Oliver Ho ‎- Listening To The Voice Inside 

ho.jpgArtist: Oliver Ho
Title: Listening To The Voice Inside
Label: Meta
Catalog#: META CD001
Format: CD
Released: 2000
CDで聴くハードミニマル 第16回

James RuskinのレーベルBlueprintからデビューしたOliver Hoも、James Ruskin同様、Jeff Millsフォロワーのトライバルなミニマル・ファンクを得意とするプロデューサーであり、まぁ、James RuskinもOliver Hoも、正確にはJeff Millsフォロワーと言うよりも、Jeffの変名というか別プロジェクトである…

あ、その話はもう少し後で。

Oliver Hoの特徴は、特に民族的なパーカッションや細やかにエディットされた巧みなヴォイス・サンプルを多用した有機的なミニマル・テクノであり、また4つ打ちにこだわらない変則的なキックのダンストラックが多いという点が挙げられる。
当時このあたりの作風に影響を受けたアーティストは枚挙に暇がないが、僕達がよく知る代表的な作品といえばやはりこれでしょう。
実際、フミヤ氏は、OliverHoが主宰するエクスペリメンタル・レーベルExistのコンピレーションにも1曲参加している。
このアルバムは疾走感とディスコっぽいポジティヴさもあり、Oliver Hoならではのヴォイス・サンプルの妙技も楽しむことができて、Blueprint一派の中ではいちばん好きなアルバムです。

さて、CDで聴くハードミニマル、次回より、ハードミニマル期に、同じUKにありながら、SurgeonやJames Ruskinといったストイックな王道ミニマル・テクノとは一線を画していた一派のことについて書きたい。
そう、"No Future" です。

Listening to the Voice InsideListening to the Voice Inside
(2000/08/25)
Oliver Ho

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Listening to the Voice Inside [12 inch Analog]Listening to the Voice Inside [12 inch Analog]
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Oliver Ho

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Tracklist
01. Westworld
02. Seduced
03. Magic
04. Moonlight
05. In The Centre Of Paradise
06. Ember
07. Gene Pool
08. Forwards
09. A New Birth

岡村靖幸w小出祐介 - 愛はおしゃれじゃない 

Artist: 岡村靖幸w小出祐介
Title: 愛はおしゃれじゃない
Label: V4 Records
Catalog#: XQME-1002
Format: File
Released: 2014/04/02
こうして岡村靖幸の新作がわずか半年という短いスパンでリリースされるなんてこと、1年前には考えもしなかったし、前作『ビバナミダ』(過去記事)が出たときもそんな期待はいっさい抱かなかった。しかもその新作が最高ときているから本当に始末に負えない。

岡村靖幸のニューシングル『愛はおしゃれじゃない』は、Base Ball Bearの小出祐介との共作・共演。
岡村靖幸は作曲、ヴォーカル、演奏、アレンジ、プロデュース、小出祐介は作詞とヴォーカルを担当している。

今の岡村靖幸は歌詞が書けない。
彼の新作が長らく表に出ない原因はそれなので、今新曲が出るとすれば、『ビバナミダ』と同様に作詞を他者に委ねるであろうことは充分に予想していたし、また、過去に他のアーティストに提供した楽曲のセルフカヴァー集をリリースすることでお茶をにごすこともあり得るだろうと思っていた。その予兆は『ビバナミダ (スペース☆ダンディ盤)』(過去記事)でもあったわけで。

それでも、ヴォーカルまで他者に半分委ねるなんてことは予想の斜め上(いや、斜め下か)で、最初にこのニュースに接したときは、正直言ってあまり好ましい印象を持つことは出来なかった。それは単純に、作品に他者が介在する割合が増えれば増えるほど、岡村靖幸の魅力である彼独特の粘度が希釈される方向に向かうだろうと感じたからなんだけど。

透明感のあるギターのカッティングに清涼感のあるハウスビートが重なるイントロからグッと気持ちを掴まれたと思う間もなくいきなり出てくるサビの役割も果たしているAメロで "モテたいんだ君にだけに いつもそればかり考えて" なんて岡村靖幸にしてみればストレート過ぎる歌詞なんだけどそれよりこのさわやかで高揚感のある神がかったメロディ何だこれお前天才か!

そんな心配なんてまるでなかったかのような、「愛はおしゃれじゃない」をラジオやYouTubeとかではなくちゃんと自前のスピーカーで聴いたときの僕のはじめての感想が今のになります。

他人に提供した曲でも岡村靖幸が作った曲は岡村靖幸の曲にしか聴こえないし、他人が作った曲でも岡村靖幸が歌った瞬間にその曲は岡村靖幸のものになる。仮に、最悪岡村靖幸がまったく歌わなかったとしても、これはまぎれもなく岡村靖幸の曲でしかあり得ない。それが岡村靖幸。

今回の「愛はおしゃれじゃない」も「ラブビデオ」も、今の岡村靖幸に、小出祐介の若さゆえの疾走感(ただしこの疾走感は若い頃の岡村靖幸は持ち得なかったものでもあるけど)が加わって、とても新鮮に聴こえる。
確かに岡村靖幸の粘度は若干希釈されてはいるけど、それを補い余る青春ポップチューンに仕上がっている。最後にもう1回書く。最高。

愛はおしゃれじゃない愛はおしゃれじゃない
(2014/04/02)
岡村靖幸 w 小出祐介、岡村靖幸 他

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Tracklist
01. 愛はおしゃれじゃない
02. ラブビデオ

岡村靖幸 - ビバナミダ (スペース☆ダンディ盤) 

Artist: 岡村靖幸
Title: ビバナミダ (スペース☆ダンディ盤)
Label: V4 Records
Catalog#: XQME-1001
Format: CD+DVD
Released: 2014/01/29
昨年10月に発売された岡村靖幸6年ぶりのシングル『ビバナミダ』(過去記事)に、他アーティストに提供した楽曲のセルフ・カヴァー2曲と「ビバナミダ」のPVを収録したDVDを追加して、改めて発売された早すぎる再発盤。

このスペース☆ダンディ盤は、「ビバナミダ」がアニメ『スペース☆ダンディ』のOPに起用されたことを受けて、アニメの放送開始のタイミングに合わせて再度リリースされたものであることは理解出来るものの、「ビバナミダ」が『スペース☆ダンディ』のOPに使われる予定であることは10月の通常盤『ビバナミダ』発売の際にはすでに明らかになっていた情報であり、この度のスペース☆ダンディ盤のリリースは、ひかえめに言っても通常盤を購入したファンを馬鹿にしている所業だと言えよう。
"ベイベ" と称される、年齢層が高めでそこそこの小金を持っている、昔からの岡村靖幸ファンであれば、これくらいの出費には応じるだろう、という岡村靖幸側(レーベル)の思いがすけて見える。
最近の、半年に1回のペースで行うツアーを見ていても思うことであり、岡村靖幸には過去の事情のおかげでまだまだお金が必要なのはわかるけど、このようなファンに対して不誠実なことをこれからも続けると、岡村靖幸自身にとっても良い結果にはならないと思うよ。
しかし、僕と同じようなことはみんな思ってるだろうと、AmazonやiTunes Storeでスペース☆ダンディ盤のカスタマー・レビューにちょっと目を通してみたところ、案外好意的なコメントばかりが並んでいて気持ち悪い。ベイベたち、ほんとにそれでいいの…?

で、まんまと買ってしまったのは何をかくそうこの私である。

「ビバナミダ」と「ヘルシーメルシー」については過去記事で述べたので置いといて、ここでは新録の「スキャンティブルース」と「SMELL」について。

「スキャンティブルース」は、MEGのデビュー曲として2002年に提供したもの(過去記事)。前回のツアー、アイボリー(過去記事)では突然1曲目に披露された。
ツアー時に製作されたバックトラックをそのまんま使用していると思われるが、もしかしたら、ツアー時にすでに将来のリリースを視野に入れていたのかも知れない。基本的にはUbar Tmarの手がけたオリジナルに忠実なアレンジで、岡村靖幸が歌うことによって、石野卓球とやった「Come Baby」にも通じる粘着質などファンク・ナンバーに生まれ変わっており、にもかかわらず、エレクトロニックなハウス・ビートのおかげで非常にクールな雰囲気をも醸成している。
ひかえめに言っても最高峰の密室ファンク!

「SMELL」は、BUCK-TICK櫻井敦司のソロ・シングル用に2004年に提供したもの。最近のツアーでは、ほぼ毎回セットリストに入っているおなじみの曲だ。
これまた密室的な打ち込みファンク・チューンで、追い立てられるような切迫感と濃密すぎるエロさはオリジナルの比ではない。

最後に、今後の予想。ズバリ、岡村靖幸は今年アルバムを出します!
と言っても、僕が考えるのはオリジナル・アルバムではなくて、今作に追加収録されたのと同様の、他アーティストに提供した楽曲のセルフ・カヴァー集。
川本真琴に提供した「愛の才能」も毎回ツアーで演ってるんだからさ。出そうよ、ちゃんと。他にも渡辺美里の諸楽曲やCharaの「レモンキャンディ」や一青窈の「Lesson」や昨年亡くなった桜塚やっくんの「あせるんだ女子はいつも目立たない君を見てる」なんてね。聴きたいじゃない、岡村靖幸が歌ってるのをさ。

ビバナミダ(スペース☆ダンディ盤)(DVD付)ビバナミダ(スペース☆ダンディ盤)(DVD付)
(2014/01/29)
岡村靖幸

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ビバナミダビバナミダ
(2013/10/02)
岡村靖幸

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Tracklist
[CD]
01. ビバナミダ
02. ヘルシーメルシー
03. スキャンティブルース
04. SMELL
[DVD]
01. ビバナミダ (PV)

岡村靖幸 - ビバナミダ 

Artist: 岡村靖幸
Title: ビバナミダ
Label: V4 Record
Catalog#: XQME-91001
Format: CD
Released: 2013/10/02
[Amazon.co.jp] [試聴]
はっきりもっと勇敢になって』以来、実に6年振りとなる岡村靖幸の新作が、ついに、ついに、ウ、ウワーーーーーー!!!

先ずは前回のツアー "むこうみずでいじらしくて"(過去記事)で披露された「ビバナミダ」。
打ち込み主体の派手目なトラックにシンセリフやチョッパーベースが怒涛のように押し寄せるエレクトリックなファンクチューン。音質はややドンシャリ気味で少し耳が痛いが、MP3に慣れてる世代にはこれくらいがいいのだろうかな。
サビに至るまでの低空飛行から浮遊しそうでなかなかしない時間にやきもきさせられる分、サビのとてつもない高揚感が現れた時のカタルシスが尋常じゃないので、サビへのつなぎのやや強引な構成も気にならない。
やり過ぎと思うくらいのポップな楽曲なのは、もともとこの曲が他人に提供する予定で作り始められたから。歌詞がこれまでの岡村靖幸作品と違って、10代目線ではなく大人の男が主人公なのも、共作者の西寺郷太が作詞の大半を担っているから。それでもいい曲だね。ホントいい曲だね。岡村靖幸がこの曲を歌っているという事実だけで泣ける。

カップリングの「ヘルシーメルシー」は、アコギがブルージーな岡村靖幸による完全な新曲。
"あーわかっとらん男ですいません こんなに好きだって中2病"
こんな歌詞歌えるのは本当に岡村靖幸以外ないでしょう。さすが元祖永遠の中2病(敬意を込めて)。

岡村靖幸の実に6年ぶりとなる新作が発表されました。
完全復活!?
いやいや、まだまだこれからでしょう。最近のライヴを体験しているベイベなら、今の岡村靖幸はこんなもんじゃないってことがわかるよね。
昨日の『スペシャエリア』ではこのシングルのアナログが出ることが発表されたけど、特に「ビバナミダ」は、よりフロアユースな(音数をもう少し削った)リミックスも出して欲しいなぁ。
そしてツアー "アイボリー" 大阪公演まであと10日。気持ちを高めてのぞまなければ。今回はどんな魔法を見せてくれるのだろう。

ビバナミダビバナミダ
(2013/10/02)
岡村靖幸

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2013ライブ「むこうみずでいじらしくて」 [Blu-ray]2013ライブ「むこうみずでいじらしくて」 [Blu-ray]
(2013/10/02)
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2013ライブ「むこうみずでいじらしくて」 [DVD]2013ライブ「むこうみずでいじらしくて」 [DVD]
(2013/10/02)
岡村靖幸

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Tracklist:
01. ビバナミダ
02. ヘルシーメルシー

岡村靖幸 - yellow 

Artist: 岡村靖幸
Title: yellow
Label: Sony Music Direct (Japan) Inc.
Catalog#: MHCL 20138
Format: Blu-spec CD
Released: 2012/2/15
[試聴]
[Amazon.co.jp] [iTunes Store]
※ 2012年2月にエチケット・プラスで初めて岡村靖幸を見てファンになった男によるディスクレビューです。昔からのベイベは、新しいファンはこういう感想を持つのか、という感じで読んでいただけるとありがたいです。

『yellow』は、1987年3月21日に発売された岡村靖幸の1stアルバム。
岡村靖幸はこれ以前に19歳で作曲家としてデビューしており、渡辺美里や吉川晃司らに楽曲を提供していた。渡辺美里のレコーディング中にスタジオで踊っていたところをディレクターに見初められ、自身もシンガーとしてデビューするきっかけになった。ということはよく知られた逸話だったが、さいきんの自身の発言からは、あらかじめシンガーとしてのデビューは予定されていたことが明らかになっており、おそらくデビューの際にプロフィールに箔を付ける目的もあって、レコード会社もしくは事務所があらかじめ作曲家としての活動をさせていたものと思われる。
そんな経緯はともあれ、岡村靖幸は1986年12月1日にシングル『Out of Blue』で21歳でシンガーとしてデビューする。デビュー・シングル発売の2ヶ月前からラジオのレギュラー番組を担当していたことから、レコード会社も売り出しに力を入れていたいわゆる "期待の新人" であったことが容易に想像出来る。
作詞、作曲、編曲、すべての楽器の演奏、そしてライヴ・パフォーマンスと、完璧主義者のマルチプレイヤーのイメージが強い岡村靖幸だが、このアルバムでは編曲に西平彰、一部の曲の作詞に神沢礼江が参加している。さすがに岡村靖幸と言えど、デビュー前のハタチそこそこの若者は、経験も技量もまだまだ満足いく内容のものを持ち合わせていなかったということだったのかも知れない。

01. Out of Blue
切迫した疾走感があるデビュー曲。アレンジには80年代風の古さが感じられ、逆に僕はそのテイストが新鮮で結構好き。岡村靖幸がよくやるジャカジャカとしたギターのストローク、そして「フォーッ!」という雄叫びがすでにこの時点で聴くことが出来る。今でもライヴのラストで歌われる定番曲だが、近年このアルバムからはこの曲以外演奏していないみたい。
02. Young oh!oh!
アルバムからシングルカットされた3rdシングル。ホーンが鳴り響くアメリカンロック調のパワーポップなんだけど、この曲はYouTubeで観ることが出来る尾崎豊とのライヴセッションの動画がいかにも楽しそうで最高。
http://youtu.be/bjg40a-fr5k
03. 冷たくされても
どうやら誰も指摘していないみたいなので僕が書く。この曲のイントロはシカゴハウスのジャッキンなテイストをアレンジに取り入れることを意図しているのでは? 楽曲全体としてはむしろ牧歌的な雰囲気すら漂うが。
04. Check Out Love
アルバムの先行シングルとして発売された2ndシングル。裏声で歌われるサビなんかを聴くと、数年後にはスロットル全開となる岡村靖幸のハレンチ路線の萌芽を感じる歌謡ファンク。
05. はじめて
ピアノで弾き語られる切ないバラード。中盤からのストリングスによる盛り上がりが美しい。
06. Water Bed
後の岡村靖幸の大きな特徴である、ほとばしる変態性愛がすでに先っちょだけ入ってる濃密なエレクトロファンク。ここで初めて岡村靖幸の語り(科白)芸が聴けるが、まだあまりハレンチさは感じない。
07. RAIN
大仰なストリングスとホーンが古さを感じるアレンジだが、「Out of Blue」と同じで僕はこのテイストは結構好き。もしかしてデビュー当時は、レコード会社は岡村靖幸に尾崎豊的なロック歌手路線の楽曲を求めていたのかしら。
08. 彼女は Science Teacher
というようなことは、「Young oh!oh!」と同系統のロックチューンであるこの曲を聴いても思う。歌詞はむしろ背伸びしたアーバンな大人の恋愛といった初期岡村靖幸の萌芽を感じるので全然尾崎っぽくはないんだけれど。
09. White courage
歌詞はまだまだ凡庸(岡村靖幸的なこじた部分がない)ではあるものの、美しく切ないバラード。

岡村靖幸のアルバムの中では比較的評価の高くない『yellow』ではあるものの、実はすでに "岡村靖幸的" な部分は存分に楽しめる。って言うか、まだ加減がわからないのでおそるおそるやってみたら、結果としてちょっと遠慮がちになってしまった、という感じだったのかも知れないし、他の作品と比べて他者の介在している割合が強いからなのかも知れない。これ以降の作品を順に聴いていくと、徐々にそういったアクセルのさじ加減が身に付いていくことがわかる。

yellowyellow
(2012/02/15)
岡村靖幸

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