は「かっこいいジャンパー」「VOLCANIC DRUMBEATS」「ガリガリ君」そして「Shangri-La」の4曲。まぁ、濃い薄い、あるいは向いてる方向の違いはあれど、言わば "電気グルーヴ的" としか言いようのないバンドの核(コア)な部分、ここでは仮に "ピグ的" と呼ぶことにするが、このピグ的なものは、『VITAMIN』にも『VOXXX』(2000) にも、もちろん『J-POP』や『YELLOW』にだって存在する。そういったピグ的を覗かせる楽曲が結果として並んだのが今回のライヴだったいうことなんだろうな。(ただし『DRAGON』だけはピグ的が希薄。今聴くとこのアルバムだけ異質。音的に古かったりするのもあるのだろうけど、今回のライヴのセットリストに『DRAGON』の曲が含まれていなかったのは、決して "たまたま" ではないと思う。)
そしてこの『ORANGE』には『DRAGON』とは逆に、そのピグ的が濃縮されて詰め込まれている。まるで『DRAGON』の反動であるかのように。そんな『ORANGE』の雰囲気を感じる今回のライヴは、電気グルーヴの一番麦汁みたいなものだったのだ。そりゃあ楽しいわさ!!
と言う訳で、今回のライヴのおかげで、自分の中で埋もれていたアルバム『ORANGE』の再評価につながりました。

長過ぎるマクラはこれくらいとして(マクラだったのか)、本題のアルバム紹介は各曲解説(?)の形式で簡単に。
「ママケーキ (Mamacake)」
"今は亡き砂原君" のアカペラで幕を開けるこの曲は、同年の "ツアーめがね" でも演奏され、生で歌う砂原君の隣でピザ生地を振り回すピザ職人(瀧)の姿が見られた。
「誰だ! (Dareda!)」
CDで聴くと未だにピンと来ないこの曲も、ライヴでは爆発的な破壊力を持つ。ある意味現場トラックということか。
「キラーポマト (Killer Pomato)」
ピグ的なある部分が行き過ぎると差別だ何だと批判されることになるわけですが、電気はいつでもスレスレの線を的確に見極めている。
「VIVA! アジア丸出し (Viva! Asia Marudashi)」
岡村靖幸参加。後の「かっこいいジャンパー」にもつながる浮遊感丸出しのトリッピーなトラック。
「なんとも言えないわびしい気持ちになったことはあるかい? (Nantomoienai Wabishiikimochininattakotogaarukai?)」
聴いてるとなんとも言えないわびしい気持ちになってきた。この気持ちもピグ的。邦題と英題が微妙に違うのはワザとなのかミスプリントなのか。
「ポパイポパイ (Popaipopai)」
「ちょうちょ」「ドカベン」「富士山」「お正月」に続くアルバム内の "瀧コーナー" 第5弾(にして最終回)。
「反復横飛び (Repetition Side Step)」
この頃卓球が得意としていたバウンシーなハードミニマル。TB-303が暴れるブレイクで突然入ってくる徳光和夫のニュースが要らないひとは、アナログ『ORANGE Remixes』をどうぞ。
「スコーピオン (Scorpion)」
"後ろの正面振り向いたら俺が立ってた、こまっちゃう" というフレーズが特に好きです。
「スマイルレス スマイル (Smileless Smile)」
アルバム毎に "瀧コーナー" が設けられていたことは有名だが、同じように卓球による "ダブコーナー" が設けられていたことは意外と知られていない。
「Tシャツで雪まつり including 燃えよドラゴンのテーマ (T-Shirt De Yukimatsuri)」
「電気ビリビリ」「B.B.E.」等のエピゴーネン。でもハードコアジャングルなので好き。

ORANGEORANGE
(1996/03/01)
電気グルーヴ

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Tracklisting:
01. ママケーキ Mamacake
02. 誰だ! Dareda!
03. キラーポマト Killer Pomato
04. VIVA!アジア丸出し Viva! Asia Marudashi
05. なんとも言えないわびしい気持ちになったことはあるかい? Nantomoienai Wabishiikimochininattakotogaarukai?
06. ポパイポパイ Popaipopai
07. 反復横飛び Repetition Side Step
08. スコーピオン Scorpion
09. スマイルレス スマイル Smileless Smile
10. Tシャツで雪まつり including 燃えよドラゴンのテーマ T-Shirt De Yukimatsuri
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コメント

うおー!またライブネタ見てしまった!!しばらく電気ネタの記事は見ません!!うおーん!!

そういや「誰だ!」のシングルにGROOVEYARDリミックスなんてのもありましたね。僕結構好きなんだけどなあ…。
  • [2008/11/13 14:07]
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  • NOW!
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ORANGEはリリースされた時、"?"という気がしました。
DRAGONの後に各人のソロがリリースされ、3人が再び
集まったら何をやらかしてくれるんだろうと期待していたので、
尚更"?"度が高かったです。

DRAGONの延長を期待していたら、ドリルキング・アンソロジーだったという(笑)
しかも、突き抜けていな中途半端な感じ。
○ニーのテクノキャンペーン(だったかな?)のリストにも
何故か入っていて、卓球さんが苦笑していたのをよく覚えています。

とは言え、テクノを聴き始めて電気としては最初に買った新譜だったので、
相当聴き込みましたよ。

誰だ!はライブ向けですごく盛り上がりそうですね。
ターンテーブルが無いので、恐山入りのアナログは未購入でした。
Killer PomatoのGreen Velvet Mixが聴きたいです。
今考えれば買っておけば良かった。
  • [2008/11/13 15:51]
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  • koh
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>> NOW!さん

多分もう書かないから大丈夫!(笑)

「誰だ!」のGrooveyardリミックスはいいですね。
家で聴く分にはオリジナルより好き。
あのぶっといベースがブウーン!って入ってくるあたりなんかタマランです。
  • [2008/11/13 19:09]
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  • びびんば
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>> マチュさん

先ずお詫び。
マチュさん、ごめんなさい。
せっかくコメント投稿頂いたのに、何故か消えてしまいました。
キャッシュから救出したのでここに再掲させてもらいます。

- -
VIVA! アジア丸出しは大好きなんですよね。
卓球にしては珍しいハウシーなトラックで、
実はしっかりとフロアトラック作れるんじゃないかと
思わせられました。
こんな曲ばかりでアルバムを…ってそれは絶対無いか。

[2008/11/13 15:36] URL | マチュ [ 編集 ] TOP ▲
- -

卓球はソロでもハウシーな曲いくつかやってますよね(とれまのMickeeとか)。
さすがにアルバム1枚ってのはありませんが。
僕もハウシーっていうか、こういう卓球がたまに作る浮遊感のあるサイケなトラックがすごく好きです。
  • [2008/11/13 19:20]
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  • びびんば
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>> kohさん

> DRAGONの延長を期待していたら、ドリルキング・アンソロジーだったという(笑)

それ、言い得て妙です。まさしくその通りでした。

「キラーポマト」のGreen Velvetリミックスは2ヴァージョン入ってたのですが、どちらも今聴いてもヤヴァイですよ。
  • [2008/11/13 19:30]
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  • びびんば
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オレンジかよ~~~!!!!!!!!!
いっぱいあるアルバムからオレンジチョイスしたかよ~~~!!!

私もだったのですよ。

「ええ~~いこれだ!」
ってライブ後に家に帰って聞くために手に取ったのがオレンジだった。

オマエがオレで、オレがオマエで。
ウソかマコトか、マコトかウソか、ほんまかいな~~~。

みたいな~みたいな~。


因に。
ビビンバタソの真似したんぢゃないわいわい!!!(∩゚д゚)アーアー

  • [2008/11/13 22:53]
  • |
  • lunemusique
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>> lunemusiqueさん

めがね電波(笑)

いや、直感で『ORANGE』チョイスしたluneはやっぱりさすがやと思ったわ。
俺は他のアルバムもひととおり聴いてからじゃないとわからなかったから・・・。
  • [2008/11/15 01:25]
  • |
  • びびんば
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「スコーピオン」の歌詞が今聴いても秀逸だなと。
内容のシュールさと同じぐらいに、それが見事にリズムにタイトに乗っかってるのが凄いですよね。「飯をいっぱい食ったら丸ごと腐ってた 困っちゃう」のところとか。
まりん曰く「井上陽水を意識した」(恐らく「最後のニュース」か「ピポパ」あたりの楽曲)らしいです。

>卓球にしては珍しいハウシーなトラック
時期的にリリーフとかダンスマニアとかのシカゴ物が盛り上がってて、ハードフロアなんかの流れもあって、ハウシーなのがトレンドだったんですよね。
技術的な面でいうと、このアルバムの卓球担当曲って半分以上は909の本体シーケンサーを使って打ち込んでるんですよね。基本的なところを909でガシガシ作っていって、シンセやサンプラーも909のトリガーを使ってシーケンスしたり。それがいちばんモロに出てるのが『アジア丸出し』だと思います。
  • [2008/11/17 21:45]
  • |
  • LEGO CITY
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>> LEGO CITYさん

「ポマト」~「キラーポマト」なんて完全にシカゴですからね。
あと、3人ソロBOXに同梱されてた8cm CDの「ノイノイノイ」とか。

最近の電気の音の質感って昔と比べてどこか物足りない感じなんですが、それってマスタリングだけじゃなくて、機材やレコーディングの方法にも関係してるのかしら。
  • [2008/11/19 15:11]
  • |
  • びびんば
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すみません、ちょっと長いです

ElektronのMachineDrumっていうデジタルのリズムマシン/サンプラーを導入してから、リズム音源に拘りがなくなったって事を仰ってるので、その辺りが質感の違いとして出てるところがあるかもしれないですね。

909を生音のまま録るって事は今ではほとんどなくて、コンプなりEQなりで好みの音に作りこんでいく作業があり、毎回レコーディングの度に時間と根気を必要とされるんですが、事前に909からサンプリングした音やMachineDrumの内蔵音源でリズムキットを数種類作っておけば、その都度そいつを呼び出せばいいわけで、おかけで他の事に集中できるということで確かに便利ではあるんです。ただ、MachineDrumは良くも悪くもデジタル臭い音で特徴があるんですよね。アナログライクな音に馴染みがあると、結構そこに違和感覚える人はいるんじゃないかなと。

「TITLE」の頃に導入して、電スチャを経て、InKの2nd以降からかなり目立っています。
「VITAMIN」を象徴する機材がTB-303だとしたら、「J-POP」と「Yellow」はMachineDrumによるアルバムって感じかもしれません。

あと余談なんですけど、以前ハードフロアのアルバムのレビューでも質感が変わった、ソフト音源で作ったんじゃないかっていう指摘をされていましたが、実際それも当たってまして、近作では303っぽく聴こえる音の何割かは、D16のPhoscyonっていうソフトシンセなんですよね。公式サイト(http://www.d16.pl/index.php?menu=171#EndorserID40)にラモンのインタビューが載ってます。
僕はこれ知ったとき少なからずショックだったんですが・・・。

わかりやすい例で言うとgui borattoのリミックスで聴けるような、実際の303よりも複雑なモジュレーションがかかってる音がたぶんそれなんだと思います。
  • [2008/11/24 21:55]
  • |
  • LEGO CITY
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>> LEGO CITYさん

> 近作では303っぽく聴こえる音の何割かは、D16のPhoscyonっていうソフトシンセなんですよね

ああー、それは僕もショックですわー。
僕は耳で聴いて何となくそう感じただけだったので、本当にそうだったとは・・・。
でもまぁ、謎がひとつ解けました。ありがとうございます。

件のHardfloorのアルバムも、電気の近2作も、全体的にどこかのっぺりした音に聴こえて仕方がなかったんですが、それがLEGO CITYさんの仰る「良くも悪くもデジタル臭い音で特徴がある」ってことなんでしょうね。
  • [2008/11/26 23:29]
  • |
  • びびんば
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