水曜日のカンパネラ - UMA 

Artist: 水曜日のカンパネラ
Title: UMA
Label: Atlantic Japan
Catalog#: WPCL-12388
Format: CD
Released: 2016/06/22
水曜日のカンパネラがようやくメジャーデビューを果たした。
個人的な感覚を言えば、水カンはメジャーに行くのが半年から1年遅いと感じていたこともあり、本当にようやく、という思いが強い。
おそらく、昨年の今頃にはすでにメジャー数社からの誘いはあったことだろう。水カンの活動形態や楽曲の内容を鑑みると、メジャー行きにはそれなりに慎重にならざるをえないことも理解できるので、今回契約を交わしたAtlantic Japan(Warner Music Japan)とは、特にアーティスト・コントロールの面で万全に近い条件が整ったことと思いたい。

というわけで水カンのメジャーデビュー作『UMA』。一応 "7曲入りのEP" という扱いのようだ。少なくともメンバー(特にコムアイ)はそのように発言しているし、Warnerのサイトにもそのように記載がある。
ただし水カンのオフィシャルサイトには "アルバム" と書いてあるし、そもそも3月のSXSWのステージ上でのリリース発表の際は間違いなくアルバムと言っていた。
これもおそらくだけど、当初アルバムとしてリリースを進めていたものが、何らかの事情(後述します)によりEPとしてのリリースに切り替えざるを得なかった、という裏事情が存在するのではないだろうか。
まぁ結果的には7曲もそろったのだから、過去の自らの例に習って "ミニアルバム" と称すればよかったのではないかという気もするが、その辺りの整合性に頓着しないところもまた水カンらしいという気がする。

前述のとおり本EPには7曲が収録されている。「チュパカブラ」、「ツチノコ」、「ユニコ」の3曲を水カンのメンバーでありサウンド・プロデューサーのケンモチヒデフミが作詞・作曲・トラックメイクを手がけ、残りの4曲は外部のプロデューサーが作曲・トラックメイクを手がけている。
「雪男イエティ」はMUST DIE!(LA)、「フェニックス」はClub ChevalのMyd(パリ)、「バク」はBrainfeederのMatthewdavid(LA)、「クラーケン」はBrandt Brauer Frick(ベルリン)がそれぞれトラックを担当し、コムアイが作詞を担当している(「雪男イエティ」の歌詞はコムアイとケンモチヒデフミの共作)。

つまり、これまで水カンのほとんどすべての楽曲を生み出してきたケンモチヒデフミは、今回、全体の半分ほどにしか関わっていないのだ。
そもそも本作は初めからそのようなコンセプトで企画が進められていたのか。それとも別の要因でこのようなリリース形態とならざるを得なかったのか、仮にそうだとすればその何らかの事情とは。
ここで誰しも思いつくのは、『UMA』製作時期にケンモチさんが長期入院されていたということだ。
もしかすると、そのために歌詞も楽曲も当初の計画通りに制作が進まず、急遽外部のトラックメーカーに発注し、コムアイ主導で制作が進められたのではないか(特に「フェニックス」「バク」「クラーケン」の3曲)。これが僕の予想です。
ただし、外部プロデューサーの選定にはケンモチさんも関わっているような気がする。MUST DIE!やMydはレーベル側からの提案だったかもしれないけど、MatthewdavidとBrandt Brauer Frickに関しては音楽的にもケンモチさんの趣味に近く、違和感がほとんどないから。

さて、7曲中4曲を外部プロデューサーに依頼した効果についてだけど、ケンモチヒデフミの手による冒頭の2曲(「チュパカブラ」と「ツチノコ」)が本当に素晴らしすぎて、他の楽曲の魅力がかすんでしまっている。
これは楽曲のクォリティの問題というよりは、楽曲をどのようにリスナーにアピールさせるか、という考え方の違いが大きい。
『ロッキング・オン・ジャパン』平成28年6月号のインタビューで、ケンモチさんは

"「えっ、何この曲!?」ってなる人間の集中力ってたぶん5秒ぐらいだと思うんですよね。だったらそこで勝ちにいくという感じですかね。"

と語っていて、この言葉は単純に楽曲のイントロ等の時間軸での話をしているのではなく、歌詞であったり歌メロであったりシンセリフであったり、楽曲内に何かしらのフックとなるキャッチーな要素を作ることでリスナーの興味を集中させるという手法であり考え方を明かしているのだと思う。
そういった手法のある・なしの違いが、アルバム…じゃなくてEP(笑)を通して聴いたときに感じるケンモチ楽曲と他アーティストの楽曲の印象の違いにつながっていると思う。

嗚呼、全曲ケンモチさんが作った『UMA』も聴いてみたかったなぁ。これは本当に残念としか言いようがない。
年末にはフルアルバムが出るそうなので、100パーセント・ケンモチサウンドになるであろう次回作を今から心待ちにしております。

なお、外注作に関しては、今後のライヴでどのように化けるかによって、ようやく正確な評価が定まると思う。
ちなみに、『UMA』収録の外注作の中で僕がいちばん好きなのは「クラーケン」なんです。この曲は『トライアスロン』(過去記事)収録の「ユタ」にも通じるゆるやかさとサイケデリアの同居具合がヤバ気持ちよくって、ぜひともライヴで体験したい。…と思ったら、すでに始まっている "未確認ツアー" では、今のところ「クラーケン」は演ってないのか! ツアー・ファイナルの京都・萬福寺では「クラーケン」演ってくださいよ〜たのむよ〜。





Tracklist
01. チュパカブラ
02. ツチノコ
03. 雪男イエティ
04. ユニコ
05. フェニックス
06. バク
07. クラーケン
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