Damon Wild - Downtown Worlds (Kanzleramt/2004)
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皆さんは "ミニマル・テクノ" と聞くとどのようなDJ/アーティストの名を思い浮かべますか?
僕にとってミニマル・テクノとは、Basic Channel、Jeff Mills、Robert Hood、Daniel Bell、そしてこのDamon Wildのことを指します。
昨今、クリック・ハウスや一部のテックハウス、それから一部のエレクトロ・ハウスや一部のプログレッシブ・ハウスなんかも包括して "ミニマル" というタームで呼ばれたりなんかしてますが、そのことにいつも少しの違和感を抱き続けていたのって(いや、もちろん今のいわゆるミニマルも大好きなんですよ)、多分このDamon Wildの存在があったからなんだと思うのです。
Damon Wild(本名Jan P. Stegemann)は1990年代初頭、NYのテクノ・レーベルEXperimentalのA&Rとして、クリエイターとして(かのJoey Beltramの師匠!)、そしてDJとして活動(この時期何と来日経験あり)。Tim TaylorとのThe Rising Sons「Afghan Acid」をヒットさせると、1994年に自らのレーベルsynewave newyorkを設立(同時にTim Taylorはsynewave londonを設立)し、同じくTim Taylorとの「Bang The Acid」やThe Pump Panel「Ego Acid」など90'sアシッド・テクノの傑作を多く生んだ。1990年代半ば頃よりテクノシーン全体がよりミニマル化して行くのと時を同じくして、Damon WildとTim Taylorの方向性もまた次第に離れて行き、やがてTim Taylorはsynewave londonをMissileに、そしてDamon Wildはsynewave newyorkをsynewaveに、それぞれ解消・発展させることとなる。
僕はこの当時、断然Tim Taylor派だった。Missileを始めてからも相変わらず派手なアシッド・テクノをガンガンばら撒いてましたから。ところがやがて、地味~ぃなトラックものばかりリリースしていたDamon Wildとsynewaveの渋い魅力に気付かされた。曲の中に何かしらフックとなるものが探し辛い、もちろんTB-303の音なんて聴こえない、BPMも抑えめ、でもめっちゃグルーヴィー。それが "ミニマル・テクノ" だったのです。
さて、このアルバム『Downtown Worlds』は、Damon Wild名義としては2枚目(コンピレーションも合わせると3枚目)。2004年に、何故かドイツのKanzleramtからリリースされてます。
ざっくりしたトライバル感は一時のOliver Hoや『Unknown Possibility Vol.2』(過去記事 >>)の頃の田中フミヤにも通ずるものがあるし、だいたい総じて地味だけどグルーヴ感が半端じゃなくて、元来の "ミニマルとは変化である" の思想を今でも意識的に音に現わしているアーティストであることがわかる。
もはや単純な4つ打ちだけではない、ミニマル・テクノの独自の進化系を聴くことができて、非常に興味深いアルバムです。
試聴 >>
![]() | Downtown Worlds Damon Wild (2004/03/29) Kanzleramt この商品の詳細を見る |
01. Mr. Mean
02. Like 'Dis
03. Crankpot
04. Silver
05. Halflife
06. Downtown World Pt.1
07. Tribecca
08. Traveller
09. Downtown World Pt.3
10. Eva
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- [2006/09/27 18:56]
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コメント
私はこのアルバム持ってないんだけど、これって確か娘さんに捧げられたやつでしたっけ?
発売当時、ケンゴさんが「こんな地味なの捧げられても娘さんも困るだろう」って書いていたのを妙に覚えてます。
発売当時、ケンゴさんが「こんな地味なの捧げられても娘さんも困るだろう」って書いていたのを妙に覚えてます。
試聴してみました。
地味な音色/構成でグッとくるグルーヴ感がありました。こういうの大好きです。
Pump Panel、懐かしいですね。大流行でしたね。今聴いてもなかなか良いです。
Missileといえば、Fred(Cari Lekebusch)が好きでした。
「Fred 4: Fred Light District」が大好きです。
音数少なく強力なグルーヴ感を出すところは、今回のDamon Wildと通ずるところがあるように感じます。
地味な音色/構成でグッとくるグルーヴ感がありました。こういうの大好きです。
Pump Panel、懐かしいですね。大流行でしたね。今聴いてもなかなか良いです。
Missileといえば、Fred(Cari Lekebusch)が好きでした。
「Fred 4: Fred Light District」が大好きです。
音数少なく強力なグルーヴ感を出すところは、今回のDamon Wildと通ずるところがあるように感じます。
>> shooterさん
へええ、その話は知りませんでした。
> こんな地味なの捧げられても娘さんも困るだろう
ふんとだ(笑)
> こんな地味なの捧げられても娘さんも困るだろう
ふんとだ(笑)
>> halさん
Fred! カッコ良かったですね!
Cari Lekebuschって確かこのあたりから出てきたんでしたっけか。
あとPlanet Of Drumsとかも好きだったなあ(これはMissileじゃ
なかったかも)。
Cari Lekebuschって確かこのあたりから出てきたんでしたっけか。
あとPlanet Of Drumsとかも好きだったなあ(これはMissileじゃ
なかったかも)。
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Damon Wild / Downtown Worlds (2004)
渋い。ミニマルってその名の通り単調で、中毒性の高いリズムの中にある音色とその変化からグルーヴを受け取るものだけど、これはミニマルでも単調さを感じないほどあの手こ...
Damon Wild - Downtown Worlds (Kanzleramt:KA101CD)
Amazonで詳しく見る(US盤) Amazonで詳しく見る(UK盤)The Rising Sons名義の「Afghan Acid」とかThe Pump Panel名義の「Ego Acid」らの傑作ハードアシッドテクノを残したDamon Wildはご存じでしょうか?またJeff Millsも「Mix-Up Vol.2」で使用している大傑作「Avion」は、D
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