田島貴男 ひとりソウルツアー2016 @ 梅田クラブクアトロ 2016/11/13 



僕が日本の音楽シーンの中で稀代のメロディメーカーだと認めるソングライターは何人かいるけど、田島貴男はそのひとりだ。
正直言って90年代のOriginal Loveに対してはあまり熱心なリスナーではなかったけど、近年の田島貴男の発する熱量には大いなる魅力を感じざるを得なかった。
というわけで、初めてのOriginal Love/田島貴男のライブです。

今回のひとりソウルツアーは、その名のとおり、自らのボイスパーカッションやコーラスをルーパー・エフェクターで重ねながらギターを弾き(時には叩き)、ハーモニカを吹き、歌い、踊る、ひとりソウルスタイルでのライブだ。
客電が落ち、ステージに登場した田島さんは、手にしたリゾネーターギター(National Style-1)のメタルボディをバコバコどつきながら弦をかき鳴らして叫び、唸りを上げ、スロットルはいきなり全開に。このひと、このテンションのまま最後までいくんだろうかと思ってたら、本当に最後までこのテンションのままいっちゃいました。そのテンションに呼応するかのように、僕たちのいた1階フロアは完全にダンスフロア化。
Original Love 25周年ということで最初期の楽曲と最新作『ラヴァーマン』からの楽曲が多め、あの曲やあの曲といった有名曲ももちろん、というセットリストで、およそ2時間半のオンステージは、独壇場という言葉を体現しているかのようでした。何よりその圧倒的な田島さんの熱量に当てられてしまって、僕はもうずっとウワーーーッてなりっぱなしでした。いやぁなんだかすごいものを見たなぁ。

ライブで聴きたいと思っていた「サンシャイン日本海」(Negicco提供曲のセルフカバー)や「Automatic」(宇多田ヒカルのカバー)も聴けたし、幕間のリズム講座(今回はポリリズムのワークショップでした)や物販紹介コント(?)も面白かった。
冒頭で、僕は田島さんのことをソングライターだと書いたけれど、今回のライブで感じたのは、田島さんは情熱とテクニックを合わせ持った強烈な個性を持ったプレイヤーだったということ。ここ数年先生に付いて習ってるというジャズギター(Archtop Tribute AT175 Classic Advance)を持ったときは特に如実にそれを感じたなぁ。
田島貴男ひとりソウルツアー、ダンスのためのソウルショウ、熱すぎました。でも次回はバンド形態のライブも観たいなぁ。

水曜日のカンパネラ ワンマンライブ2016 未確認ツアー @ 京都 萬福寺 2016/07/18 

僕にとっては7ヶ月振り、通算8回目の水曜日のカンパネラのライヴは、メジャー・デビューEP『UMA』(過去記事)の発売を記念した全国ツアー "未確認ツアー" の最終公演。場所は京都府宇治市の黄檗萬福寺。
ツアー・ファイナル、しかも会場はお寺というロケーションと、スペシャル感が半端なく、しかも超ひさしぶりの水カンのライヴということもあり、僕は当日を心待ちにしておりました。

ちなみに、前回のライヴ(過去記事)から7ヶ月も空いたのは、今年2月のワンマンライヴ "NANIWA!" のチケットをあえて取らずに "1回休み" を入れたからですが、これにはまったくネガティヴな意味合いはなく、逆に今後も末永く水カンのファンとしてい続けるための、完全にポジティヴな休憩であったことをここに記しておきたく。

さて、会場の黄檗萬福寺に到着すると、シネマTを制服のように着そろえた若い女の子たちや、コムアイさんみたいなファッションの若い女の子たちがたくさん。
あれ、水カンのライヴの客層ってこんなんだったけ…。僕の知ってる水カンのライヴはもっとこう、おっさ(以下自主規制)

160722a.jpg

えー、いきなりだけど、今回のライヴを観終わって感じた、今後改善が必要と思われる点をみっつほど。
あっ、と…。本来この手のライヴレポにおいては、ライヴの良かった点、楽しかった点を逐次述べたあと、最後に指摘事項を申し添えるという構成が一般的だと思うのですが、そうすると読後感にネガティヴな印象を引きずってしまうおそれがあり。しかし僕がこの記事で伝えたいのは、あくまでも今回のライヴがいかに良かったか、いかに楽しかったかということなので、あえて、先に指摘事項だけ済ませておきたい。もちろんこれはdisでもなんでもなく、健全な批判こそがアーティストのさらなる成長の助けになると信じてやまないからだ。

ひとつめは、水カンのワンマンライヴでは不名誉な恒例行事と言ってもいい、開演時間の遅れについて。
今回の萬福寺でも入場開始が20分遅れ、開演時刻は30分の遅れを見せた。開演が予定よりも遅れる理由が毎回同じなのかそれとも違うのかはわからないが、どうも偶発的に起こるトラブルとかではなく慢性的な原因を抱えているように思える。特に、今回のように屋外の炎天下で長時間にわたってお客さんを待たせるのはとても危険だ。
ちなみに僕の真後ろにいた若いカップルは、彼氏が水カン好きで彼女が初めて水カンのライヴに連れて来られた、といった様子だったが、開演時間が延びるに従い彼女の機嫌がみるみる悪くなっていき、険悪な雰囲気にこちらもいたたまれなくなるほどだった笑(笑うんかい・笑)。

ふたつめは、ひとつめとも関連するのだけれど、ライヴ本編の時間の短さについて。
今回のライヴはMCやアンコールを含めて、実質80分程度しかなかった。演ったのは全15曲。未確認ツアーの他の会場と比べても3曲ほど少なくなっている。
この3曲が、開演時間が押したために削られたのか、それとももともとの予定通りだったのかは定かではないが、ワンマンライヴである以上、やはり120分間をひとつの目安としてほしいところだ。コムアイさんの体力的な問題なのかはわからないが、まだまだワンマン慣れしていないといった印象を拭えない。
初めて来たお客さんは、えっこれでおしまい!?って絶対がっかりすると思うんだよなぁ。僕も未だにがっかりしているけど。

みっつめは、不可解なセットリストについて。
今回、宇治のお寺でライヴを演るということがわかって、ほとんどの水カンファンは "あの曲" を演るだろうと思っていただろうし、期待もしていたはずだ。また、7月の夕刻、蝉の声が鳴りやまない中30分も待っていると、どうしても "あの曲" のイントロを思い浮かべずにはいられなかっただろう。
しかし結局 "あの曲" は演らなかった。
宇治のお寺などという会場を押さえておきながら "あの曲" を演ることを思いつきもしなかったとすれば、残念ながら水カンチームは無能だ。しかし決してそんなことはないだろう。きっとあえて演らなかったのだ。ファンの期待を逆手に取ってあえて裏切ってみせたのだ。わざとハズしたのだ。スカしたのだ。
思えば、昨年11〜12月のジパングツアーのときも、アルバム『ジパング』(過去記事)において重要な位置を占めていたはずの「西玉夫」と「マッチ売りの少女」の2曲を、ツアーの全日程を通してセットリストから除外していた(その2曲は今年2月のNANIWA!とOEDO!において始めて披露された)。
だが、そんな90年代のサブカルにありがちな逆張りの態度は、今後さらに大きなステージを目指すであろう水カンにとってはむしろ障害にしかならないと思う。ファンの期待に向き合って正面突破を図る実力とアイディアは、すでに水カンには備わっている。水カンはもっとファンの期待に対して意識的に正面から応えることによって、より大きなポピュラリティを得るようにしたほうがいいと思う。

以上、重ねて言うけどdisじゃないのよ。これはあくまで僕の水カン愛なんですよ。そこんとこよろしくお願い申し上げ!

160722b.jpg

ライヴは、「ラー」のイントロとともに、建築用移動式足場のローリングタワーに乗ったコムアイさんとカレーメシくんが会場後方から登場してスタート。

ステージは本堂前の月台と呼ばれる舞台のようなスペースに設営されており、とても広くて奥行きがある。しかしそのせいで、コムアイさんが舞台中央後方の定位置に陣取ると、ただでさえ小さいコムアイさんは僕の立ち位置からは例のMacBookを乗せている台の後ろに隠れてしまって、ほぼほぼ見えなかった。
しかも僕の立ち位置が、背中に松の木、目の前に灯籠、という状況で(そりゃそうだ、ここは境内だもの)、背中や首筋にチクチクと刺さる松の葉の痛みに耐えつつ、灯籠に空いた穴の隙間からコムアイさんをのぞき見るという、なんともレベルの高いプレイを強要される羽目に。

しかしコムアイさんは会場中を縦横無尽に動き回るので、実際のところはモウマンタイ。
「小野妹子」で、コムアイさんの "フロムジャペン! フロムジャペン!" の歌声とともに登場した萬福寺の僧侶たちが、客席中央に設けられた花道を合掌したまま隊列を組んで練り歩く様は、これ…が…遣隋使…と、絶句と大爆笑を同時に経験することが出来た。この強烈な画ヅラこそが僕にとっての今回のライヴのピークであったと言えよう。

屋外で聴く水カンのトラックは、重低音がピーカンの空に響き渡り、最高に気持ちが良かった。
と同時に、僕は屋外で水カンを見るのが今回で2度目だったが、今回1500人の聴衆の前で響き渡った「ユタ」でゆらゆら踊りながら、200人ほどのお客さんだったタワレコマルビル店のインストアライヴ(過去記事)で聴いた「ユタ」を思い出し、感慨深くて涙が出そうになった。

メジャー・デビュー作『UMA』に収録の外部プロデューサーによる楽曲については、特に「フェニックス」の印象が良かった。CDで聴いたときはいまいち良さの分からなかったラテンハウスだったが、屋外でその大箱向けサウンドの本領を発揮したと言えよう。

2匹のイエティが登場したり、さなぎの着ぐるみのコムアイさんが羽化したり、「チュパカブラ」のMVの登場人物が登場したり、沙悟浄がきゅうりを投げたりと、とにかく情報過多な演出がまったく飽きさせることなく。
今回に限ってはコムアイさんのMCも自虐的でキレキレで、つい先日発売されたフライデーの記事を読み上げ、「ここに書いてあるのは全部事実です!」とあらためて告白。かつて岡村靖幸は "Baby 週刊誌が俺について書いていることは全部嘘だぜ" と歌ったが、これが俺たちのコムアイさ。リアル・ロックスターさ。
2月のNANIWA!で初お目見えとなり、水カンのライヴではいまや定番の演出となっている、ウォーターボールを使ったクラウドサーフィングも登場した。僕もコムアイさんの入ったウォーターボールを追いかけて、追いかけて、追いかけて…

かつて僕が水カンのライヴで感じていた多幸感は祝祭的に昇華され、"なんだかよくわからないもの" だった水曜日のカンパネラは、いつの間にか、"似たものがどこにも思いつかない唯一無二のなんだかよくわからないもの" になっていた。
水カンはまだまだ大きなところを目指すだろうし、実際に想像もしなかったような大きなところに立つことができるだろう。
僕は彼女たちがどこまで行ってしまうのか、見続けたい。これからも確認していきたい。そう心に誓っています。

160722c.jpg

水曜日のカンパネラ ワンマンライブ2016 未確認ツアー @ 京都 萬福寺 2016/07/18 セットリスト
01. ラー
02. シャクシャイン
03. ディアブロ
04. 小野妹子
05. 雪男イエティ
06. フェニックス
07. チュパカブラ
08. ウランちゃん
09. バク
10. ユタ
11. 猪八戒
12. ユニコ
13. ツチノコ
14. 桃太郎
15. ドラキュラ

小沢健二 魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ @ Zepp Namba 2016/06/05 

Kenji Ozawa 小沢健二 Official Site ひふみよ >>

小沢健二は魔法使いだ。

魔法にはいくつかの種類がある。
そして小沢健二の使う魔法は、他のアーティストがあまり使うことのないタイプのものだったかもしれない。

小沢健二6年ぶりの全国ツアー、魔法的。大阪公演の2日目を見てまいりました。個人的にも6年ぶり、そして2度目の小沢健二のライヴでした。

過去記事:ひふみよ 小沢健二コンサートツアー二零一零年五月六月 @ 神戸国際会館 2010-06-06 (2010/06/09)

今回は、ツアーのサブタイトルの通りのシンプルなバンド編成で、ホーンセクションは無し。代わりにメンバー紹介の際に "アナログ機材" と称される、テルミン、電子パーカッション、チューブラーベルなどを操るバンドメンバーがいた(ちなみにそのひとはかつて「今夜はブギーバック」をカヴァーしたこともある某ユニットのメンバーである。こんなところでその姿を見ることになるとは思ってもみなかった)。

披露された全17曲のうち、7曲が新曲。
それらの新曲は歌詞がスクリーンに投影され、またアンコールにおける斬新な趣向の演出の効果もあり、初めて聴く曲ばかりであるにもかかわらず、馴染みにくさを感じることはごくごくわずかにおさえられた。
逆に、残りの10曲の既発曲は、今回のツアーのバンドに特化された新しいアレンジに改変されていることから、新鮮さと若干の戸惑いを持って目の前に現れた。
つまり新曲と旧曲がお互いに歩み寄りを見せることで、おおよその中間点に落ち着いてバランスし、それなりの統一感を持って観客に迎え入れられることに成功していた。

新曲は、1997年頃の一連のシングル作(『Buddy/恋しくて』『指さえも/ダイスを転がせ』『ある光』『春にして君を想う』 )などと似た空気感があり、なおかつそこに現在の、父親となった小沢健二から紡ぎだされる歌詞によってアップデートされた楽曲という印象。
20年近く行き先を迷いさまよった方向性が、紆余曲折を経て1997年と2016年がようよう直結した、という新曲群。これらは音源化するのかしないのか…。僕は、しないんじゃないかと思ってる。それか、もしもする場合はライヴ音源をそのまま出すとか。

エスノな頭飾りを身に着け、顔にペイントを施した小沢健二の声は、20数年前よりも太く、力強さを感じるものだった。
しかしその佇まいや一挙手一投足(両手を握りしめて胸の前でキュッとするポーズとか、ギターを弾きながらぴょんぴょん跳ねる動きとか)には可愛らしさと若々しさが全快の、"変わらない" 小沢健二そのものであった。青年47歳。

そんな至福の時間は、アンコールの最後の言葉によって唐突に終わる。
「これが最後のカウントダウンです。」「ごー、よん、さん、にー、いち…。」

「日常に帰ろう。」

魔法が、解けた。

こんな残酷で、観客を一気に突き放す言葉があるだろうか。
逆説的に言えば、この言葉によって初めて、僕達はライヴ中に小沢健二の魔法にかかっていたことを知るのだ。

小沢健二の帰る日常とはどんな景色なのだろう。
自分の日常も美しいものにしていかなければいけない。そんなことを思う。

しかし、今から思い返すと、本当はあの言葉で魔法が解けたのではなく、実はあの言葉で魔法にかけられたのかもしれない。
甘いライヴの時間を再び希求する気持ちと同様に、美しい日常を希求する意識を芽生えさせられたのかもしれない。次のライヴを観るまで。
そんなことも思う。

これが小沢健二が使った魔法の正体なのかもしれない。

ところで "Gターr ベasス Dラms キーeyズ" ってサブタイトルを見ると、どうしても真保☆タイディスコの "住m場syo着るmのからまって" を思い出してしまうのは僕だけ?

セットリスト
01. 昨日と今日
02. フクロウの声が聞こえる
03. シナモン (都市と家庭)
04. ホテルと嵐
05. 大人になれば
06. 涙は透明な血なのか? (サメが来ないうちに)
07. 1つの魔法 (終わりのない愛しさを与え)
08. それはちょっと
09. ドアをノックするのは誰だ?
10. 流動体について
11. さよならなんて云えないよ
12. 強い気持ち・強い愛
13. 超越者たち
14. 天使たちのシーン
15. 飛行する君と僕のために
16. ラブリー
17. その時、愛
(アンコール)
18. シナモン (都市と家庭)
19. フクロウの声が聞こえる

水曜日のカンパネラ 競演ライブツアー ジパング @ 神戸太陽と虎 2015/12/19 


僕にとっては3週間振り、通算7回目の水曜日のカンパネラのライヴは、ニューアルバム『ジパング』(過去記事)の名前を冠した全国ツアーの追加公演で、競演ツアーという名前のもと、台湾・高雄(競演:黒狼)、広島(競演:tricot)、神戸(競演:吉田一郎不可触世界)の3箇所で行われるツーマンの中の神戸公演。

会場となった太陽と虎には水カンはまだ無名だった時代に何度か出演経験があるらしいが、キャパ250という、現在の水カンにとっては小さすぎると言わざるを得えないライブハウスでのチケットは、当然のようにソールドアウト。そんな中、何と何と、輝く整理番号1番(!)のチケットを手に入れた僕は、Twitterのフォロワーさんと軽くビールを飲んだ後、悠々と開場時間ギリギリに会場へと向かったのであった。
それにしても整理番号1番なんて人生初ですよ。以前タワレコのインストア(過去記事)で2番の経験はあったけど。

開場を待っていると、タイミングよく水カンのエンジンことケンモチヒデフミさんが出てきたので、熱い抱擁を交わす(笑)。
僕は今まで水カンのライヴを7回観たけど、そのすべての会場にケンモチさんが来ていた。ケンモチ率100パーセント。これってすごくない?(すごくない?)

会場と同時に開場に入り、ドリンクチケットで交換した生ビールを手に最前列ど真ん中に陣取る。umeda AKASO(過去記事)ではステージの両端でゆらゆらとゆれていた水カンのロゴの入った飾り布はなく、また今回は渡辺直監督によるVJもないようだ。しかしケンモチさんによる『ジパング』にからめたダジャレを織り交ぜたおぼつかない(風な)影ナレは太陽と虎でも健在。ケンモチさん役者だなぁ。

先ずは、Zazen Boysのベーシスト吉田一郎によるソロ・プロジェクト、吉田一郎不可触世界。
コムアイちゃんが出てくるまでの40~50分ほどお付き合いください、という挨拶とともにスタートしたライヴ。Rolandのコンパクト・サンプラー4台(?)とスタインバーガーのヘッドレス・エレキベースから奏でられる音は思ってた以上にエレクトリックかつダンサブルで気持よく、初めて観たライヴだったがすっかりその世界観にトリコになってしまった。アンタッチャブル・ワールド? 違う、これがリアルなんだぜ。
今年出たアルバム、ちゃんと聴こう。

そして、水曜日のカンパネラ。
ステージのセッティング中に、セットリストをプリントアウトした紙がモニタースピーカー前の床に貼り付けられたのが見えてしまった。意識して見ないように見ないようにと心がけていたけど、やっぱりちょっとだけ見た(笑)。
ジパングのワンマンツアーでは「ラー」から始まるのが常だったが、「メデューサ」のイントロが流れて意表を突かれた。客席の後方から、シャンデリアではなく何故か電気スタンドを掲げたコムアイさんが、ぎゅうぎゅうのフロアを歌いながら縦断する。
ステージにたどり着いたコムアイさんは、そのまま「シャクシャイン」へ。僕の目の前20〜30cmほどの距離で歌い跳ね躍るコムアイさんを僕は必死で見上げ、声を張り上げ、腕を振り上げた。「シャクシャイン」の途中で最前列のお客さんに歌うようコムアイさんからマイクが回ってきたが、あんなの歌えないよ!(隣りにいた某さんは歌えてたけど!)

次、「桃太郎」やります、とMacBookのiTunesをクリックするコムアイさん。お、「ディアブロ」から「桃太郎」という鉄板の曲順を今回はやらないのか。今回のセットリスト、なかなか斬新だぞ…。
岡山県名物きびだんごならぬ兵庫県名物神戸プリンを観客に投げつけ(ちなみに大阪では551蓬莱の豚まんでした)、"き・び・だーん" でフロア一丸(たぶん。2列目以降の様子は見えないので)となって腕を振り、続く「ディアブロ」へ。

"切れ痔とイボ痔とその仲間たちも" と歌いながらコムアイさんがくるっと背中を見せ、僕の眼前で人差し指を自らのおしりの穴に突き立てる様を見せつけられた時は、本当はポーズだけでいいハズなのに結構深く(第一関節)まで指を入れるんだなぁ、プロだなぁ、と妙なところに感心するばかりであった。
「ディアブロ」の終盤でオケが跳んだりとぎれとぎれになるトラブルがあり、MacBookを交換することに。あれ? こないだ新しいの買ったんじゃなかったっけ?

MC。『HEY!HEY!NEO!』に出演した話から、何故か尼崎を光化学スモッグ公害にからめてdisり気味。
また、初めてカンパネラのライヴに来た人に手を挙げさせるとかなりの割合で手が挙がったので、今さらだけどちゃんとライヴやります、と襟を正すコムアイさん。

「ツイッギー」では、アウトロのBPMがどんどん上がっていって、一瞬間をあけて「ウランちゃん」のイントロが入った瞬間、コムアイさんはしめたという顔を見せた。「ツイッギー」から「ウランちゃん」には、ノンストップでつなぎたいと思ってるのかも。
残念ながらいまひとつ低域のパワーに欠けるサウンドシステムのため、「ウランちゃん」の凶暴な魅力は半減だったが、それでも僕はコムアイさんの姿を見上げることもせず、コムアイさんのadidasの白いスニーカーがまるでフットワークのように細かくステップを踏む様を意識の端に映しながら、ただひたすら頭を振った。
「ユタ」では、コムアイさんは本当に気持ち良さそうに歌う姿を見せ、反面「ラー」ではころころと変わる豊かな表情を見せた。マジ、ジャスティスだ。

ツアーでは毎回お客さんに聞いてるんですけど、と「猪八戒」と「小野妹子」のどちらを先に演るかをお客さんに手を挙げさせたところ、「小野妹子」に手を挙げたお客さんの方が多かったらしく、「小野妹子」を先に演ることに。大阪では「猪八戒」が先だったので僕も「小野妹子」に手を挙げた。前日の名古屋では「猪八戒」に手を挙げたひとの方が多かったらしく、会場によって違う反応があるのをコムアイさんは面白がっていた。山田孝之になったつもりで歌います、と言って歌い始め、そして「猪八戒」ではコムアイさんが三蔵法師に扮し、猪八戒が誰なのかはわからなかったけど、沙悟浄になっていたのは吉田一郎さんで、さらに盛り上がった。

最後の曲は、やはり定番の「ドラキュラ」。フロアに降り立ったコムアイさんの行く末にはいつの間にか脚立が立てられており、フロアの海をかき分けながら脚立の頂上に登り、歌う。お客さんひとりに独唱させる罰ゲームのコーナーも健在。ステージからはスタッフや吉田一郎さんたちがサインの入った風船を次々と投げ入れる。歌い終わったコムアイさんは、立ったままの脚立の上に座ったまま後方にゆっくりと運ばれていった(ひゃあ、と軽く悲鳴を上げてはいたが)。
いつの間にかステージに戻ったコムアイさんは、残った風船をフロアに放り投げ、ありがとうございましたと一言二言挨拶して、本当に終了。

およそ60分間のライヴ。アンコールもなし。それでも物足りなさを一切感じなかったのは、最前列ど真ん中という超めぐまれた位置で見ることが出来たことはもちろん、これが最後の水カンのライヴになってもいいと思えるくらい全力で挑もうと、当初から心に決めていたからだ。次もまた観れると思いながら(しかも整理番号1番)観た前回のライヴは、どこか余力を残した楽しみ方をしてしまっていて、実は少し後悔していたのだ。そのため今回は、2月のワンマンのチケットもあえて取らずに、自分を追い込んでライヴに挑んでみた。

今回のライヴ、本当に多幸感に満ち足りた、幸せな時間でした。一片の悔いなし。


水曜日のカンパネラ 共演ライブツアー ジパング @ 神戸太陽と虎 2015/12/19 セットリスト
01. メデューサ
02. シャクシャイン
03. 桃太郎
04. ディアブロ
05. ツイッギー
06. ウランちゃん
07. ユタ
08. ラー
09. 小野妹子
10. 猪八戒
11. ドラキュラ

水曜日のカンパネラ ワンマンライブツアー ジパング @ umeda AKASO 2015/11/27 


僕にとっては1月半振り、通算6回目の水曜日のカンパネラのライヴは、ニューアルバム『ジパング』(過去記事)の名前を冠した、全国7ヶ所を巡るワンマンツアーの大阪公演。会場のumeda AKASOって知らないなぁとか思ってたら、実は元バナナホールのことでした(笑)。

会場のキャパ700に対して、僕の前売券の整理番号は643番。今回は前の方で観るのはあきらめて、ライヴ会場全体の雰囲気を楽しもうと、僕の心は初めから決まっていました。はっきり言って余裕シャクシャクシャクシャインだったわけですが、ま、その理由は来月あたりにあきらかになるでしょう(笑)。
そもそも今回のチケット、2度あった先行予約のいずれも抽選ではずれてしまい、一般発売でほうほうの体で取ったのである。水カンのライヴチケット、いつの間にかプラチナ化しとる。チケット取れただけでもonの字なのである。

入場すると、ステージのスクリーンに物販の紹介映像が流れ、時折たどたどしい影ナレが注意事項等を読み上げる(その正体は水カンの裏方その1ケンモチヒデフミ氏であった)。
開演時間を15分ほど押して、スクリーンに黄金のピラミッドの映像が現れた。

ステージ上手から登場したコムアイさんは、軽やかな振付とともに日清カレーメシとのコラボ曲「ラー」を歌う。トラックのベースがめっちゃ出ていて気持ちがいい。
「ラー」からノンストップで「シャクシャイン」へ。このつなぎ、今後定番化するか!?

"いー湯っだーね" "いー湯だね!" のコールの練習を始めるも、すでに全員がマスターしているのを目の当たりにして「みんなすぐに出来て面白くない…。」などと理不尽な悪態をつくコムアイさん。「ディアブロ」の低音の鳴り、最強でした。
「ディアブロ」から「桃太郎」へとノンストップで、こちらはもはや鉄板のつなぎだ。「ディアブロ」を演ったら次は「桃太郎」を期待しているファンも多いことだろう。

水カンクラシックのコーナー(そんなコーナーはないが)は、今回のツアーでは1stアルバム『クロールと逆上がり』(過去記事)に収録の「マルコ・ポーロ」を演るようだ。
僕は今年1月のツアー(過去記事)でもこの曲を聴いている(ハズだ)が、CDとくらべるとコムアイさんの歌唱力の著しい進歩が明らかだ。歌い終わった後にコムアイさんは「はぁ…いい歌だなぁ…。」とため息をついておられました。

「ライト兄弟」「ツイッギー」「ウランちゃん」と、『ジパング』楽曲が続く。
「ツイッギー」のアウトロがCDとは違うヴァージョンで、どんどんBPMが上がっていくので、このまま「ウランちゃん」につながるのかと思ったら、いったん音が止まって、普通に「ウランちゃん」がアタマから始まった。
個人的にライヴハウスで聴く「ウランちゃん」にはすごく期待していたんだけれど、もうベースがブンブン出まくっていましたね。クラブ慣れしていない子なんかは気分が悪くなるんじゃないかと心配してしまうくらいに。ジューク/フットワークという意味では、もう少しスネアを強調したほうが良さそうなものだけど、特定のジャンルの音やマナーに寄り過ぎないところが水カンの良いところなのかもしれない。

MC。今朝梅田の銭湯に行ったら入れ歯が置いてあって、それが気になって髪を乾かすのにもたついていたら脱衣場のテレビでヤフオクのCMが流れた、初めて自分が出演したCMをテレビで観た、前回のCMは結局一度もテレビで見ることがなかった、という話をされていました。
僕も前回のCMは一度もテレビで観たことがないままだったんですよね(今回の新しいCMはマツコ・デラックスの『夜の街を徘徊する』の録画を見ていたらたまたま録れていたので観ることが出来た)。

「ユタ」では、僕は前回のツアーではかなわなかったゆらゆらと踊ることが出来て、とても気持ちが良かった。「ユタ」はオオルタイチが作っただけあって、クラブ寄りなのが良いすね。実は「ナポレオン」よりもクラブ寄りの音かもしれない。

MC。「メデューサ」のMVでコムアイさんが来ている黄色のワンピースは、コムアイさんがアメ村の古着屋で買ったヴェルサーチのワンピースで、ヴェルサーチのロゴがメデューサになってるからぜひともこの服を着たかった、でもTwitterとかを見ててもそのことに気づいてるひとはいないっぽい、ヴェルサーチと中国頂上の古着を見つけたら画像を送ってほしい、とのこと。

その「メデューサ」では、天井からするすると降りてきたMVに登場するシャンデリアをかついだコムアイさんが、フロアに降りて縦横無尽に動きながら歌う。「ナポレオン」ではシャンデリアを赤い傘に持ち替えて、フロア後方のバーカンの天上に登って歌った。
ステージに戻り、先週行われたツアー初演の赤坂ブリッツでは演らなかった「ミツコ」のイントロが流れる。さすがにライヴで盛り上がる曲で僕も大好きなんだけど、トラックの鳴りについて言えば、『ジパング』の楽曲と比べて明らかに貧弱に聴こえるところに水カンの進化を見た。

次中国コーナーに入るんですけど「猪八戒」と「小野妹子」どっち先に演って欲しいですか?、と観客のひとりを指名して答えさせるコムアイさん。結果、「猪八戒」を先に演ることに。よりにもよって、準備に時間がかかる方を、とコムアイさんはここでも理不尽な悪態を見せた。
「猪八戒」ではコムアイさんは豚のマスクを被り、その左右には沙悟浄と三蔵法師も登場。その動きは、何故か「ディアブロ」のMVに出てくるお面の町娘のようであった。
続く「小野妹子」では、山田孝之になったつもりで踊って、と檄(?)を飛ばす。

最後の曲です、の言葉とともに、コムアイさんがヤフオクで落札した巨大な招き猫のバルーンをフロアに放ち、ライヴのラストを締めくくる定番曲である「ドラキュラ」をみんなで大合唱。大団円とともにライヴは終了した。客電がつき、スクリーンにはコムザルと "またね" の文字(これ、前回の大阪のツアー(過去記事)では見られなかったのだった)。ケンモチさんのたどたどしい影ナレが客出しを始める。鳴り止まないアンコールの手拍子。水カンは基本的にアンコールはやらないが…。

果たして、ステージ上に再び現れたコムアイさん。
先週の赤坂ブリッツでMacBookの音が止まるトラブルがあったので、今日のライヴから新しいMacBookを使っている、先週まで使っていたMacBookは高校の卒論を書くのにも使っていたので6年使った、新しいMacBookになって軽くなったのでライヴのための持ち歩きが楽になった、等々。
MacBookが新しいのでまだ今日演った曲しか入っていないが、もう1曲だけ何がいいかを観客に聞くと「ラー」の声が上がったので、もう一度「ラー」を演ることに。"ラー!" と "GO!" の振り付けの練習をして、二度目の「ラー」。大いに盛り上がりました。

実質100分ほどのライヴ。終演後の物販ブースでのサイン会等がないのは、ライヴの規模が大きくなればそうなるのは必然だと思うし、時間的な短さを補ってなお余りある、全力疾走で内容の濃いライヴでした。僕は未だに水カンのライヴの魅力をロジカルに説明できないでいるのだが、あの純度の高い楽しさ、ほんとなんなんだろうな…。

border=

水曜日のカンパネラ ワンマンライブツアー ジパング @ umeda AKASO 2015/11/27 セットリスト
01. ラー
02. シャクシャイン
03. ディアブロ
04. 桃太郎
05. マルコ・ポーロ
06. ライト兄弟
07. ツイッギー
08. ウランちゃん
09. ユタ
10. メデューサ
11. ナポレオン
12. ミツコ
13. 猪八戒
14. 小野妹子
15. ドラキュラ
16. (アンコール) ラー